表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/1070

第162話 守馬

 

 トモキ達4人は、冬都の5層へと向かう。

「猫には申し訳ないけど...5層の人は───」

「うわぁ!かっわいい!」

 珍しく、マユミが嬉しそうな声を出す。5層にいたのは、ユニコーン───否、ペガサスだった。


「ペガサスか?」

 {否。我が名はペガスス。5層の守馬だ}

「───ッ!」

 ペガススの声が、トモキの脳内に直接入り込んでくる。

「な...なんだ?」

 トモキは驚き、声を上げる。

「トモキ、どうした?」

「大丈夫?」

「何かあったのか?攻撃か?攻撃か?攻撃か?攻撃か?攻撃か?」


「え...みんなには聞こえないのか?」

 トモキは困惑する。

「え、聞こえるって何が?」

「ペガススの声だよ!」

「ペガスス?ペガサスじゃなくて?」

「あいつは、ペガススって名乗ったんだよ!」

 {あなた以外に、私の声が聞こえることはありません。あなたは、珍しい人間です}

「どういうことだ?」

「ちょっと、トモキ...誰と会話してるの?怖いんだけど...」


 {あなたは、動物との親和性がとても高い。経験はございませんか?動物から違和感があるほどに懐かれるような思い出は}

「あ...」

 トモキは心当たりが何個もある。その、親和性が高いことによって、トモキの家庭は崩壊したのだ。


「心当たり...あるぜ...いい思い出も、悪い思い出も。いや、悪い思い出の方が多いな」

 {そうですか。それは大変でしたね。創者の中でも私や猫又。そして、赤龍は異端な存在。能力を持たず空想の動物、仮想の動物として生まれてきたのです}

「やっぱり『創意』で創られたのか...」

 {はい、そうですね。下層にいた猫又もそうです。人に化ける力を持っていたでしょう?}

「あぁ...持っていた」

 {それが、猫又本来の力です。まぁ、それも空想上の力であるのですが}

「そう...だったのか...」

 トモキは先程殺した三毛猫が脳に鮮明に残っている。まぁ、マオやヨナの事をすっかり忘れたって訳じゃないのだが。


「それで、ペガススさん。あんたの生まれ方はわかった。動物との親和性が高くて俺だけがお前と会話することが出来ることだってわかった。でも、あんたは俺にそれを喋って何を企んでる?」

 {何も、企んでたりはしませんよ}

「嘘つけ。どこから攻撃するか迷っている。違うか?」

 {そんなの、迷いませんよ。一斉攻撃なんて余裕なんですから。こんな風にね}

「───ッ!」


 ”ピシャッ”


「なっ...きゃあ!」

 トモキは攻撃が来ることがあったので避けられた。だが、マユミ達は攻撃の予測が不可能だった為に、避けるのが遅れた。

「3人共、大丈夫か?」

「トモキ!あんた、ホントにペガサスと会話できるの?」

「あぁ、なんかそうらしい!」

「なら、トモキを中心として中心として中心として中心として中心として話を進めるのが一番効率的か?効率的か?効率的か?効率的か?効率的か?」

「多分、そうだろうね!」

 モルドフは雷に打たれ、少し焦げた服を擦りながら嬉しそうに飛び跳ねている。

「そう言えば、モルドフ...ドMだったな...」


「それで、どうするの?集中攻撃しちゃう?」

「あぁ、それでもいいかもな...」

 {さぁ、勝負する時は来ました。動物と親和性の高いあなたを殺すのは嫌ですが...雌雄を決する殺し合いと行きましょう}


 ペガススから、勝負の開始が宣言される。トモキは、その瞬間、ペガススの方へ走っていく。

 {───ッ!}

「遅いな。ペガススさんよぉ!」

 トモキがペガススを捕まえようとした、次の瞬間だった。


 ”ボウッ”


 何かが燃える音───否、何かが燃えるも一瞬にして消される音が聞こえた。


 そして、トモキの手の中にはペガススはいない。

 {先手必勝と言うが、これ程まで速く決着と付けようとする戦いは見たことがない}

「そうか?これが、普通だと思うんだが」

「逃げられた!私がファイヤーで燃やそうとしたのに!」

「え、マユミ俺が向かってたんだぞ?そんな危険なこと...」

 マユミはぺろりと舌を出す。


 当たってなかったので良かったが、充分トモキに火が付く可能性もあったのだ。

「てへぺろ」

「{てへぺろ}じゃねぇ!俺、燃えるところだったんだぞ!」

「ごめんちゃい!」

「反省してねぇだろ...」

 トモキはマユミを睨む。その瞬間も、ノノームはペガススを追いかけている。


「こいつ、こいつ、こいつ、こいつ、こいつ、中々にすばしっこい奴だな...追いつけん!追いつけん!追いつけん!追いつけん!追いつけん!」

「追いつけないなら、追うな!動きを止めるんだよ!」

 モルドフがそう言うと、砦の壁に触る。すると、壁の色がどんどん変化していく。


「う...これは...」

「この世に、何回か見たら死ぬ絵があるよな?まぁ、実際は死なないんだが...あれは視覚的に体の不調を起こさせるような色彩になっているからそう言われているんだ。なら、その色彩を俺の能力を使って起こせばいい!だから、お前らは見るなよ?」

「う...吐き気が...」

「頭も痛いわ...」

「倒れそうだ...倒れそうだ...倒れそうだ...倒れそうだ...倒れそうだ...倒れそうだ...」


「って、全員見ちまったのかよ!」

 モルドフは静かにツッコむ。

「はぁ、まぁ...ペガサスの動きも止まったしいいけど...」

 モルドフはペガススに近づく。


「今、楽にしてやるからなぁ」


 ”ピシャリ”


 モルドフがペガススを殺そうとした瞬間、モルドフは雷に打たれる。

ペガスス。

ペガサス。

ペーガソス。


さかなー。

ちんあなごー。

ユニコーン!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ