第181話 式神
「さて、どうしましょうか...」
「さて、どうやったら俺に勝てるでしょう?」
「そんなの、近付くことに決まってるだろう!」
ショウガがピーペの方へ走っていく。
「ペースト!」
ショウガの分身が出てくる。それを何の躊躇もなく、ショウガは斬り伏せた。
「んなぁ?早くねぇ?複製体でも自分なんだぞ?」
「我は我のみだ!」
そう言うと、ショウガはピーペに向かって刀を振るう。
「そんな刀止めてやる!刃止め!」
ピーペが自分の顔面の前で、手をクロスさせる。そこに、ショウガの刀が当たる。
「ふん!止めれる───ぐはっ!」
『飛閃軟突流 背反〜対〜』
「るろ剣のネタは駄目だと言っただろう?覚えてないのか?」
ショウガの腹から出てきた2本目の刀は、ピーペの腹に突き刺さっている。
「腹と腹でポッキーゲームみたいなことやってる!ショウガは僕の嫁だぞ!」
「ポッキーゲームなんかでは、断じてないし、我はまだ嫁になるとは言ってない!それに、こんな全身タイツ野郎とポッキーゲームをするくらいなら死んだほうがマシだ!」
「え、俺そんな嫌われてる?」
ピーペは腹に刀が刺さっているのにもかかわらず、軽口を叩く。即ち、急所でない証明だ。ショウガは急いで刀を抜く。
「さぁて、どうしたものか...」
「ペースト!」
そこには、大量のブルムンドの複製体が生まれる。
「なんだよ...この量...」
「恐ろしいだろう?ビル50棟よりも凄いだろう?」
「比べるな。あっちの方が役立つだろう?」
「でも、生物を生物のままコピー出来るんだぜ?あっちは───」
「うるさいですよ。ゴミムシが」
ブルムンドが、ピーペの首をはねる。
「───ッ!」
ピーペは苦悶の表情と共に小さな悲鳴をあげる。
「私の複製体を作ったなら、どれが本物の私か検討もつかないでしょうからね。少し責めさせてもらいました」
ブルムンドはそうして、自分の複製体に攻撃を始める。
「クソッ!こいつら強い!」
「ブルムンドさんが強いことの証明なのだけれど...敵になると随分と面倒だね...」
「褒め言葉として受け取っておきます」
それぞれは、ブルムンドの複製体に攻撃を始めた。
一方、シンドークは。
「老害の複製が増えやがった!自分の複製も面倒なのに!どうして死なないんだよ!消えろカス!消えろ!」
何度も復活する自分の複製体に悪戦苦闘していた。
ショウガ達3人は、ブルムンドの複製体を斬り伏せていた。だが、ブルムンドは相当の実力者だ。それをそのままコピーされると対応もしずらい。
「あぁ!強い!面倒だ!」
「しょうがない...一気に終わらせよう...ぺっ!」
リンザルは唾を吐く。そして、それを式神に変えた。
「残念、式神を作ったのは間違いだったな!コピー・アンド・ペースト!」
式神はコピーされる。式神の複製が出来る。
「なっ!リンザルの式神までコピーされた!どうする?」
「しょうがない...攻撃を続けましょう」
「ははは!式神も増やしてやる!こいつは小さいが、増えれば迷惑だろうからな!ペースト!」
どんどん、式神は増えていく。小虫の式神は大量に増えていく。そして、頭上を飛んでいる。
「───ッ!」
リンザルの動きが一瞬止まる。それを、ブルムンドが助ける。
「大丈夫か?」
「あぁ...すまないね。ブルムンドさん。でも、勝てそうだよ。おかげでね」
「ん?」
ピーペによって増やされた大量の式神が、ピーペを囲む。
「なっ...なんだこいつら!敵は俺じゃないぞ?」
「いいや、敵はお前さ。ピーペ。お前の能力が役に立ったぜ」
「どういうことだ?」
「お前のコピー・アンド・ペーストはペーストしたものはコピーしたものと同じ性能なんだ!だから、俺の能力である式神をコピーすればその複製体の式神も僕は操作できる。要するに、お前は自分で敵を増やしてたって訳ね?」
「なっ...何ィーーッ!」
リンザルの式神は、ピーペの体を文字通り蝕む。そして、そのままピーペは消えてなくなった。
───そして、作られた複製体も全て消える。死んでも死ななかったシンドークの複製体もだ。
「ふぅ...やっと終わりましたか」
「ねぇ、今回も活躍したよ?結婚は?結婚は?」
「今回は大活躍だったな...約束通り、王を倒しこの9の世界を救ったなら結婚しようじゃないか!」
「やったね!結婚だ!大好き!」
「あぁ!ちょ、暑苦しい!抱きつくなぁ!」
「おめでとうございます」
「このシンドークも祝詞あげてやろう!感謝しろ!」
「何か...欲しいものはありますか?」
「そうだな...じゃあ、祝福しろ!結婚にはそれが必要だ!」
ショウガは大々的に宣言する。
「なぁ...ショウガ。随分と積極的だね」
「じゃあ、このシンドークも祝詞をやる!おめでとうな!」
「えぇ...おめでとうございます。この老木も結婚式に呼んでくださいね」
「あぁ!呼んでやる!16人全員呼んでやるよ!」
皆、笑っていた。
───ショウガ達4人は知らなかった。今後、その身に降りかかる絶望を。
ブラックジョークで、ショウガは死にます。




