第130話 情けは人の為ならず
明日、9月6日はブルムンドさんのお誕生日!
昨日気付いたんだけど、「ブルムンド」って転スラの国名だったんだね。
妙に語呂がいいと思ったら。
俺は夏都の入口に到着する。俺はカゲユキの肩に乗っていた。
「到着の連絡があるまでは待機だな...」
「あぁ、そうだな!」
「いやぁ、たぁのしぃみぃだぁねぇ?」
ホリーネスは少し嬉しそうにしている。
春都 ショウガ・シンドーク・ブルムンド・リンザル
夏都 リューガ・カゲユキ・ホリーネス・クレハ
秋都 リカ・ユウヤ・カミール・タンドン
冬都 トモキ・マユミ・ノノーム・モルドフ
の4チームに分かれている。この表は今後前置きにでも置くことにしよう。忘れそうだけど。忘れたらごめん。
”ザー”
{春都到着しました。皆さんのご武運を願います。}
ブルムンドさんからの連絡が入ってくる。俺たちの到着連絡はクレハが行ってくれていた。
「春都のみんなも到着したみたいだな」
「あぁ...そうだな...」
30分程して、冬都・秋都の到着の連絡もやってきた。冬都のメンバーはモルドフと合流出来たようだ。
「リューガ、それじゃ!突撃の合図を!」
「わかった!」
カゲユキは俺にトランシーバーを近づけてくれる。
「それじゃ、これから俺たち16人は、各々の目標の季都に侵攻し、王を殺す。勝つぞぉぉぉぉ!」
トランシーバーの中から皆の掛け声が聞こえる。
「それじゃ、行くぞ!」
「おう!」
俺たちは夏都の中に入っていった。
***
「侵攻、始まったかねぇ?」
「アテムさんは手伝わなくていいのですか?」
「季都が解放されたら行こうかなぁ...仲間、集めておこ」
アテムはゆっくり立ち上がる。
「ラシューも一緒に来る?」
「もちろん、同行させて頂きます」
アテムは淫夢魔だった。
***
「なんだ?あの箱...」
1層目の部屋の真ん中には大きな箱が置いてある。人が一人なら寝れそうな大きさだ。地面から1mほど高いところまで上がっている。
「中には何がある?」
カゲユキが恐る恐る箱の中を覗く。
「離れろ!」
カゲユキの怒号と共に、俺たちは箱から離れる。
「な、中には何があった?」
「中に人が寝ていた!女性だ!黒い服を着ていて、目は瞑っていた!それと、その隙間にボタンがあった!」
「どういうことだ?」
俺達が困惑していると、箱の内側が仄かに光り始めた。
「光った?」
「何が起こるかわからない!みんな、気をつけろ!」
「そぉんなぁにぃ、しぃんぱぁいしーなぁくてぇもぉ、大丈夫ぅじゃぁーない?」
「ホリーネス、何があるかわからない!」
「私の能力を使えば時は戻せる。ボタンを押してみないか?」
「じゃあ、クレハは外に出ていてくれ...」
「あ、あぁ!わかった!」
クレハは砦の外に出る。
「じゃ、じゃあぁ、わぁたぁしーがぁ、ボォタンをぉ、おしーてぇいぃぃかぁなぁ?」
「あぁ...ホリーネス、頼む!」
ホリーネスは箱に近づきボタンを押す。
”ガガガガガガ”
壁だと思っていたところが開き階段が現れる。
「こんな仕組みがあったとは...」
「こぉのぉ、おぉんなぁのーこぉはぁ、どぉーするのぉ?」
「ほっとけ、触らぬ神に祟りなしだ」
「わぁかったぁーよぉ!」
俺たちは2層の階段を登る。
「よく来たなぁ!お前ら!」
2層にいたのは、全身を包帯で巻いている人間だった。声からして性別は男だろう。
「お前ら!1層のアイツは殺したか?新入りなんだが!」
「いや、殺していない」
「へぇ、そうか!お前ら良いやつなんだなぁ!情けは人の為ならずって言うからなぁ?まぁ、恩を仇で返すとも言うけどなぁ?」
全身の包帯を巻いた男は、喋っている。唇の裏側まで包帯を巻かれている。瞼の裏も、鼻の穴の中も、耳の穴の中も。お尻の穴の中にも包帯は巻かれているのだろうか。
「で、お前らは誰から来るんだよ?」
包帯を巻いた男は赤い目でこちらを睨む。
「もちろん、全員で!」
「受けて立とうじゃないか!アァーーーーーー!!!」
男は叫んだ。
「行くぞ!」
俺たちは一斉に包帯を巻いた男に斬りかかる。
「なっ!」
包帯を巻いた男は避けた。俺とカゲユキとホリーネスとクレハの剣と短剣と『破壊』を。
「遅いね!」
「ホリーネス!あいつの目を狙って爆発させられるか?」
「やぁってぇみーるぅねぇ?」
ホリーネスは自分の血が入った小瓶を1個、包帯を巻いた男に投げる。
「アァーーーーーーーー!!!」
また、包帯を巻いた男は叫ぶ。
”ドォォン”
「うぅん...避ぉけぇらぁれぇまーしたぁねぇ?」
「すばしっこい奴め!」
「どうやって倒す?」
クレハが俺に耳打ちしてくる。
「お前一人で行けそうか?」
「まぁ、時間はかかるが...」
「なら、任せてもいいか?」
「承知した!」
クレハはニコリと笑う。そして───
”ダッ”
クレハは大きく踏み込んだ。
「アァーーーーーーーー!!!」
包帯を巻いた男はまたもや叫ぶ。
「こっち!」
包帯を巻いた男はクレハの斬撃を軽々しく避けている。
「なっ...何故だ!私の剣が避けられるだと?」
「何でだ...『千里眼』を使っているのか?」
カゲユキはブツブツ考えている。
「お前は何者だ?」
「俺はビター!ここの門番さ!俺でさえ、お前らでは倒せない!」
包帯を巻いた男はビターと名乗った。




