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第276話 弔い合戦 ─少女─

 

 リューガ達が飛龍閣の高層で戦い始めた時と同刻。

 両腕を無くしたバトラズは、虚を見ていた。


「もう...剣も握れないのか...」

 バトラズはそう呟く。剣士としての人生を終えたことの確信。

 バトラズに後悔はなかった。結果的に自らの行動はリューガを救いショウガを生き永らえさせる行動だったから。

 腕が無くなるのは確かに痛手だ。だが、友の死よりかは幾分も軽い。


「俺は...今後、どうしようかなぁ」

 バトラズはモンガの姿を瞼の裏に映す。現在も誰かの為に戦っているモンガ。


「まさか、この歳でご隠居生活か?」

 自ら放ったジョークを、自ら笑う。否、嗤う。嘲笑う。

「姫様はまだまだ旅をしたいだろうしよ...」


「もう、終わりだな。この世界も」


「───ッ!」

 バトラズは声をした方向を見上げる。そこにいたのは、黒い服を着た少女。

 真っ黒なワンピースだ。それをなびかせながら浮いている少女が、その顔には似合わない低く太い声で話しかけてくる。

「『創意』はもう、手に入らないだろうからな」

「お前は...何者だ?」


 バトラズの問いに少女は答えない。バトラズを見下しているだけであった。

「それにしても、面白い異世界人だな。少し、手助けしてみようか」

 少女は、そう呟く。そして、バトラズの方へ近付く。

「クソッ...戦う術はねぇ...」

 バトラズは、両腕のない身体で逃亡を謀る。


 ───が、やはり両腕のない身体で均衡を保つのは難しく転んでしまう。


「いや、逃げる必要はない。手助けをするだけだ。ヒール」

「───は?」

 バトラズの両腕はいつの間にか復活していた。五体満足に戻っていたのだ。

 それどころか、体に付けられた傷までもがなくなっている。回復したのだ。

「回復魔法?」

 少女は、消えていた。


「一体...何が」

 バトラズは唖然としている。

「少女は味方?一体、何者だ?」

 考えを巡らせても、結論に辿り着けないことを理解するとバトラズは首を振り、自らの愛刀を拾って高層へと走っていった。


 ***


「『破壊』!」

 リューガはリカの姿でアテムに向かって破壊を使用する。

「ファイヤー」

 アテムは冷静に魔法を使用する。いや、焦りなんていう感情はもう存在していないのかもしれないのだが。


「熱っ!」

 リューガはそう吠えつつも、アテムに向かって拳を振るう。

 これは、リカの『硬化』を利用したパンチだ。


「サンダー」

「───ッ!」

 リューガは後ろに下がる。


『飛閃軟突流  指突』


「───ッ!」

 アテムは首を傾けて、ショウガの攻撃を避ける。凄まじい、反射神経。


 ”ピュッ”


 アテムの頬から飛び出るのは、血。

「避けても、当たってたみたいだぜ?」

 そう言いながら、ショウガは後ろに下がる。こちらは、比較的優勢。


 ───そんな安堵が、いつも殺人を起こすのだ。

 ───安堵しては、ならない。


 ***


『2の舞 冷涼』


「───」


 “ガンッ”


 これほど、聞いたこともないような鈍い音。そんな音が、モンガとラシューの間で流れる。

「空気の壁か...」

 圧縮した空気の壁が、モンガの刀からラシューを守ったのだ。

「なら」


『4の舞 懺悔』


 “ドウッ”



「───ッ!」


 “ジョキィィン”


 斬られたのは、ラシューの両足首。ラシューは、宙に浮いて避けたのだが足首まで避けきれなかったようだ。

 本来なら、立ち上がることもできず首など楽に斬れるのだが、ラシューに関しては別。

 ラシューは大気を操る魔法を使って浮いているのだ。


「クソ...面倒くさいな」

 モンガは、ラシューを肉塊に変える勢いで刀を振るった。だが、空気の壁に邪魔され威力が9割9分ほどダウン。そして、飛んで逃げたことで狙った首筋に当てることも失敗した。


「スー」

 モンガは何かを察知して空気を吸う。

「よく、気が付きましたね」

 ラシューは両足首を斬られているはずなのに、まだ微笑んでいる。


「───」

 ラシューの斬ったはずの足首からは血は流れていない。

「足首は、空気で押さえているんです。空気で封じているので、菌も入りません」


 ───とんだチート魔法だな。


 そんな感想を、モンガはラシューに覚える。

 相手の周りから酸素を無くし、大気圧で相手を押しつぶすことも可能で、モンガの屈強な体じゃなければ、体の内側から爆散していただろう。攻撃もできるのに、自分の体が斬られても応急処置が可能などという、有能っぷり。


 だが、ラシューもモンガをチートキャラだと思っていた。


 屈強な体に、人間だとは思えない肺活量。そして、刀を振る力強さ。


「あなた一人相手するだけで目一杯ですよ」

 ラシューは笑顔でそう答える。ラシューの心内を知らないモンガは、それを一種の煽りだと捉えてしまう。


「───」


『4の舞 懺悔』


「───ッ!」

 喋れないモンガと、喋る余裕もないラシュー。

 咄嗟に、空気の厚い壁を作り、ラシューを大気圧で押しつぶそうと思案する。


 それを行うには、モンガの周りに空気を送り込む必要があるのだが、出し惜しみをして自らが死んでしまえばとんだ笑い話になってしまう。

 だから、モンガの周りに空気を送り込んだ。思案した内容は無事に遂行した。


 ───が、モンガの刀のエネルギーはまだまだ底を知らなかった。


「───ッ!」


 ”ドウッ”


 空気の壁。それがギリギリ、ラシューを守った。

 モンガに押し寄せる大気圧は、モンガの剣舞により吹き飛ばされてしまう。


「か───」

 モンガの肺から放ち撃たれたその警告。モンガの肺が空気を欲しがっているという証明。

「スー」

 モンガは、辺りに空気があることを確認し、空気を吸う。


「危なかったですね」


 ”ビュウウウ”


 ラシューがモンガを吹き飛ばす。大気で屈強なモンガを吹き飛ばしたのだ。


「な───」


 ”ガシッ”


 壁に打ち付けられる直前に、モンガを受け止めたのは、長年の相棒。


「姫様、助太刀するぜ」


「バトラズ、来てくれたか」


 ───やってきたのは、万全な状態のバトラズ。


 史上最強の心強い友、「剣鬼と剣姫」が、その真価を今魅せるッッッ!


「剣鬼と剣姫」推しのワイ、歓喜。

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