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第169話 ≠ショウガ

 リューガ・カゲユキ・ホリーネス・クレハの4人は、夏都の7層へとあがる。

 そこには───


「遂に来たのか、侵入者!ここに来てから1ヶ月半で、初仕事だ!緊張するなぁ!」

「なっ...」


 そこにいたのは、ショウガ似た女だった。

 髪は茶髪で、そのツリ目は涅色であった。容姿端麗な顔立ちに、豊かな双丘。ムチムチとした太モモと、特徴は一致していた。ただ一点、違うところがあるとするのなら、黒ではなく淡いピンク色のビキニであるところだろうか。そのレースのついた淡いピンク色をしたビキニをそのショウガに似た女は着こなしていた。


「お前...ショウガなのか?」

「ん?我はショウガなんて名前じゃない!我の名はJ.J.だ!」

 ショウガ似のその女はJ.J.と名乗る。


「ショウガじゃ...ないんだな?」

「あぁ、そうだ!我はJ.J.だ!それで、ショウガってのは誰のことなんだ?」

「俺達の仲間だ」

「そうか、そうか!って、ヒヨコが喋っただと?」

 J.J.は少し驚いたような顔をしている。

「そんなに珍しいか?」

「初めて見たぞ!喋るヒヨコなんて!まぁ、この世界で創られてまだ一ヶ月半も経ってないのだが...」

「待て、その1ヶ月半前まではいなかったのか?」

「あぁ、そうだ!我の前任のワインダーって奴がいなくなったらしいから、我が生まれたんだ!」

「そうなのか...」

 クレハは険しい顔をする。


「どぉうしぃたぁのぉ?」

「いや、ワインダーの後任がこんなショウガに似てるとなると何か裏を感じてな」

「そぉれぇはぁ、そぉうだぁねぇ?」

 ホリーネスはクレハの答えに同意を示す。


「我のミッションは時間稼ぎだ!お前らをできるだけここに留めさせる!できれば、殺したほうがいいから死なないように頑張れよ!」

 J.J.はペラペラと目的を話す。


「それじゃ、勝負を始めようじゃないか!」

「なぁんか、感じのらないなぁ...」

「相手がショウガみたいだからか?」

「あぁ...それもある...」

 クレハが剣を構えながら、語る。

「一応、『柔軟』には気をつけておけよ?」

「あぁ、わかってる」


 ”ダッ”


 クレハが踏み込み、J.J.の方へ瞬時に移動する。そして、心臓を一突き




 ───できていない。



「なっ!」

 クレハは瞬時にその場を離れる。J.J.の胸のあたりには、ぽっかりと穴が空いていた。反対側がはっきりと見えるほどの穴。剣で開けた穴でも、銃で撃たれた穴でもない。独りでに穴が空いたのだ。

「『柔軟』が本当に使えたのか?」

「我の能力は『体型変化』だ!お前の剣なんて絶対に当たらないよぉ!」

 胸に空いた穴は埋まっていく。ブラジャーのような形をしたトップスがズレて、中身が見えてしまいそうだ。

 てか、乳輪は見えている。いい。


「どうした?我のことをそんな顔で見て?」

「少し面倒な能力だと思ってな...」

 カゲユキが少し嫌な顔をしながら、そう答える。よかった。J.J.に、ニヤけているのがバレたのかと思った。まぁ、ヒヨコの姿ならニヤけててもバレない。


「ざぁんげぇきーもぉ、よぉけぇらぁれーそぉうだぁねぇ?」

「あぁ...そうだな...」

「すまない、今回の戦いで私は無力だ」

「しょうがない、剣以外にも、銃や拳は当たら無さそうだしな」

「まぁほぉうはぁ、どぉうだぁろーうねぇ?」

 ホリーネスがカゲユキの方を見る。


「試してみよう...ファイヤー!」

 J.J.の体に火が付いた。

「なっ!勝手に火が付いただとぉ?」

 J.J.は酷く焦っている。パンパンと自分の髪を叩いて、髪についた火を消そうとしている。

「あぁ!服にまで火が!」

 あれま、これまた大変だ。J.J.の上下両方に火が付いた。こりゃ、時間の問題だな。


「えっと、こういう時はどうすればいいんだっけか?死んだふりだっけか?」

「熊と出会ったときだろ、それは」

 俺は真顔でツッコむ。何と勘違いをしているんだ。

「しょうがない、脱ぐしか無いか!」

 J.J.はそう言うと、火のついた淡いピンク色───少し燃えたので黒く色ががったビキニを脱いだ。紐だったので一瞬だった。風流なんて無い。そして、J.J.は大事なところをしっかりと手で隠している。興奮が止まらんぞ。ショウガには謝っておこう、ごめん。


「これで、攻撃は喰らわなくても攻撃できなくなってしまったか...」

 J.J.は少し焦ったような顔でそう言う。服を燃やされることに躊躇いはないのか。


「攻撃なら、まだ出来るぞ。サンダー!」


 ”ピシャリ”


 カゲユキは少し頬を赤らめながら雷を落とす。思春期ですね、わかります。まぁ、俺も人型ならばやばかった。ビンビンよ。何がとは言わないけどビンビン。


「くそう...魔法は当たっちまう...どうすればいいんだ...」

 J.J.が胸と股間を手で隠しながら雷から逃げ回っている。上の方はガードが甘く、すこし見えている。


「手が使えないなんて、戦いづらいな...よし!」

 そう言うと、J.J.の首から下がドロドロと溶けていく。でも、首だけは残っている状況だ。そして───



「これならどうだ!」

 そこには、股関には何も付いてなければ穴もない、無生物の姿をしたJ.J.が立っていた。もちろん顔はショウガに似たJ.J.のままだ。胸は無くなっていた。


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