第15話 アナグラムの真意
キュラスシタと名乗ってたが、本当は殺戮者だったのか?ツシャスガはどうだろうか。
ツシャスガをローマ字にすると、 tusyasuga
これを入れ替えると...
gyakusatu
───虐殺
名前 殺戮者
誕生日 13/1
趣味 虐殺
気づいてしまった。キュラスシタは殺戮者だ。趣味は虐殺だ。このままだと俺らは殺される。
「2人共!このままだと俺らは殺される!急いで逃げなきゃ!」
「あぁ!わかってるよ!」
”コンコンコンコン”
「皆さーん!餌の時間ですよぉ?」
キュラスシタが階段を降りてくる。その手には蛙2匹を持っていた。
「今日のご飯は蛙でーす!」
ショウガとリカの口に無理矢理蛙が突っ込まれる。蛙はまだ生きていた。
「おい!やめっ...ゔぉえ...」
ショウガは蛙を吐き出した。蛙は地面に叩きつけられ粘液を垂れ流して潰れていた。
「入りません!口に蛙なんか!」
「うるさいですねぇ?」
キュラスシタは蛙をリカの喉まで無理矢理入れる。
「ごほっ...ごほっ...ごほっ...」
リカは蛙を飲み込んでしまった。
「美味しかったですか?」
リカは一生懸命首を振る。
「美味かったんですねぇ?良かったですねぇ?じゃ、明日も蛙にしましょう!」
キュラスシタは俺の方に来る。そして、瓶にミミズを入れた。
「リューガの飯はミミズですよ?しっかり食べてくださいね?」
俺は無理矢理食べさせられなかった。ミミズは俺の目の前でうねうね動いている。気持ち悪い。
「そんじゃ、明日のこの時間に飯を持ってきますね?」
キュラスシタは階段を上がりこの部屋を出ていく。
「どうやって...ここから...そうだ!生物変化!」
ミミズは蔓草に変化する。俺はそれを登って外に出る。
「生物変化!」
蔓草はひよこになる。俺の代わりはミミズにしてもらおう。
「俺は出れた!今からお前らを助ける!」
「お願いしますぅ!」
「でも、手と足のところに鍵がかかってるぞ?」
「鍵はどこにあるかな?」
「多分...キュラスシタが持ってると思います!」
「そうか...なら行ってみるよ!」
俺は机の上から床を見る。暗いがうっすら地面が見える。こんな高さから落ちたら死んでしまう。
”カサカサ”
「ん?」
俺は地面に何かいることに気が付く。ここが不清潔でよかった。ゴキブリがいた。
「生物変化!」
ゴキブリはヤギに変わる。俺はヤギの背中に乗る。
「なっ...なにをヤギに変えたんだ?」
「え?何ってゴキブリだけど...」
「「え?ゴキブリ?」」
一瞬沈黙する。そして...
「「ぎいいいいいいいいいいいやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ゴキブリだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
「おいうるせぇ!2人とも騒ぐな!」
「おいおい?うるさいなぁ?なんの声だい?」
キュラスシタが階段を降りてくる。まずい。隠れなければ。
「生物変化!」
ヤギはゴキブリに戻る。俺も床に着地し、机の下に入る。
「どうしたんだい?」
「ゴキブリが!ゴキブリがああああああああああ!!!!」
「あぁ〜ゴキブリねぇ?殺すよぉ?」
キュラスシタの手に刃物が数十枚出てくる。そして、それを床に刺す。床には大量の刃物が刺さっていた。
「うおっ!危ねえ!」
「これで多分大丈夫ですよぉ?あなた達も刺してみたいですけどねぇ?村人を斬り刻んできますねぇ?」
キュラスシタはいなくなる。そして、俺はまた気づく。
ネンギンもアナグラムなのではないか...
ローマにすると nengin
入れ替えると...
ningen
───人間
人間?俺たちは人間の肉を食っていたと言うのか?ネンギンの肉はこの世界でしか食べたことがないからわからない。本当にネンギンの肉だったのだろうか。兎肉も食べたことがないからわからない。わからない。わからない。人間の肉だったのかもしれない。人間だったのかもしれない。俺は人間を食べたのかもしれない。人肉を食べてしまった。人間を食べた。人間を...
俺は奮い立つ。俺は階段に向かって走っていた。許さない。人の肉を食べさせたあいつを許さない。キュラスシタを許さない。絶対に許さない。許さない。許せない。体があいつを拒絶している。体がキュラスシタを拒絶している。世界もあいつを拒絶している。世界もキュラスシタを拒絶している。あいつは生きてはならない。あいつだけは生きてはならない。あいつは、あいつだけ死ななければならない。万死に値する。負の連鎖はここで断ち切らなければならない。
俺の体はひよこのままなので動きにくい。俺は気づく。自分に生物変化をすればいいのではないか。
「生物変化!」
だが、なんの動物にもなれない。だめだった。失敗してしまった。
俺はひよこのままで階段を登る。そして、ドアまでついた。少し光が指している。少しだけドアが開いていた。俺は外に出る。俺らがいたのはどこかわからない小屋だった。前方にはキュラスシタが歩いている。
俺はまた怒りを覚える。あいつだけは許してはいけない。あいつだけは許容できない。激しい憤怒に襲われる。世界もあいつに憤怒している。あの生き物だけは生きていてはならない。道化師のような格好をして人を殺す。道化師は人を楽しませるのが使命だ。それなのにあいつは自分が楽しむために人殺しを行う。自分の優越のために。自分の快楽のために。自分の趣味のために。自分の遊戯のために。自分の感情のために。自分の欲求のために。自分の栄養のために。自分の食料のために。自分の威厳のために。自分の意義のために。自分の存在のために。自分の意識のために。許さない。許さない。許さない。
 




