第122話 ユウヤ達のこと
結局、更新してしまう悲しき本能。
***
「スーハー」
「スーハー」
「スーハー」
呼吸音が、ただ響く。金髪の少女は座禅を組んで座っている。
「スーハー」
「スーハー」
「スーハー」
電気の質をあげる。『呼吸』を持つシンドークができる唯一の特訓だ。
「スーハー」
「スーハー」
「スーハー」
シンドークが目を見開くと、剣を持った。そして───
”キィィン”
「私に気付くとは、あなたも中々の手合だな」
「当たり前だ!このシンドーク!貴様のような醜女に負ける訳ないだろう?」
「そうか...私は一通り味方の剣士に勝負を挑んでいるのだが、多種多様な剣舞が見れて楽しいぞ」
「醜女のお前を楽しませる訳がこのシンドークには見当たらないのだが?」
「あなたの集中力を称賛しよう」
「貴様がこのシンドークを称賛するとは、かなり傲慢だな!私に諂いながら生きていればよかろうなのに!」
「あなたも面白いことを言う!」
「もう貴様の相手は終わりでいいか?」
「もう一度、剣を交えよう!」
「ハッ!勝敗は見えているだろうに!」
「ここで負けようが、敵に勝てればいいのだよ」
”キィィン”
”キィィン”
”キィィン”
「愚かめ!」
剣を伝って、クレハに電気が流れる。
「───ッ!」
だが、クレハは剣を放さない。剣士にとって、剣は命だ。
「ほう、このシンドークも修行は足りないとみた」
その瞬間、シンドークは座禅を組んだ。
「このシンドーク、貴様を称賛しよう。引き分けで手を打ってやる!いいな?」
「それでいい」
クレハは静かに去っていった。
「スーハー」
「スーハー」
「スーハー」
シンドークは座禅を組みながら、電気を恒久に流していた。
***
「修行なんて言われてもなぁ?僕、かなり強いからやること見当たらないんだよねぇ?」
リンザルはそう言いながら、瓦礫の上で寝転んでいる。
「みんな、何してるんだろ?」
そう言うと、リンザルは徐にズボンのチャックを開ける。そして、
「いやぁ、立ちションは男の特権だよなぁ!こういうのは、笑いながらするのが作法かな?」
リンザルはそんなことを言いながら、瓦礫にションベンをかける。
「はぁ、スッキリ!てことで、式神操作!」
先程、体外に排出したションベンが、式神に変化する。50cmほどの白い鳥だ。
「みんなのこと、見てきてチョーダイね!」
そういうと、白い鳥は飛んでいった。
「あぁ!眠くなってきたなぁ、寝ようかなぁ...」
リンザルはそう言いながら、大きく欠伸をした。
式神操作・・・自分の体液を式神にすることが可能。
***
「さて、修行をするかぁ!」
俺は座禅を組む。まぁ、ひよこの姿なので普通に座っているように見えるかもしれないが。
「さぁて、何を考えようかなぁ、」
俺の頭に最初に出てきたのは、リカのことだった。
リカは、農園の皆のことが好きだったんだろう。6の世界で喧嘩したときもあんなに怒っていた。なら、無理に金を払って連れてきたのも悪いことをしたのかもしれないなぁ。でも、連れてきてくれたことは嬉しかったに似た内容を言っていた気がする。やっぱり、過去のことは触れにくいよなぁ。ショウガも然りで。
次に頭に出てきたのは、ユウヤ達のことだ。
ユウヤ達4人のこともあまり知らないなぁ。ユウヤ達にはかなり助けられていたんだけど。ユウヤ達は3の世界の試験で仲良くなった。今思えば、ユウヤの強運がかなり発揮されていたのかもしれない。決勝でフロンが失禁していなかったら、ほぼ確実と言っていいほど勝てていなかっただろう。と、するとかなりラッキーではないだろうか。それに、フロンだったら仲間になろうとは言ってこないだろう。ユウヤ達だから仲良くなれたのだ。ユウヤ達だから共に冒険できているのだ。ユウヤ達は俺の住む地球には興味があるのだろうか。カゲユキは少し興味を持っていたが、他の3人はわからない。トモキは何も考えていなさそうなので、ホイホイついてきそうなのだが。
「あれ、リューガ!ここで何してるの?」
後ろから、声がする。そこにいたのはユウヤだった。
「あぁ、ユウヤ!少し、『破壊』の修行を!」
「あぁ、邪魔して悪かったね!」
「いや、大丈夫だよ!ユウヤこそ、どうしてここに?」
「俺は修行が伸び悩んでて...」
「そうなの?」
「あぁ、本当に俺、このままでいいのかなって...」
「どういうことだ?」
「だってよ、俺より強い剣士、たくさんいるだろ?クレハさんとかカミールとか!」
「俺はユウヤも強いと思うぜ?実際、何度もお前に助けられた!」
「それはお互い様だよ!トルボット達に誘拐された時なんて、リューガがいなければ抜け出せなかったし!」
「まぁ、そうだよなぁ...」
「もっと強くならなきゃならないってのはわかってるんだけど...」
「ユウヤは、どうして剣士を目指したんだ?」
俺はユウヤに質問する。
「俺の父親が剣士だったんだよ」
「そうなのか?」
「うん、正確には義父だけどね」
「義父?」
「あぁ、そうだよ」
「なぁ、ユウヤの過去について、聞いてもいいか?」
俺はユウヤに質問する。
「あぁ、長くなるけど、聞いてくれると助かるよ。別に同情はしなくていいからね?」
ユウヤはそう前置きして話を始める。
「───俺は、捨て子だったんだ」
べっ、別に死亡フラグなんかじゃないんだからね!
キャラステータス、今話はないです。すいません。




