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第30話 ショウガのことリカのこと

 

「骨を柔らかくするぞ!」

「骨を柔らかくって...どうやって?」

「骨を柔らかくするには、体に空気を大量に取り入れるんだ!」

「そうなの?」

「あぁ!俺はその方法でやったぞ?他の先生だと、骨を粉々に砕いたりしてるところもあるらしいけどな!俺は医者だから、傷つけることはできないんだ!」

 ショウジはサラッと恐ろしいことを口にする。

「あ...じゃあ、空気を取り入れる方でいいかなぁ...」

 ショウガは骨が砕けるのは嫌なので、空気の取り入れ方を選んだ。ショウジが医者で本当によかったと思った。

「そんじゃ、空気を取り入れるために必要なゼラチン質を用意してくるから!」

「はーい!」

 ショウジは部屋を出ていく。しばらくすると、また、ドアが開いた。

「あ、おかえりなさ...って、お前は!」

 そこには、昨日のナンパ師がいた。名前は確かヘイブだ。

「ショウガさん!俺と一緒に来てね!」

 ヘイブはショウガをナイフで脅す。そして、ヘイブはショウガを誘拐した。ショウガはタオルを口に咥えさせられた。帰りに誰かとすれ違うと思ったが、誰にもすれ違わなかった。ヘイブが千里眼(ちょんりめ)で道を選んでいたのだ。


 ***


「ゼラチン質を持ってきたよぉー!」

 ショウジが部屋に戻っても、ショウガはいなかった。

「トイレでも行ってるのかな?」

 ショウジは椅子に座ってショウガが帰ってくるのを待っていた。


 ***


「おい!リカ?いるか?」

「はい!いますよ?」

 部屋にギュウシャが入ってくる。

「なら、リカに買い出しに行ってほしいんだが?」

「いいですよ?何を買えばいいんですか?」

「鉄屋から、鉄を20kg買ってきてくれ!」

「わかりました!20kgですね!」

「ほれ!お金だ!」

 リカはギュウシャから2万ボン渡される。

「鉄20kgは1万6000ボンだ!残った4000ボンはリカにやる!」

「ありがとうございます!」

 リカはお金を持って買い物に行く。クラティーは一人で修行を始めた。

「なんで、リカに行かせたんですか?」

「20kgなら、少しは特訓になるだろう?」

「そう...ですね...」


 ***


 俺は5cmほどの石を用意する。そして、慈愛を持ち、自然に感謝をする。想像しろ。


 ”ピキッ”


 石にヒビが入る。だが、割れない。残り数mmで割れそうなのに、割れなかった。

「クソ...足りないか...」

 俺はヒビが入った5cmほどの石を割ってから、同じくらいの大きさの石を使う。だが、やはりヒビが入り、ギリギリのところまで行くが、割れない。

「割れないか...」

「上手く...行ってない...みたいだな?」

「あ、先生!5cmくらいのは上手く行かないんですよ...」

「そうか...『破壊』の意思を...持って...感謝も...しておるか?」

「あぁ...教えてもらったように、慈愛を持ってやっていますよ?」

「なら...やはり...考えは...豊かに...しないと...いけないな?」

「考えは豊かに?朝言っていたやつですか?」

「あぁ...そうだ...一度部屋に...戻れ...」

 俺は部屋に戻る。エイジンは俺の前に胡座をかいて座る。

「座禅を組め...頭の中を...情報で...埋め尽くせ...」

「え?座禅を組むのに頭を空っぽにしないんですか?」

「あぁ...その逆だ...頭を情報で...いっぱいにするんだ...」

 俺は床の上にあぐらをかく。まぁ、ひよこの姿なので普通に座っているように見えるかもしれないが。

 そして、色々なことを考えることにした。


 まず最初に頭の中に出てくることは『破壊』の修行のことだ。石をどうすれば『破壊』できるだろう。エイジンは言ったように想像力を豊かにすればいいのはわかった。慈愛の時の妄想が広がるのだ。慈愛の時の妄想の世界が広がれば破壊力も上昇するのだろう。だが、どうすればいいだろう。


 次に頭の中にはショウガが出てくる。ショウガのこと...考えて見ればほとんど知らない。知っていることは52年前に、当時14歳だったショウガがジャワラによって豚に変えられてしまったことだ。ショウガは「我だけ」と言っていたから両親や兄弟などはジャワラかヘイターによって殺されてしまったのかもしれない。ショウガが人間に戻ってファーストヴィレッジからシャコリアに移動する時にも行きたいところは言わなかったから、家族はもういないのだろう。

 52年間も豚で一人でたいそう寂しかっただろう。俺だって少しだけ両親や友達に会えずにホームシックになって来ているのだ。


 次に俺の頭の中にはリカが出てくる。リカのことも何も知らない。一鶴のメンバーのことは誰も何も知らなかった。リーダー失格だろう。だが、触れていい話かもわからない。リカは奴隷時代の話をしたくはないだろうし、ショウガも家族が殺された時を思い出したくはないだろう。リカについて知っている情報は16歳で、農園に奴隷として働かされていた、ということだけだろう。リカは「9歳から雇われていた」と、キュラスシタの本性を知る前、アイキーを探している間に言っていたような気がする。となると、7年間だ。7年間も奴隷として働かされていたのだ。リカの家族構成も知らなかった。もしかしたら、ファーストヴィレッジに家族が残っていたのかもしれない。となると、家族との別れもさせられずに悪いことをしたかもしれない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 特訓回、しかもランニング。 しかし息切れしないリカは凄いですね。 そしてショウガを誘拐するヘイブ。 成る程、千里眼にはこういう使い道もあるのか。
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