第22話 破壊の意思
「エイジン先生が到着しました!」
「お!それじゃあ、リューガを頼む!」
ショウジは案内人に俺を渡す。案内人の人の手はショウジよりも小さかった。
「エイジン先生...ってどんな人ですか?」
「エイジン先生は、『破壊』を極めたお方です!普段何をやっているかは知りませんけど...」
「そうなんですか...」
「年齢は131歳ですよ!」
「131歳なら...人間じゃなくて他の種族か...」
「いえ!人間ですよ?」
「え、そうなの?」
「はい!」
案内人と話をしていると一つのドアの前に着いた。
「ここにいます!」
案内人はドアを開ける。そこには一人のおじいさんがいた。おじいさんは椅子に座っている。
「この人が...エイジン先生?」
「そうです!」
「よろしく...」
「よろしくお願いします!」
案内人は部屋に出ていく。
「君が...リューガ君...かな?」
「そ、そ、そうです!」
「ひよこに...第5の適性が...出るとは...」
「初めてのことですか?」
「あぁ...人間以外に...『破壊の』適性が出るのは...初めてだ...それに...喋るひよこも...初めてみた...」
「そうですよね!喋るひよこ!珍しいですよね!」
「あぁ...喋る能力....でも...持っているのか?」
「いえ!実は俺...元は人間だったんです!」
「人間...か...何かの能力で...ひよこに?」
「あぁ!まぁ、そんな感じです!」
「そうか...それで...人間に...戻れない...のか?」
「まぁ...そんな感じですね!」
「そうか...なら、君に『破壊』を教えてあげよう...」
「ありがとうございます!」
「君は...『破壊』を手に入れたら...どうしたいんだい?」
「『破壊』を手に入れたら...ですか?」
「あぁ...能力の使い道を...聞いている...」
「地球に行くのに、使えたらいいなとは思っています!」
「チキュウ?それは...なんじゃ?」
「あぁ!俺が住んでいた国?世界?みたいなものです!」
「そうか...地球...か...」
「どうしましたか?」
「君には...目指すところが...あるのか...」
「はい!」
「そうか...その夢...ちゃんと叶えなさい?」
「はい!」
「それでは...『破壊』の能力を...まずは...見せる...外に...出なさい...」
「はい!」
エイジンは杖を持ってゆっくり外に出る。外には大小様々な石があった。
「この石がいいな...」
エイジンは大きな石の前に立つ。電子レンジくらいの大きさだ。
「失礼...」
”バキッ”
エイジンが石に手を当てると、石は破壊される。周りに落ちている小さな石ほどの大きさになってしまった。
「す...すげぇ...」
「まずは...小さな石から...壊して...みなさい...」
「はい!」
「コツは...『破壊』の意思と...感謝だぞ...」
「わかりました!」
「やり方は...手を当てる...それだけじゃ...」
「はい!」
俺はエイジンがやったように真似をしてみる。だが、石は砕けない。
「小さい石から...じゃな...それまでは...私は...見るだけ...」
「頑張ってみます!」
師匠は椅子を持ってきて座って見ている。俺は何度も小さな石に手を当てる。大きさは直径1cmほどだ。
「しっかり...感謝を...してるか?」
「感謝?」
「あぁ...自然に...感謝することが...大事じゃ...」
「自然に感謝か...」
俺は目をつぶる。そして、自然に感謝をする。
”ピキピキッ”
石から音がする。小さな石に少しだけヒビが入った。だが、割れない。
「ヒビだけか...」
「そう...だな...ヒビだけ...か...」
「どうしたらいいですか?」
「ヒントは...あげたはずだ...後は自分で...考えなさい...」
「は、はい!」
俺は何度も試した。何度も何度も。だが、ヒビしか入らない。割れることはないのだ。
「どうしたら...いいんだ...」
俺は考える。「自然の感謝」と「破壊の意思」が大切だと言っていた。破壊の意思が足りないのだろうか。
俺はキュラスシタのことを考える。壊れろ。壊れろ。壊れろ。
”バキッ”
小さな石が割れる。できた。成功だ。
「よくやったな...その調子で...少しずつ石を...デカくして行きなさい...」
「はい!」
俺は少し大きな石を選ぶ。と言っても、5cmもないような石だ。3cmほどだろうか。
また俺はキュラスシタのことを思い浮かべる。壊れろ。壊れろ。壊れろ。壊れろ。壊れろ。
だが、ヒビも入らない。
{私に頼ってばかりですね!私がいなければ小さな石も壊せない!実に滑稽ですね!}
頭の中でキュラスシタが俺のことをバカにしてくる。憎い。喋るな。死人が生物に話しかけるな。
”バキッ”
3cmほどの石も割れた。だが、またキュラスシタに対する怒りによって割れてしまったのだ。
毎回、あの不快な顔を思い出すのは嫌気がさす。さて、他にいい方法はないだろうか。
「2つ目も壊したか...成長が...早くて...いいことだな...」
「はい!ありがとうございます!」




