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第176話 必然

 

 ***


 夏都の8層でクレハが『元に戻る!』を使ったが為に、時間を巻き戻るところが、どこかで戻る必要がある。

 それを、夏都以外の人達は「偶然」という産物なので、上手く利用することはできない。

 言ってしまえば、それは邪魔なのである。

 秋都のツー戦では、『元に戻る!』を利用して勝利したのだが、それも偶然だった。

 結局は偶然なのである。偶然。その偶然を穴に埋めるように、必然を用意する必要があるのだ。


 ということで、「必然」を用意する。場は8層での戦いを終えた秋都だ。


「じゃあ、9層に行くか?」

「あぁ...そうだな」

 リカ達4人は階段を登る。すると───


「───ッ!」

 リカ達は下段に下がっていた。時が戻ったのだ。

「クレハが『元に戻る!』を使ったんだろ?」

 タンドンは何もなかったかのように語る。

「他のみんなも頑張ってるようですね!」

「そうだな!」

 リカ達は、また階段をあげる。するとまた、時が戻る。


「またですか...」

「まぁ、階段を登ってる限りは戦いに支障はでないし大丈夫だろ?」

「はい、そうですね」

 こうして、後一度時戻しに妨害を受けて、リカ達4人は9層に到着した。


 ***


 時と場は、冬都を攻略している4人のメンバーが、8層でヴァインドフとナタヤマと接敵したところに戻る。

「可愛い可愛い妹をいじめやがってぇ!お前ら、ただじゃ置かねぇ!」

「お兄ちゃん、一緒に悪い奴らを倒そう!ほら、早く死に腐れよ!クソビッチ集団が!」


「クソビッチって女は私しかいないんだけど...」

 マユミが呟く。その口調は呆れているようだ。


 ナタヤマは、髪が2色に別れている。右側が黒で、左側が赤。ウタのように頭の真ん中で色が分かれている。

「さて、勝負しよう!お前ら!行くぞ!」

「───ッ!」


 その瞬間、ナタヤマが回転し始める。嵐のように風を巻いている。速度が早く、髪も全て黒く見える。

「これ、当たったらマズくないか?」

「えぇ、そのようね...」

「流石、お兄ちゃん!そのまま真っ直ぐ行っちゃって!」

 ナタヤマはトモキ達4人の方へ回転しながら移動してくる。

「うおっ!急げ!」

 4人達はバラバラの方向に避ける。ナタヤマの攻撃は当たらない。そして、ナタヤマは壁にぶつかる。

「ちぇ!避けられたか!」

「お兄ちゃん!私も参戦するよ!」

 ヴァインドフも両手をドリルに変える。


 ”ギュルルルルルルル”


「ちっ!こいつら、両方とも高速回転を武器にしてるのか!」

「そうね...」

 トモキとマユミは背を付けて会話をしている。後ろを振り向くと、そこからナタヤマが回転しながら突っ込んで来そうなのだ。横目で相手できる敵ではない。

「みんな!大丈夫そうか?」

「あぁ!俺は大丈夫だけど...」

「俺も大丈夫だ!大丈夫だ!大丈夫だ!大丈夫だ!大丈夫だ!」


「お兄ちゃん!私は女のいる方を行く!だから、お兄ちゃんは右側をお願い!」

「了解した!健闘を祈ってるおるぜ!可愛い妹よ!」

 そう言うと、ヴァインドフはトモキとマユミの方へ、ナタヤマはノノームとモルドフの方へ移動した。


「じゃあ、勝負しようぜ...ヴァインドフちゃん!」

「ちょっと、私の名前を気安く呼ばないでよね!この汗臭童貞野郎!」

 トモキは、この上なく屈辱的な六字熟語の暴言を吐かれるがそれを華麗に無視する。


「その手、落としてやる!」

 トモキは、ヴァインドフに近付く。そして、ヴァインドフの肘に向けて踵落としをする。

「その足、削り落としてやるわ!」


 ミンチ・・・自分の両腕をドリルに変化させることが可能。


 トモキの方に、ドリルが向く。───が、

「ロック!」

 トモキの体を守るように、土が出てくる。

「ありがとな、マユミ!」

「当たり前よ!」

 トモキは、片手をマユミの出したロックの上に置き、自分の体をヒョイと持ち上げ、ロックの上に乗る。

「まずは、首だぁ!」

「───ッ!」

 トモキはロックの上で回し蹴りをする。それは、丁度ヴァインドフの首と同じ高さだ。


 ”ベチャッ”


 ヴァインドフの首は、トモキに蹴られ壁に叩きつけられる。

「んぉ...おうも、えいああって(よくも、蹴りやがって)...」

 ヴァインドフの首と胴が繋がろうとしている。だが───


「両手のその武器を切り落としてやるよ!」

 ヴァインドフの右腕が肘から折られる。すると、ヴァインドフの体は塵となって消えていく。


「あぁ...まあああいあ(まだ私は)...」


 そこで、必然が起こる。

「───ッ!」

 時が戻る。トモキは、回し蹴りをする瞬間だった。ヴァインドフは咄嗟に避ける。

「クソッ!『元に戻る!』が発動したか...」

「そのようね...」

「残念!私を殺せなかったわね!私は神に味方されている!」

「クソッ!面倒くせぇ...」

 トモキが、ヴァインドフの方へ移動する。ヴァインドフは、トモキの方に、右手のドリルを向ける。

「お前のドリルなんざ、効くわけ無いだろ!」


 ヴァインドフのドリルギリギリで、トモキは屈んでヴァインドフに近付く。そして、右腕の肘を殴って破壊した。


「───ッ!」

 その瞬間、左手のドリルがトモキを襲う。



 が───



 時は戻った。ヴァインドフの方へ攻めに行く前であった。

「まぁた、時が戻った」

「ハッ!偶然に助けられて、情けない!」

「アンタがよく言うぜ!そろそろ、勝負をつけようじゃねぇか!」

「えぇ、ドンと来なさい!」

「ファイヤー!」

 マユミが、ヴァインドフに火を点ける。それに驚いたヴァインドフを、トモキは見逃さなかった。


「残念だったな!お前の負けだ!」

 その瞬間、また時は戻る。が、そんなことをトモキは気にしない。


「戻るなら、その10秒の間に殺してやるよ!」

 ヴァインドフは焦って、左手のドリルをトモキに向ける。が、トモキは右に避けて、右腕を肘のところで折って破壊する。


「───ッ!」

「お前の負け!それは、決まっていた結果なんだよぉ!」

 トモキはヴァインドフの首を蹴る。すると、ヴァインドフの首は壁にこびりついた。


 そのまま、首は残らずに塵となって消えていく。


「勝ったな、今度こそ」

「えぇ...そうね!」


「妹がやられただと?クソォォ!」

 ナタヤマが、トモキに休みを与えずに回転したまま攻めてくる。


「危なっ!」

 トモキは、ナタヤマをギリギリで避ける。

「ちっ、避けられたか」

 ナタヤマは壁にぶつかって止まる。


「8層、第二ラウンド。始めようじゃないか!」

「おう!望むところだ!」

トモキとマユミがヴァインドフと戦っている間、ノノームとモルドフはずっと回転するナタヤマから避けていました。そこは、書きません。


1話にするか、迷った。

vsナタヤマで1話書けるかは不明。

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