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第241話 老害

今年も一年、ありがとうございました。

来年も応援よろしくお願いします。

 

 ***


「王都に...侵入するかぁ?」

「そうに決まってる!貧都の皆を救えば英雄になれるんだぞ!いくら儲かると思ってんだ!」

「でも、他に侵入したやつがいるんじゃないかぁ?」

「だから、漁夫の利だよ!わかんないのか?」

「そ、そうだなぁ!じゃ、じゃあ行こう!ゴールデン!」


 ユウヤの育て親───正確には義父なのだが、育ててくれた義父親の仇である『金銀銅』の内、生きている2人。ゴールデンとブロンドンが春都の方向から、王都に侵入する。


 そして、狙うは王城。


 ───リューガ率いる「チーム一鶴」と、ゴールデン率いる「金銀銅」が戦いになるのは確実になった。

 ───誰と誰が戦うことになるのか。それは、神のみぞ知ることだろう。


 ***


「本当に浮いているな!浮いているな!浮いているな!浮いているな!浮いているな!近くで見ると大迫力だな!大迫力だな!大迫力だな!大迫力だな!大迫力だな!」

 マユミ・ノノーム・モルドフ・アテムの冬都組4人が、王城の入り口に到着する。


「皆と合流できるといいわね」

「えぇ、そうねぇ!」

「おい、嵐が起きてるぞ。あそこだけ」

「誰かが戦ってるってことだな!ことだな!ことだな!ことだな!ことだな!」

「じゃあ、行きましょう!」


「「あぁ!」」

「えぇ!」


 冬都組の4人も王城へと侵入する。


 ***


「さて、上に行く階段はここか?」

 ショウガは、階段を指差す。ショウガ・シンドーク・ブルムンド・モンガの4人は王城に侵入していた。

 ここは、王城の3階。そして、今いるのは4階へとあがる階段だ。

「あぁ、そのようだな!行くぞ、お前ら!」

「待ってください、お嬢様...」

「あ?」


 ”ザッ”


 ”キィィン”


 その直後、一人の男と、モンガの刀が交わる。そして、2人は一回距離をとる。


「おいおい、こんなところまで侵入してたのか!お前ら...って、こんなところで再会かよぉ!よぉ、老害!覚えてるか?俺だよ、俺。お前の右腕を切り落としたボドロだよぉ!」

 階上にいる男は、ボドロと名乗った。

「───ッ!」


 ここで、思いがけない邂逅をしたのはブルムンドとボドロだ。

 ブルムンドの右腕を斬り落としたのは紛れもなく、ボドロであった。


「ここは...私にやらせてください...」

 ブルムンドが珍しく自分の意見を述べる。


「待て、ブルムンド」

「なんですか...お嬢様。ここは...譲れませんよ?」

 ブルムンドは、静かに自らを制止してきたシンドークの方を見る。


「このシンドークもこの下劣な男と老害である貴様を戦わせるのには賛同だ」

「では、何が問題で?」

「このシンドーク以外に、貴様のことを”老害”と呼んでいいはずがない!このシンドーク以外、ブルムンド───貴様のことを”老害”とは呼んではならないのだ!」

 シンドークはブルムンドを剣の先で指しながら、ボドロの方を見る。

「暴論だ...」

「暴論だな...」


「このシンドーク以外に貴様のことを”老害”と呼んだ!故に、制裁を加えなければならない!このシンドークも、助太刀する!」

「お嬢様...ですが...」

「貴様は復讐できて、このシンドークも貴様の腕を切り取った強者と戦える。いいだろう?」

「はぁ...全く、お嬢様の我儘には構いませんよ...」

 ブルムンドはため息をつく。


「では、ここは私とお嬢様にまかせてショウガさんとモンガさんは先に行ってください...」

「あぁ、わかった!」

「御意」

 ショウガとモンガは、先を急ぐ。


「おっと、行かせはしないぜ?」


『飛閃軟突流  二突』


 ”ダッ”


 ”ダッ”


「───ッ!なんだよ、その奇天烈な技は!」


『1の() 麗花』


「───ッ!」

 ボドロはモンガの攻撃を避ける。


 否、モンガは自分とショウガが先に進む為にボドロの四肢を削いだだけであった。


「クソォ!待てよぉ!」

 ボドロは叫ぶも、ショウガとモンガは先に進んでいく。


「あなたの相手は...私ですよ?」

「このシンドークが相手になってやるんだ!感謝してくれてもいいんだぞ?」

「お前ら、調子に乗りやがってぇ!」

 ボドロは、創者なので、四肢はすぐに再生する。


「少なくとも、ボドロの急所は心臓ではない...私が実戦で確かめました...」

「その腕を無くし、大敗北をした実戦だろう?このシンドークには、老害である貴様が一方的に蹂躙されたとしか思えないのだけどな!」

「失礼ですね...私だって心臓くらい突きましたよ...」


「まぁ、あの時よりも俺だって強くなったんだぜ!ナメてもらっちゃぁ...困るなぁ!」

 ボドロは、完全に四肢を回復させた。そして、落としていた刀を拾う。


「よしよし、まずは刀で相手をしてやるよ!」

 ボドロは、階上からブルムンドに刀を向ける。


「このシンドークの前で、いつまで偉そうな態度を取れるかな?」


 ”ダッ”


 ”ダッ”


 ほぼ同時。コンマ一秒も無い差の間に、シンドークとボドロの2人は走り始める。


 ”カッ”


 ”カッ”


 シンドークとボドロは刀をぶつける。


 ”ダッ”


 その直後、壁を蹴るような音がする。階段を一気に登ってきたのは、御年78歳にもなるブルムンドであった。


「お嬢様...相手になってくれてありがとうございます」


 ブルムンドの刀が、ボドロの首筋に迫る。ブルムンドはボドロの首を狙ったのだ。


 ───その時、ボドロがニヤリと笑う。


 刀を持たぬ、ボドロの片方の手には銃が握られていた。

「───ッ!」


 ”バキュン”

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