第156話 『幽霊操作』
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「ツーがやられた...のか?あぁ...弟は死んでしまったか...俺たち兄弟は残り3人。残りの2人をこの6層に招集をかけ、助けなければ」
ワンは頭を抱えながらそう喋る。
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リカ・ユウヤ・カミール・タンドンの4人は4層へとあがる。
「ぬお!侵入者がここに?って言うことは...」
そこには「3」と大きく書かれた服を着た少し太った少年がいた。
「ツーは殺した」
「ぬわぁぁ!俺の兄さんは死んじまったのか?」
「お前の兄貴がツーって名前なら、お前はスリーか?」
「ぬお?なんで俺の名前を知っているんだ?」
「やっぱりあってたか」
「凄いです、ユウヤさん!」
ユウヤはリカに褒められる。リカは少し照れくさそうにする。
「ぬおぉ!兄さんを殺したお前らは許さない!」
その時、スリーの目は開く。
「ぬぬ...兄さんが...呼んでる!」
「え?」
そんなことを言いながら、スリーは5層へあがる階段を登っていった。
「なっ、あいつ!逃げるのか?」
「上に行けるだけ、いいだろ?」
「まぁ、そうだな」
ユウヤ・カミール・タンドンは一瞬の議論を重ねた後、5層へと向かう。
「って...5層にもいない?」
5層にあがってきたリカ達4人は5層に誰もいないことに気がつく。
「敵が逃げるなんてこと...あるのか?」
「わからない...でも、もぬけの殻になってるのは事実だ」
「そうですね...」
「6層に...あがってみるか?」
「あぁ、そうだな。タンドン!一番前を歩いてくれ!」
「え、なんで俺?」
「だって、ダイラタンシーでいざとなったら俺らを守れるだろ?」
「そうだけどさぁ...」
「お願いします!タンドンさん!」
リカの羨望の眼差しをタンドンは見てしまう。
「わかったよ!やるよ、やる!」
「ありがとう、タンドン!」
タンドンを先頭に、6層へと向かった。
「───ッ!ダイラタンシー!」
が、ダイラタンシーを通り抜ける。
「うお、まじか!」
「しゃがんで!『空間削除』!」
そこにいた、何かは消える。
「よかった...助かった...」
「今のはなんだったんだ?」
「わからない...」
タンドンは自信なさげに答える。
「うぅん...怖いですね」
リカ達4人は6層へと到着する。
「足止めくらいはできたな。フォー。ナイスだ!」
「ありがとうっす!兄貴!」
「その{っす}はやめろと言っているだろう」
「あぁ、そうっすね、あ、すいません!」
「いや、いいんだ。しょうがない。そういうこともあるさ」
6層にいたのは、先程のスリーに、服に「4」と書かれた男───フォー。
それに、その2人をまとめている服に「1」と書かれた男───ワンの3人がいる。
「俺たち1・2・3・4・4兄弟は、いつも一緒だったと言うのに!何故、2を殺してしまったんだ!」
「3層にいたんだから、しょうがないだろ...」
「ぬおおお!お前ら、許さんぞぉ!」
「ホントっす!許さないっす!」
スリーとフォーも次々と責め立ててくる。だが、語彙力は低いのであまり傷は付かない。
「ぬおお!兄貴の為にも戦うぞ!」
「そうっすね、スリー兄貴!」
「じゃあ、戦いはお前らに任せた。俺はいつも通り『阿吽』を使いつつ下手ながらに剣を使う。いいな?」
「任せてくださいっす!」
「ぬおおおお!兄貴に褒められて頑張ろうと思えるようになってきたぞぉぉぉ!」
ワンは後ろに下がる。そして、剣を構えた。その前にスリーとフォーが立ち塞がる。
「兄貴を護るのは最大限の任務っす!」
「じゃあ、1vs1にするか?」
「そんな訳ないっす!アホっすか?」
「ぬん!4vs3に決まってるわ!」
「じゃあ、しょうがない。お前らに合わせてその喧嘩を買ってやる」
「まぁ、結局1vs1とか2vs1になりそうだけどな」
「そうですね!」
「4vs1っすか?そんな訳ないっすよ!いや、1vs4なら有り得るかもしれないっすけど!『幽霊操作』!」
「───ッ!」
ユウヤは、フォーの掛け声に肩を震わせる。『幽霊操作』は、フミヤが使っていた能力だ。なら、何故その能力を使えるのだ。
そう考えると、同時に第三の試験を行った4の世界で、嫌というほど見て、心臓を掴まれた幽霊の姿が頭に浮かぶ。その、妄想は現実となり、少し黄色く着色された、煙のような足のない幽霊が大量に浮いている。
「な、なんだぁ?この黄色いの!」
「タンドン、カミール!気をつけろ!こいつらは幽霊だ!俺らの心臓を狙ってきて、どんな攻撃も通用しないんだ!いわば、こちらを一歩的に攻撃してくる背景に等しい!斬ったら少しだけ怯むけどこれだけの数を止められるとは思えないよ!」
「このスピードじゃ、ダイラタンシーでも止められない...」
幽霊操作・・・幽霊を操ることが可能。操作される幽霊は他の人間も視認することが可能。
「ユウヤさん、これフミヤさんと同じ能力です...よね?」
「あぁ、そうだ」
「でも、なんでこんな同じ能力があるんですかね?」
「それは、わからない...」
「もしかして、ですけど...王様と月光徒は協力関係...なんてことはありますかね?」
リカの仮説は正解だった。
サブタイトルは、「リカの仮説」と迷いました。
でも、こちらの方が面白いと思ったので。
4章で、『幽霊操作』をサブタイトルで使わなかったのはこの為です。
サブタイトルを「リカの仮説」にしても、多分次回のサブタイトルは「『幽霊操作』」だった。
次回のサブタイトルどうしよ。




