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第155話 剣と槍

 

 ***


「俺の使命は時間を稼ぐことだ。お前らを殺さなくても問題なんてない。大事なのは時間稼ぎってことだ。だから、わざわざ1層におき1人しかいないんだ。そちらの方が、多く時間は稼げるだろう?最も、ここまであがってきた侵入者はお前ら以来見たことがないけどな」

 アターは短くなった槍を持つ。


「短くなったが、勝負をしよう。俺の語りだけじゃ時間を充分に稼ぐことは出来ないかもしれん」

「おい、待て」

「なんだ?」

 クレハはアターの話に興味を示す。

「時間稼ぎが本当の使命なら、侵入者はもう少し増えるはずじゃないか?いや、4層以下の奴らも力はあったのだが、それでも私並みに力がある奴は、いるだろう?」

「そうだな、その問いに答えてやるよ。それはだな、創者が急所を傷つけないと死なないということを知らなかったのだ」

「ほう」


 ワインダーが攻めてきて殺されたので、その急所の原理はリューガ達は解っていたのだ。でも、それを知らない人の方が多い。何故なら、創者が殺されるところを見たことない人が大多数なのだから。


「でも、1階では少女が寝ていたぞ?」

「うん?何の話だ?」

「え?」

「え?」

 アターと話が噛み合わない。


「1階に少女が寝ていたのか?」

「あぁ、寝ていたが」

「そんなのは知らない。もしかしたら、王が新たに追加したのかもしれない。なら、1階の仕組みはどうなったんだろうか...」

「王はそんなに自由なのか?」

「別に、そんな自由って訳じゃないのだが」

「それに、仕組みとはどういうことだ?」

「内緒だ」


 確か、ボタンを押した気がする。だが、それが何かに関係するのだろうか。


「まぁ、いい。そろそろ話を終わりにしよう。8階より上は、より危険になる。何せ、殺しにかかってくるのだからな。まぁ、気をつければいい。もちろん、ここで食い止めれば最善なのだが、それも出来るとは思わないからな。時間だけでも稼がせて貰うよ」


「あぁ、時間を稼いで何をしようとしているのかは知らないけどな」

 クレハは剣を構える。アターもそれを見て槍を構え直した。


「それじゃ、始めよう」


 ”キンッ”


 ”キンッ”


 ”キンッ”


 ”キンッ”


「短くなっても流石だな」

「槍は槍だからな。俺の能力『国志』には長さは関係ない」


 国志・・・槍を使いこなすことが可能。


「そうか」


 ”キンッ”


 ”キンッ”


 ”キンッ”


 何度も、剣と槍が交わる。クレハが攻撃を仕掛けてもアターは守りに入るだけだ。

 そして、アターから攻めには入ってこない。


「なぁ、なんでお前は何故攻めて来ないのか?」

「お前を殺せるとは思わないからだ」

「そうか、それは私の強さを認めてくれたということか?」

「あぁ、そうだな。お前は強いよ」


 ”キンッ”


 ”キンッ”


 ”キンッ”


 ”キンッ”


「ここだ!」


 ”カッ”


 クレハが狙った脳天への一突き。だが、それは槍によって塞がれる。

「残念」


 クレハの回し蹴りがアターの脇腹に入る。

「ぐふっ...」

「お前の体中を削ぎきる。耐えろ」

「ふっ、ここまでか」


 ”ザッ”


 クレハが踏み込む音と共に、アターの体は切り刻まれ───



 なかった。


 アターは自分の口を斬りながらも、自分の歯で、クレハの剣を噛んで止めている。

「ふふ...はいほのあうああいあ(最後の悪あがきだ)

「───ッ!」

 クレハは剣を片手に持ったまま、空中でバク宙をする。それにより、アターの槍の突きは避けることができた。

「私はビキニアーマーなんだから、傷ついたらまずいんだよ」

 クレハは一歩下がる。もちろん、剣は口から外した。

「なら、そんな戦いに向いてない服を着るな」


「だが、戦い中にも女の魅力というものは忘れちゃいけないだろ?必死な顔は唯でさえ可愛くないのに、体も可愛くなければ誰も好きになってくれないじゃないか」

「そんな出会いをこの砦に求めないで欲しいものだな」

「それはそうだな。どうせ、全員死んでしまうもんな」


 ”ザッ”


 アターが立ち上がろうとしたところを、クレハは足から斬り刻む。

「ここまで...か...」

 アターは優しく笑う。そして、塵となって消えていく。



 その儚さは、これから待ち受ける怒涛の戦いと対比できるのかもしれない。


 ***


 俺は、突進してくるアゴーを避ける。5層全体を使えれば良かったのだが、3分割しているので、それは無理そうだ。避ける範囲も、突進と突進の間の時間も短いので、随分戦いづらい。


「あ、でも...ここを攻めれば!」

 リューガは床に足をつける。

「どうした?飛び疲れたか?所謂疲労困憊という奴か?」

「少し休憩させてくれ。所謂厭戦気分という奴だな」

「なんだ、その理由は!休憩の申し出は断るな!所謂言語道断という奴だ!」

 アゴーは、俺を空中を戻そうとすることもなく、突進してくる。


「残念、俺の勝ちっぽい!『破壊』!」


 ”バキバキッ”


 その瞬間、アゴーの右足は破壊される。

「───ッ!」

 アゴーは左側にあった壁にぶつかる。

「それじゃ...さよなら!『破壊』!」


 ”バキバキッ”


「ぐぅ!」

 アゴーは体中を破壊する。そして、そのまま塵となって消えていく。


「はぁ...はぁ...俺の勝ちだぜ、アゴー!所謂、百戦錬磨・百折不撓・勇猛果敢って、いう奴だ!」

アゴー、尺がないからかなり雑魚っぽく書かれてるけど、割と強い方です。

アゴーで1話は書けません。


とりあえず夏都は6層までは創者を倒せています。次は7層。

まぁ、次話からは秋都視点になるんだけどね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 事前に血を抜くとは……。 ホリーネス、アカギばりに機転の利く男だ。 成る程、叔父がピエロか。 念を宿らせたトランプのカード投げるピエロじゃないですよね?
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