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第278話 11人、再会す

 

「お姉さん達は...勝ったの?」

「あぁ、勝ったよ。フィオーレ宰相も、季都にいた創者も。急所を作っていたのは、君からのSOSだったんだろ?」


「うん。お姉さん、気付いててくれてたんだ!」

 ピーゼンデル14世に、抱きつかれる。リカの姿をしているので、お姉さんだと勘違いしているらしい。


「もう、大丈夫。助けに来たから、泣かなくていいからね」

 その時、俺の目に入ってくるのは服と肌の隙間から見える背中の痣。


「大変、だったな」

 ピーゼンデル14世も子供なりに───いや、子供だからこその恐怖を感じていたのだろう。

 暴力。そして、幽閉。こんなことをされて心が壊れないほうが事例は少ないだろう。


「お父さんに、会いたいか?」

 14世は、静かに頷いた。


「じゃあ、行こう。君の父親と、俺の仲間の再会に立ち会ってくれ」

「うん、わかった」


 俺たち4人と14世は、飛龍閣を後にした。飛龍閣は、しっかり元の王城に戻った。


 ***


「ブル爺、大丈夫か?おい、ブル爺!」

 シンドークはブルムンドのほっぺたをつねる。失神したブルムンドは動かない。


「やっぱり、失神してるんだよ」

 ブルムンドと様態は違えど、同じように満身創痍のユウヤがシンドークに声をかける。


「まだ死んでいない!なら、生きている!」

「どけ」


「───ッ!」

 シンドークは聞き慣れない声を聞き、咄嗟に自らの剣を引き抜き構える。


 そこにいたのは、黒いワンピースを着た謎の少女。

 その少女は、空中に浮いていた。


「終わりだと言うなら、面白い。そちらの手助けをしよう。ヒール」

「───何を」


「ん、怪我が」

 ユウヤの怪我が全て治っている。回復魔法。


「───。お嬢様...」

「ブルムンド!」

 シンドークは片目でブルムンドを見て、片目で黒いワンピースを着た少女を見る。


「お嬢様、私の右手が...」

 ブルムンドの欠損していた右手。それが、すっかりと生えていた。


「おい、どういうことだ!お前は何者───」

 もう、少女はいなくなっていた。


「どこに───」

「シンドーク、回復したならいいじゃないか」


「うむ、そう...だな」

 シンドークらしからぬ曖昧な回答に、目が醒めたばかりのブルムンドは理解できていなかった。


 ”ザーザー”


 {聞こえるか?リューガだ。王城の4階に集合してくれ}

 3人に、トランシーバーからそう連絡が来たのはその後すぐのことだった。


 ***


「やっと...到着した...」

 タンドンは、ヨロヨロになりながら、王城に到着した。


「皆は...まだ、戦っているのかな...」

「あ、あれはタンドンじゃない?」

「そのようだな...」

「おーい!タンドン!こっちだよぉ!」


 マユミとカゲユキが、2階の窓から手を降っている。


「今から、そっちに行くよ!」

 タンドンは、王城の2階へと上がりマユミ・カゲユキ・ホリーネスの3人と合流した。


 {聞こえるか?リューガだ。王城の4階に集合してくれ}

 合流した後、トモキから渡されたトランシーバーを持っていたマユミにそう連絡が入った。


 ***


 ここは、王城4階。

 部屋には、生き残った11人───俺・ショウガ・ユウヤ・マユミ・カゲユキ・ホリーネス・シンドーク・ブルムンド・タンドン・バトラズ・モンガと、ピーゼンデル14世とピーゼンデル13世の両名がいた。


「13人もいると、この部屋も狭いな!」

「私のことはいいので、広い部屋に移動して貰っていいですよ」

 13世は、そう言い皆の顔を見て微笑む。


「父上、大丈夫ですか?」

「あぁ、ごめんな、助けてやれなくて」

「親子の再会に水を差すのもあれだし、俺達は中庭に移動するか」


「あぁ...そうだな...」

 俺達は、13世と14世をおいて、王城の4階から中庭に移動した。


「残ったのは、11人か」

 俺の目に、クレハの姿は映らなかった。俺と別れた後、死んだのだろう。


「かなり、減ったな...」

「えぇ、そうね」

 流れるのは、沈黙。気まずい空気。


 ───そんな、沈黙を破ったのは。

「何をそんなに静かにしている!このシンドーク達は勝った!当初の目的は達成したのだ!それなら、それでいいじゃないか!」


「でも、死んでった人たちは───」

「生物なんざ、いつかは死ぬ!それとも、リューガ。お前はあれか?死していった者が文字通り命を賭し守ってきた信念を馬鹿にしているのか?」


 シンドークに、そんな言葉をかけられる。

「そうだな...俺が間違っていた」


 死んだ者は戻らない。


 ───なら、その死を否定されたらどうだろうか。


「こう言う時こそ、一番の感謝を───」


「こっちを見ろ」

「───ッ!」


 11人は、声がした上空を見る。この中の数人には、空中にいた黒いワンピースを着た少女に見覚えがある。


「お前はァ!」


 一番最初に声をあげたのはカゲユキ。


「回復の...」

 と、シンドークとバトラズは声をハモらせる。


「カゲユキ、こいつは誰だ?」

 俺は、カゲユキに問う。


「こいつは、夏都の1層の箱の中にいた眠っていた少女だよ!ネビロスと戦った後にはいなくなっていたけど、こんなところにッ!」


「聞け」


 その少女は、口を開ける。そして、こう語った。


「私は月光徒の長だ。私の末端ばかり殺しても何も変化はない。キュラスシタとフミヤの上司の名前はチューバだ。まずは、そこに行くのがいいだろう」


 月光徒の長。その少女は、そう名乗った。そして、消えてしまった。


 ───その場にいた11人全員に回復魔法をかけて消えていった。


ハイテンポで進んでいきます。


わざわざ長引かせる必要もないですし。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 死を惜しむのは当然だけど、月光徒がなんか企んでる可能性が高いし、時間ロス的な意味でも死を引きずらないのは良かったかもしれない。たぶん。 月光徒の長について こういう意味深なやつとか作品…
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