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第16話 ひよこvs殺戮者

 

「キュラスシタァァァァァァ!!許さねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 俺はキュラスシタへの憤怒を叫ぶ。キュラスシタは振り返って俺の方を見る。

「おっとぉ?チキンが脱走していますねぇ?」

 キュラスシタはこちらを向き狂気的な笑顔を見せる。憎悪する。憤怒する。

「私が殺してあげましょうかねぇ?」

 キュラスシタはこちらに歩いてくる。その手には刃物が見える。

「殺しても食べずに飾っておいてあげますよぉ?ホルマリン漬けにしてね!」

 その瞬間、キュラスシタはこちらに向かって走ってくる。周りに利用出来そうな生物はない。土しかないのだ。雑草の1本も生えていない。

「生物変化!」

 地面の中からグングン木が出てくる。土の中にいた生物が松の木になったのだ。

「そんなひ弱な木くらい切れますよぉ?」

 ”キィィン”

 松の木は一瞬にして切られる。松の木は切株になってしまった。キュラスシタはその上に立つ。

「ひよこ如きに何ができるのですか?」

「生物変化!」

 キュラスシタが立っている切株がどんどん育っていく。キュラスシタは木に飲み込まれる。

「うおっ!成長するんですかぁ?」

「杉に変えたんだよ!馬鹿!」

 ”ドォォン”

 キュラスシタがいるところから木が爆発する。キュラスシタはそこから空を飛んで出てくる。

「お前の...能力は何だ?」

「私の能力ですかぁ?『サーカス』ですねぇ?」


 サーカス・・・猛獣を操ったり、空を飛んだり爆弾・刃物を大量に出すことが可能。また毒や睡眠薬にも耐性がある。


 俺らだけが眠ったのも『サーカス』で説明がつく。キュラスシタは能力を使いこなしている。憎い。

 俺の中のキュラスシタへの感情はマイナスなものしかなかった。


「おい!お前の名刺の...お前の趣味の答えは...虐殺か?」

「はい!正解です!アナグラム得意ですかぁ?」

 俺は怒りを覚える。ヤツは空を飛んだままだ。ヤツは俺を仕留めるまで来ないだろう。

「チキンにサーカスを見せてあげましょう!人間以外に初めてですよぉ?」

 そう言った瞬間、空中に大量の刃物が現れる。刃は全て下に向いていた。刃物は重量に逆らえずに落下してくる。当たったら必ず死んでしまうだろう。

「生物変化!」

 だが、何も反応しない。木は爆発したので死んでいる。それはいい。だが、微生物が生物変化が使える範囲にいないのだ。何故だ。ありえない。ありえない。

「おっとぉ...微生物がいませんねぇ?」

 まずい。刃物が刺さる。避けられない。どうする。どうする。どうする。あんなヤツに殺されたくない。そうなれば自分を恨む。怨む。憾む。そして、俺は気づく。

「普通よぉ?こういう時ってよぉ?避けなきゃ!避けなければならないって思うけどよぉ?()()()()()()よぉ?俺は刃物に当たるぜぇ?」

 ”ブスッ”

 俺の左羽に刃物が突き刺さる。熱い。熱い。熱い。なんで。なんで、こんなに熱いんだ。

「生物変化!」

 俺から流れ出た血は、もう俺ではない。だが、確かに生命力というものはある。俺の血は鷲となる。

「キュラスシタを地に落とせ!」

 ”バサッバサッ”

 鷲はキュラスシタの方へ飛んでいく。

「こんな鷲が効くと思うのですか?」

「あぁ!お前は...」

 キュラスシタは鷲を殺す。刃物で一刺しだ。

「お前は必ず鷲を殺すだろう!その鷲が流した血を生物変化で変えればよぉ?お前は落ちてくるんじゃないかぁ?」

「なっ!」

「生物変化!」

 鷲から流れてきた血を生物変化でまた鷲に変える。鷲はその数、43匹になった。

「まずい!逃げなければ!」

「おいおい...逃げるだぁ?」

 キュラスシタは飛んで逃げる。だが、すぐ鷲に回り込まれる。

「この鷲はイヌワシだ!飛ぶ時速は大体...320kmって言われてるなぁ?」

「なっ!何?」

 イヌワシはキュラスシタを上下左右奥手前の6方向で囲む。

「生物変化!イヌワシよ!インドゾウに変われぇ!」

 ”ドォォン”

 地面に43匹ものインドゾウが空から落ちてくる。インドゾウ(オス)の体重の平均は4tだ。キュラスシタの上には8匹が乗っていたので32tもの重さのものが乗っている。


「痛たたたたたた...」

「なっ...キュラスシタ!生きてるだと?」

「私の『サーカス』には猛獣を操る能力もあるのですよぉ?インドゾウを操ることくらいできますよぉ!」

 キュラスシタは強敵だ。このままでは勝てないのかもしれない。

「それじゃ...楽しませてもらいましたよ?あと、アイキーは私が持っています!」

 キュラスシタは俺にアイキーを見せつける。

「私は村で待ってます!それでは、次は村で会いましょー!」

 キュラスシタは飛んで逃げていった。

「待て!逃げるな!逃げるんじゃない!」

 俺は刃物の刺さった左羽が痛む。

「痛ぇ...痛ぇよ...」

「チウ!チウ!」

 鼠の声がする。鼠は鍵を咥えていた。

「お!ありがとう!盗んできてくれたんだな!」

 インドゾウで生物変化する時に一匹だけ鼠に変えておいたのだ。鼠は鍵を取ってきてくれた。

「ありがとな...」

 俺は鍵がまとまっているところに首を入れて小屋の中に戻った。


 ***


「リューガ!左羽...大丈夫か?」

 無事、ショウガとリカを救出することができた。そして、俺たちはキュラスシタを討伐しに村へと向かった。

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