第136話 ハリネズミ
「あ...あ...あなた達!何者ですか?」
マユミとトモキ・ノノームとモルドフが冬都の中に入ると一人の少女がいた。その女は梅染色の髪を尻あたりまで伸ばしていて、桃色の着物を着ている。着物の色と目の色は同じだ。
「おぉ!結構可愛いじゃん!」
「トモキ!敵なのよ!調子に乗らないで!」
「て...敵ですか?私が?なら、あなた達は侵入者さんですか?」
「あぁ!そうだ!俺の名前はトモキ!よろしくな!」
「バカッ!名乗ってるんじゃないわよ!」
マユミはトモキの肩を叩く。
「わ...私の名前はヨナです...あの...えっと、そのよろしくお願いします...」
その梅染色の髪をもった少女はヨナと名乗った。
「俺達と俺達と俺達と俺達と俺達と俺達と勝負をしようじゃないか!ないか!ないか!ないか!ないか!ないか!ないか!」
「ふぇぇぇぇ...勝負だなんて、痛いのは嫌ですよぉ!」
「ノノーム、任せられる?」
「あぁ!この俺に任せてくれたまえ!くれたまえ!くれたまえ!くれたまえ!くれたまえ!くれたまえ!くれたまえ!」
ノノームはヨナに近付く。そして、ヨナに触れようとすると───
”フスゥ”
「───ッ!」
ヨナは巨大なハリネズミへと変化した。ハリネズミは丸まっていて針は長く尖っている。
「なっ...ハリネズミ?ハリネズミ?ハリネズミ?ハリネズミ?ハリネズミ?」
ノノームは刺さるギリギリで立ち止まった。
針鼠・・・針鼠に変化することが可能。
「あなた達...帰ってくださいよぉ!怖い、怖いですぅ!ふぇぇぇぇ!」
「{ふぇぇぇぇ}とか言う人いるんだ...いい幼女だ」
「トモキ、やめてあげなさいよ!」
「ヨナがヨナがヨナがヨナがヨナがハリネズミになったからにはからにはからにはからにはからにはからには俺たちは触れることが触れることが触れることが触れることが触れることができないぞ!できないぞ!できないぞ!できないぞ!できないぞ!」
「じゃあ...どうするんだ...肉弾戦の俺には何もできない...」
「私がいるじゃないの!」
マユミは魔法杖を持つ。
「ロック!」
「きゃ!」
ヨナの周りに土の壁が出来る。
「これで、あいつの動きは止めたわ!魔法で打ち殺すわよ!サンダー」
”ピシャリ”
雷が落ちるその刹那、ヨナは人の姿になり土の壁の拘束を解いた。
「危ないですよぉ!酷いですぅ!」
「チッ!仕留めそこねた!」
「なんか、今日マユミ怖くない?嫉妬?可愛いヨナに嫉妬?」
「うるさいわね!嫉妬じゃないわよ!」
「あぁ、こりゃ嫉妬だな...」
モルドフがマユミを横目にトモキに話しかける。
「そんなことより!どうやってあいつを倒すかが重要でしょう?」
「まぁ、そうだな...人の姿の時に攻撃を食らわせるしかないな...」
「でも、近づいたらハリネズミになってしまうのか...」
トモキはヨナに近付く。
「なっ...なんですか?トモキさん!」
「あ、俺の名前を覚えてくれたの?ヨナちゃん!」
「ふぇぇ?覚えてるに決まってるじゃないですか!」
「まぁ、そうだよな!お前を殺す男の名だからなぁ!」
トモキの拳はヨナの腹を的確に狙っている。
”フスゥ”
ヨナはハリネズミになった。だが、トモキの拳は止まらない。
「針が邪魔だって言うならよぉ!全部俺が引き抜いてやるぜ!」
トモキはヨナの針に触れる。すると、手が切れて血が出る。
「トモキ!」
「この位、痛くもねぇよ!」
トモキはハリネズミの針をどんどん抜いていく。すると、ピンク色の地肌が顕になる。
「ヨナちゃん!痛いの我慢してくれよ!俺だって、可愛い子を殴りたくないんだ!」
トモキの拳はヨナの背中に当た───
らなかった。
「───ッ!」
トモキの腕や顔には何本もの針が刺さっている。先程抜いたはずの針が復活しているのだ。
「抜かないでくださいよぉ!」
トモキは顔から針を外す。幸い、目や口の中には刺さっていなかった。トモキの顔と腕には小さな穴が何個も開いていた。
「トモキ!大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ!問題ない!」
「見てるこっちが痛いから!ヒール!」
マユミはトモキに回復魔法を使った。これはアテムから教えてもらった傷埋めの魔法だ。
だけど、致命的なことに一度発動してしまうと、数時間のブランクがある。少なくとも、今後の冬都の攻略では使用できないと考えるのがいいだろう。
「マユミ!ありがとう!助かった!」
「あ...当たり前でしょ!」
「俺も俺も俺も俺も俺も触れられないなら攻撃できないな!できないな!できないな!できないな!できないな!」
「どうしたら...いいかしら...」
「ファイヤーで針は燃やせそうか?」
「そうだ、やってみる!ファイヤー!」
ハリネズミの体に火がつく。
”フスゥ”
ハリネズミのヨナはより針や毛を逆立てる。
「熱い...熱いですよぉ!やめてくださいよぉ!」
「なんか...可哀想に思えてきたな...」
「あぁ...そうだな...」
「酷いですよぉ!熱いんですよぉ!やめて...やめてくださいってばぁ!」
”フンスッ”
ヨナは無数に生えている針を飛ばす。無差別に針を飛ばしてきた。針には火も付いている。全員に針を浴びれば一気に火だるまとなってしまうだろう。
「クソッ!どうやって避ければいいんだよ!」
 




