第175話 ドM魂
春都 ショウガ・シンドーク・ブルムンド・リンザル
夏都 リューガ・カゲユキ・ホリーネス・クレハ
秋都 リカ・ユウヤ・カミール・タンドン
冬都 トモキ・マユミ・ノノーム・モルドフ
各々の能力
トモキ 格闘家 能力は無し
マユミ 魔法使い 能力は無し
ノノーム 『振動』・・・触れた物質を揺らすことが可能。
モルドフ 『色彩』・・・物体の色を変更することが可能。相手の心の色も操ることが可能。
トモキ・マユミ・ノノーム・モルドフの4人は冬都の7層へと向かう。そこには───
「あ、侵入者だぁ。マジキモーイ」
黒目・黒髪で低身長。日本人の特徴を全て兼ね備えたかのような女性がそこにはいた。
「お...お前は?」
「何キョドってんの?気持ち悪いわぁ...あれでしょ?童貞で女の子と喋ったことないし、手を繋ぐなんて夢のまた夢なんでしょ?それで、私と喋れて興奮してるんでしょ?マジキモーイ」
その女は、一重の目でこちらを睨んでくる。トモキは出合い頭に侮辱された。
「なっ...なんだよ、お前。出会ってすぐに人の事を馬鹿にしやがって」
「でも、実際馬鹿でしょ?そんな筋肉で。脳みそまでどうせ筋肉で出来てるんだから、すぐプッツンして人を殴ることしかできなくなるんでしょ?」
「お前!」
「トモキ、挑発に乗らないで」
トモキはマユミに止められる。
「でも...」
「相手の作戦よ。口が悪い女はあんたも慣れてるでしょ」
「あぁ、超慣れてる。なんなら5年以上の仲」
「はぁ、本人の前で酷い言い草よねぇ...」
「何?あんたら付き合ってるの?リア充なのか。外でイチャイチャしやがって...迷惑なのが本人達からはわからないんだよね?バカップルだから。馬鹿だから」
「付き合ってないわよ。こんな馬鹿と」
「あらそう?馬鹿とは付き合いたくないものね?」
「えぇ、馬鹿とは付き合いたくないわ」
「お前らさっきから人のこと馬鹿扱いして酷すぎやしませんかね?」
「「実際、アンタは馬鹿でしょ」」
トモキがマユミと性悪な少女に抗議をするも、すぐにバッサリと切られる。
「トモキ君!トモキ君!トモキ君!トモキ君!トモキ君!酷い言われようだな!言われようだな!言われようだな!言われようだな!言われようだな!」
「何こいつ?うるさ。静かにできない?何度も反復して言わなくていいよ?マジキモーイ」
「こいつ...こいつ...こいつ...こいつ...こいつ...中々に性悪だな...性悪だな...性悪だな...性悪だな...性悪だな...」
「そんなの、わかってるわよ。で、無様に死に晒して。どうせ、ショボいお前らはショボい死因だと思うけど。例えば、尻に指揮棒が刺さって死ぬ」
「戦う前に俺のことも侮辱してくれ...頼むよ」
「は、キモ。どっかいけよ。アンタには用はねぇよ。クソカスが。下痢にでもなって腐れ死んどけ」
「あぁ!ご褒美頂きました!もっとください!」
モルドフは一人騒いでいる。
「ははぁ...こいつドM?私、嫌いなんだよね。ドM。自分で行動できない人の塊みたいなもんでしょ?尻叩いてやるからとっとといなくなってくんない?」
「え、尻叩いてくれるんですか?」
「叩いてやるよ。こっちこい」
「ぐへへ...ご褒美だぁ...」
「おい、モルドフ!近付いたら危ないぞ!」
トモキの声は虚しくもモルドフには届かない。
……虚しいのか?
「へへ...尻を...尻を叩いてください...」
「叩かないわよ!その代わり大きくしてあげるわ!」
その瞬間、その少女の右手が巨大なドリルに変わる。
「糞撒き散らして死ねぇぇぇぇ!」
”ギュルルルルルルル”
ドリルが回転する音がする。ブツを漏らしている音ではない。もう一度いう。これは、ドリルが回転する音だ。
”ガガガガガガ”
「あぁぁ!気持ちいい!」
「え?」
モルドフの尻には、ドリルが突っ込まれる。
「あぁぁ!そこだよ!そこ!そこ!そこぉ!」
「え、なんで?なんで?」
「恐ろしいよ...ドM魂...」
「モルドフ君!モルドフ君!モルドフ君!モルドフ君!モルドフ君!囮役感謝する!感謝する!感謝する!感謝する!感謝する!感謝する!」
「───ッ!」
ノノームが、その性悪な少女の後ろに回り込み、その肌に触れる。すると、その性悪な少女は振動し始めた。
「うぷ...ゔぉええええ...」
性悪な少女は、口から血と吐瀉物を吐き出す。それは、全てモルドフにかけられる。
「あぁぁぁ!ご褒美ありがとうございますぅぅ!」
「アホだな...あいつ...」
「そうね...」
性悪な少女は、ノノームの『振動』から解放される。
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!お兄ちゃぁぁぁぁぁぁん!」
「え?」
「酷いよぉぉぉぉぉ!みんな私のことをいじめるんだよぉぉぉぉ!」
性悪な少女は、そう言うと8層への階段を走って登っていく。
「追いかけるぞ!」
「えぇ!」
「あぁ!」
「おう!おう!おう!おう!おう!」
トモキ達4人は8層へとあがる。そこには───
「うえぇぇぇぇぇん!お兄ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!こいつら酷いんだよぉぉぉぉぉ!よってたかって私のことをいじめるんだよぉぉぉ!怖かったよぉぉぉ!」
「俺の可愛い可愛い妹をいじめる輩だと?うおぉぉぉぉぉ!許せん!」
性悪な少女の兄であろう男は、こちらに突っ込んでくる。
「───ッ!」
「ロック!」
その男は、土の壁にぶつかり、その後、トモキのアッパーを喰らい、その場に止まる。
「お前らは何者だ?」
「俺はナタヤマだ!それで、妹はヴァインドフだ!俺の可愛い可愛い妹をいじめ屋ががって!許さないぞ!」
「私、お兄ちゃんと結婚するの!だから、アンタらはどっか行って野垂れ死んとけ!」
性悪な少女は、ヴァインドフと、その兄はナタヤマと名乗った。
モルドフが尻にドリルが入っても生きているのはドMだからです。
ドMじゃなければ死んでいた!




