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第149話 マオ

 

 マオは一呼吸入れると、自分の手と足を猫の手に変えた。


 虎猫・・・猫に変化することが可能。


「さて、どこから来るかい?」

 マオは手と足・耳だけを猫に変えている。

「どうしたんだい?どうして驚いているんだい?」


「いや、全身猫化しないのかって...」

「じゃあ、君は巨大な猫と普通の人間4人が戦ってどっちが強いと思うんだい?それに、私の可愛い可愛い妹のヨナやヤエは全身獣化して負けたんだ。なら、他の戦い方をしなければならないだろう?そちらの方が賢いと言えるしね」


 マオはその場からジャンプする。そして、トモキの上に移動した。

「肉球があるから───」

 マオの猫の手からは鋭い爪が出てきた。

「───ッ!」


 トモキは猫の手に当たるギリギリで避ける。

「危なっ!」

「おっと、避けられてしまったか」

 マオは少し前屈みになる。トモキの視線は胸元に移動する。

「おっと、トモキ君。鼻の下を伸ばす余裕があるのかい?」

 マオはトモキの方へ突っ込んでいく。


「ここだ!」

「───ッ!」

 トモキのアッパーは綺麗にマオの顎に当たる。


「ナイスヒット!ナイスヒット!ナイスヒット!ナイスヒット!ナイスヒット!ナイスヒット!」

「なぁ、ノノーム!」

「なんだ?なんだ?なんだ?なんだ?なんだ?なんだ?」

「次、マオを吹き飛ばしたら触れて揺らしてくれないか?」

「あ、あぁ!了解した!了解した!了解した!了解した!了解した!了解した!了解した!」


「作戦会議を敵に聞こえるようにするなんて愚かだね。いや、わざと聞こえるように話したのかな?こそこそ話の方が私の疑いを買ってしまうからね」

「サンダー!」


 ”ピシャリ”


「なぁ...魔法の不意打ちだなんて...」

「これは戦いよ?雑談してる時間なんてないの!」


 ”ピシャリ”


「───ッ!」

 2発目の雷がマオに直撃する。だが、マユミが撃った魔法は一発だ。

「無詠唱魔法?そんなの有り得ないよ。魔法は口に出すことを発動条件にしているんだから。それとも、時間差?時間差なのか?」

「私も...1発しか撃ってないわ...」

「そういう事か...」

 モルドフは何かわかったような顔をする。


「モルドフ?わかったのか?」

「あぁ、クレハの能力だ」

「クレハの能力...『元に戻る!』か?」

「あぁ、それが行われたとするならば?」

「そういうことか!面白い、みんな頑張ってるじゃないか!」


「あら、そう...4人以外にも仲間はいるんだ。春夏秋のどこにいるのかな?それとも、全部だろうか?」

「さぁ、どうだろうな?自分で調べればいいんじゃないか?俺を見つけたようにな」

「残念ながら、私は猫の目では『存在』しか認識できないんだ。だから、この前のように背景と同化していれば、顔は見えない。ただ、そこにいるという『存在』だけしか認識できないんだよ。わかるか?」

「そうか。じゃあ、心を読まれないだけヤエ以下ってことだな?」


「そうだね。能力としてはヤエの方が強いだろう。犬の鼻というものは恐ろしいね。猫の目の利点である暗闇でさえも物ともしないんだよ。だけど、ヤエは語彙力が無いんだ。ただ、長々と語ろうとする。浅はかなことを語ろうとするのに長ったらしい話をする人はモテナイと言うのに」

「俺の好みの色のチャイナ服を着てもらったところ、悪かったが俺は馬鹿だからお前らの話してることの半分は理解できてないんだよ。だから、長々と話さなかったヨナが俺は一番好みだったぜ?」


「そうか、人のタイプは人それぞれだ。十人十色だ。別に、とやかく言うつもりはないよ」

「なんだよ、怒らないのか」

「まぁ、顔は可愛い可愛い妹達と瓜二つだからね。性格が好みに合わなかっただけさ。だから悔やむことなんてしないよ。それに、可愛い可愛い妹は私だって大好きだからね。もう、死んでしまったけれども」

「あぁ、そうだな!」


 トモキはマオに向かって走る。マオはトモキに爪を向けた。

「私の爪に切られて死んでくれ」

「残念!」


「───ッ!」


 ”ビチャッ”


 トモキの蹴りはマオの腹に直撃する。マオの爪も蹴った。

「なっ...」


「この俺はトモキ!またの名を、『両断の足』さ!」

「なぁぁぁぁぁ!」


 マオはノノームの『振動』の餌食になる。

「マオの首を折るか?」

「や...めて...くれ...」

「残念、それは無理だ。どうせ、死なないだろ?」

「私の...急所...は...うなじ...だ...」

 マオの口から吐瀉物が溢れ出る。その黄色い液体はマオの緑色のチャイナ服にかかる。


「そうか、じゃあなんか俺らに有益な情報をくれ」

 モルドフがトモキの代わりに答える。

「じゃあ...王の...話を...しよう...」


 ノノームはマオを離す。

「王様は...創者を『創意』という能力で...作っている...無から...有を生み出す...能力だ...論理的に有り得ない...能力なんだ...私だって理解できない...でも...創者には...必ず弱点が...ある...完全無欠の...完璧な...不老不死の...人間も...創れるのに...何故か...急所が...あるんだ...なんでかはわからない...」


 創意・・・創りたいと思ったものを作ることが出来る。生物も能力も可能。創った物は、傷ついたところから回復する。


「王の名前は?」

「ピーゼンデル14世だ...その側近に...フィオーレ宰相という男がいる...私もここまでそいつに案内させられた...」

「そうだったのか」

「なぁ...トモキ?」

「なんだ?」


「私を...可愛い可愛い妹のところへ...連れて行ってくれ...」

「───あぁ...」


 マオは、儚く散っていった。桜の花びらが舞うように。

マオ、戦力的には雑魚です。どうでもいい話をし過ぎた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] マオも話長いッスね。 自分の好きな事を長く話すオタクっぽさがある。 そして堂々と生着替え。 男なら黙って凝視…・・・いや見守るべきですよね!
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