第231話 王城侵入
223話 王都侵入
231話 王城侵入
少しずつ進軍。
***
春都組の4人は、王城の真下に到着する。
「本当に浮いているんだな...」
「このシンドークが住むのに相応しい王城だな!」
「お嬢様...」
「今更かもしれないのだが...ブルムンドさんの{お嬢様}呼びはシンドークが貴族だからか?」
ショウガは、ブルムンドに問う。
「えぇ...私は知っていましたから。お嬢様がフェルス家で、『創意』で創者になっていたことを...」
そう、ブルムンドは知っていた。ブルムンドがクビになったのは、王都と貧都を別ける壁が出来た後。
だから、フェルス家の事情は知っていたのだ。
「でも、カミールお坊ちゃまに口止めされていたので...」
「なら、このシンドークを男と呼んだのは...」
「そう、シンドークが昔は男だったのを知っていた...ということです」
フェニーと、ローク。ロークは貴族のことについてフィオーレ宰相から聞かされていたのだ。
「雑談は程々にして侵入するぞ...」
寡黙なモンガが、そう声を出す。
「えぇ...わかりました...それにしても、懐かしいですね...」
「このシンドークも来たことがあるのだろうか?」
「我も城には入ったことがあるんだが...いい思い出はないな...」
各々の思いを馳せて、春都組の4人は王都に侵入する。
「リューガに会うのも楽しみだ...強くなっているのだろうか...」
モンガが、そう呟いた。
「ちゅぱちゅぱ...うん...声は覚えた。我の名はショウガ!よし...これでオッケー!」
そこには、自分の指を舐めている男がいた。
三銃士の一角であるトーツ。『千変万化』のトーツは、ショウガの声を覚え、夏都組が侵入してくる出入り口の方へと向かう。
***
「ここが...王城かぁ...」
「すごいです!大きいです!」
秋都組の4人は、王城に到着する。
「とりあえず、侵入しようぜ?」
「えぇ...そうですね」
リカとユウヤは、泣き止み、前を向いている。
「私達で王様を倒しましょう!カミールさん達の為に!」
「あぁ...そうだな...」
「えっと...目指すのは浮いているところですよね?」
王城の上空にはフィオーレ宰相や14世がいる飛龍閣が浮いている。
「えっと...上階にはどうやって行きましょう?それに、リューガさん達と合流もしたいです!」
「そうだな、合流は大事だよな」
「上空の建物───名付けるなら、飛龍閣でしょうか。飛龍閣に行くなら、俺の魔法で行けますよ」
「なら、庭に行きましょう!」
リカの提案により、秋都組の4人は庭にへと向かう。
そこに待ち構えていたのは『暴風怒涛』のゲルタであったのは、まだ誰も知らない。
***
「王城...着いたな...」
「あぁ...そうだな」
「クレハは、大丈夫かな?」
俺は、そんな心配を口にする。
「だぁいじょぉうーぶぅじゃぁなぁい?」
「あぁ...大丈夫だな、クレハは強い。だから、大丈夫だ」
「自分の心配をした方がいいんじゃないか?」
ホリーネス・カゲユキ・バトラズの順に否定されてしまう。
「大丈夫、クレハはパット見だが、強いイメージを持った。俺でも勝てなさそうだ...」
バトラズはそんなことを呟く。
「リューガの味方、それだけ強い奴らばっかなの?」
「みんな、強いよ」
「そぉうだぁねぇ?」
「俺は強くないけどな...」
「まぁ、パワーインフレに付いてけなかったのはしょうがない」
俺らは、王城に侵入していく。そして、広い廊下があった。
「どっちに行けば正解なんだ?」
「ペアになって進んでいくか?」
「逸れるかもしれないが...大丈夫か?」
「全く、リューガは心配性だなぁ。3の世界だともっと勇敢じゃなかったか?」
「そうかもな...」
俺は、これ以上失うものが怖かった。そう、怖かったのだ。
「失うことを考えるより、得ることを考えようぜ?リューガ」
「バトラズ...」
「味方を信じろ。信じなければ、味方は死んじまう。友情なんて脆いんだから」
「そうか...そうだな...」
俺は、決めた。もちろん、失うことは怖い。でも、失うことばかり考えてしまう自分自身は、嫌いだ。だから───
「───俺、信じてみるよ。クレハを...皆を!」
「その粋だ!」
「じゃあ、左右に分かれよう。チームはどうする?」
「俺は...ホリーネスとでいいか?」
カゲユキのその声を聞くと、ホリーネスは微笑む。
「おぉもぉしぃろぉいーねぇ?」
「ホリーネスは強いし、協力しやすいんだ...困難な作戦も実行できる」
「ふふふ...カゲユキくぅんのぉ、さぁくぅせぇんはぁーおぉもしーろぉいぃかぁらぁねぇ?」
「じゃあ、俺はバトラズとだな」
「応」
「じゃあ、俺は右に行く」
「わぁたぁしぃたぁちーはぁ、左だぁねぇ?」
「そうだな...」
俺らは、そこで別れた。ペアになって進んでいく。
「おーい、リューガ!どこにいるんだ?リューガ!」
俺の耳に、ショウガの声が入ってくる。
「ショウガの声だ!」
「声はどっちから聞こえる?」
「こっちの方からするぞ?」
「じゃあ...行くぞ!」
「あぁ...そうだな!」
俺とバトラズは走る。俺は、正確には浮遊しながら移動しているのだが。
「おーい、リューガ!どこだぁ?どこにいるんだぁ!」
「ショウガ...ここだ!ショウガ!」
ショウガの声がする部屋の中に、俺とバトラズは入る。
───が、そこにいたのは、自分の指を咥えた見知らぬ男だった。
「お前が、リューガか?」
その見知らぬ男は、俺の名前を呼ぶ。声の主は間違いなくこの男だ。
「何故...ショウガの声を!」




