第188話 ブルムンド
今話で、Dead or chickenが201部分になりました!
これは読者様のおかげです!本当にありがとうございます!
応援コメントくれたって(ry
追記:少し長めになりました。細々とした話の調整の結果。
「おっと、戦いを始めるのかい?どうせ、『不死』の俺に勝負を挑むという行為は無駄だと思うけど?」
「その胸にある赤い球を壊してやる!作業的には、創者と同じだ!」
「へぇ、そんな扱いか...ひどいなぁ...」
フェニーはそんな事を言うと、剣を構える。鞘が見えなかったが、しっかりと武器は持っていたのだ。
「俺は創者じゃない。それだけは確かさ」
フェニーはショウガの方へ一瞬で近付く。
「───ッ!」
「遅いよ」
”ガッ”
ショウガは壁に吹き飛ばされる。腹は赤くなっているが、血は出ていない。
「峰打ちだから、安心して。君たちはすぐに死んでしまうからね。まだまだ、殺さないよ」
フェニーはニヤリと嗤う。
「クソ...手加減しやがって...」
「どうして手加減したことに文句を言うんだい?命を落とさなくて済んだのだから感謝じゃないのかい?」
「敵に情けをかけると、足元救われるぜ?」
「大丈夫、俺『不死』だから」
そう言うとほぼ同時に、ブルムンドはフェニーに斬りかかる。が、避けられた。
「え、今のブルムンド君の攻撃?凄くトロかったけど...今のが本気?」
ブルムンドは何も答えない。
「嘘だぁ!ブルムンド君、本気じゃないでしょ?本気って言わないよね?嘘って言ってくれるよね?こんなトロい剣のブルムンド君なんて、ブルムンド君じゃないよ!」
「私も...年をとった故...」
「えぇ?つまらないなぁ!仮にも6年前までは王族騎士団団長だったんでしょ?あ、でも6年もあればここまで退化していても、おかしくないかぁ?俺みたいに不老不死じゃないからねぇ?能力も持ってない人間だもんねぇ?でも、生きる道は刀だけだったんじゃないの?なのに、こんなにも退化しちゃったの?」
フェニーはブルムンドを煽る。
「ボドロに右腕を斬られて若い頃ほどの強さは出せないんですよ...『回転式剣武装』も放てませんしね」
「そう、じゃあ右腕があれば解決でしょ?」
そう言うと、フェニーは自分の右腕を斬り落とした。そして、ブルムンドの方へと投げる。
「使い方、わかってるでしょ?」
「おいおい、何をしたんだ?」
「俺の腕を貸すんだよ。ただ、それだけのことさ」
「腕を貸す?どういうことだよ!」
「『不死』の能力の一部で、相手に削った自分の肉体を貸すことができるんだよ」
ブルムンドは何もなかった右肩に、フェニーの右腕を付け、くっついた右手をグーパーさせる。
「おいおい、意味がわからないぞ?」
「作者が予約投稿してから、更新されるまでの間にブルムンドが隻腕だったことを思い出したんだよ。それまでは、両腕だと思ってたってこと。それで、急遽変えることになったんだけど、2000文字以上もも書き直すのは面倒だからフェニーから腕を貰おうってこと。結局は、大きな齟齬を潰す為に追加された小さな齟齬ってこと。ブルムンドも、名前回なのに不憫だよね」
「はは...全て解説してくれましたね...ため息もでませんよ...」
ここで、一息つく。まぁ、実際には作者が「ブルムンドは両腕ある」と思っていた時に書いていたところに繋がっただけなのだが。
「私が持っている刀は3本。これだけでは、まだ本気は出せませんよ...」
「そう?なら、何本刀を求める?」
「5本ほど...」
「そうだよな?やっぱり、ブルムンドの十八番と言えば『回転式剣武装』だよなぁ?」
フェニーは体のあちこちから刀を取り出し、ブルムンドに渡す。
「やるよ!俺は本気のお前と戦いてぇ!」
「元王族騎士団団長として...その願いを叶えさせてあげましょう...フェニーは副団長なので、何も欲しがりませんでしたよね...」
***
ブルムンドが、王族騎士団団長に選ばれた時、フェニーは王族騎士団副団長であった。
これは、ブルムンドが王族騎士団に入団した時からそうだった。
そう、ずっとだ。ずっと、フェニーは王族騎士団副団長だったのだ。
権力を求めないフェニーにとっての最高の立ち位置だったのだ。
「なぁ、団長?ヤクザのアジト、どうする?」
「フェニー、行けるか?」
「当たり前よ!任せてもらうために聞いたんだから!」
「お前の『不死』は最強だからな...敵からしてみれば恐怖の対象でしかない」
「まぁ、そうですね!団長でも俺には勝てないんじゃないですか?」
「一度、お手合わせしてみますかな?」
「いや、遠慮しとく。コテンパンにされて、士気ダダ下がりだわ」
フェニーはそう言いつつ笑うと、ヤクザのアジトへと歩みを進めた。
***
ブルムンドとフェニー。双方が睨み合う。お互いに動かない。
「おい、とっとと動けや老害!」
そんなヤジをシンドークが飛ばすが、2人は動かない。
「役に立たない老害だな...このシンドークが斬り刻んで消してや───」
そう言って、シンドークがフェニーの方へ移動しようとした、次の瞬間だった。
空気の斬れる音がする。
『回転式剣武装・1本の陣・超居合』
ブルムンドから放たれたのは、居合を超えた居合。超居合。
ブルムンドとフェニーの間は、ブルムンドが腕を伸ばして刀を持っても届かない距離だった。
だが、『超居合』では、自分の刀が斬れる範囲の2倍までを斬り刻める。
「ぐあああ!これだよ!この感覚!ブルムンド君!思い出した?」
「まだまだですよ...」
「やべぇ...なんだ...今の技は...」
シンドークが震えている。倒れそうになるところを、ショウガが支えた。
「あんなの当たったら...死ぬしかないじゃねぇか...避けられない...」
「ブルムンドさんは...本気を出していなかったんじゃなく、出さないでいてくれたようだね...」
リンザルがショウガの肩に手を置く。
フェニーの左手は、細切れになっていたと言うのに、もう再生していた。体から新たな皮膚が湧いて出てくるのだ。
「やはり...異常なほどの再生能力ですね...」
「78歳なのに、よくそんな剣振れるよな?」
「慣れですよ...慣れ...」
その瞬間、フェニーがブルムンドに近付く。
『回転式剣武装・6本の陣・大風車』
「───ッ!」
フェニーは急いで、横に避ける。───が、鼻が取れた。
「鼻を斬り取りやがった!やっぱ、威力おかしいだろ!」
「この程度...剣士ならば誰でもできますよ...」
「あぁ、チート野郎が!俺が『不死』じゃなければ、負けてたぜ!」
『回転式剣武装・2本の陣・飛来刀』
「これはーーーッ!」
フェニーは飛んでくる刀を腕で掴む。その瞬間、フェニーのことをブルムンドが斬った。
「あぁ...クソが...見たことあったのに...なんで対処できないんだよぉ...」
「ほとんど、見たことある技でしょう?見せていないのは失敗の可能性が高い、抜剣神くらいでしょうし...」
ブルムンドとフェニーのタイマンはまだまだ続く。




