第114話 一時の平和
色々忙しくて執筆頻度が落ちると思われます。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺は叫びだしてしまう。久々に体感したこの痛み。第三の試験の後も筋肉痛になったのだが、失神してしまい覚えていなかった。なので、しっかりと経験したのはキュラスシタと戦った後になるから3ヶ月ほど前のことだろうか。
「大丈夫か?リューガ!」
「体が痛い!動かせない!」
「リューガ...さん...大丈夫...ですか?」
「ちょ、リカ!喋るな!」
リカが心配してくれるも、カゲユキに止められる。
「リューガ!大丈夫か?」
ショウガが奥からやってくる。
「体が!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!」
「薬を持ってくる!待っててくれ!」
俺はトモキの手の中に置かれる。寝っ転がった状態から動けない。
***
「ホリーネス!カミール!シンドーク!ノノーム!誰か一人でいいから来てくれ!」
「このシンドークのことを呼んだのか?女郎が!」
「家の跡地はどこにあるか教えてくれ!リューガが、リューガが大変なんだ!」
「しょうがない...このシンドークに任せろ!ついてこい女郎!」
ショウガはシンドークについていく。
「ここだ!」
シンドークは瓦礫の前に立つ。
「ここ...か?」
「あぁ!このシンドーク達の家の跡地はここだ!文句あるか?」
「いや...ないが、酷い有様だな...」
「で、大切な輩が苦しんでいるんではないのか?」
「あぁ、そうだった!リューガの薬を!」
ショウガは瓦礫の中を『柔軟』で入り込む。
「あ、あった!」
ショウガは薬を取ると、瓦礫に外に出た。
「お前、どういう体をしている?前世はタコだったりするのか?」
「前世の事なんか知るわけ無いだろ?」
ショウガはシンドークにツッコミを入れてリューガの元に走る。
***
「リューガ!持ってきたぞ!」
「早く...早く飲ませて...」
「あぁ!わかった!」
ショウガは俺に薬を飲ませてくれる。
「あぁ...助かった...」
一先ず痛みは引いた。
「リューガさん!大丈夫ですか?」
カミールが心配で駆けつけてくれた。
「あぁ、一先ずは大丈夫だ!」
「そうですか...よかった!」
「にしても...酷い惨状だな...」
「はい。そうですね」
「どうするんだ?」
「瓦礫を使ってテントを作るんです!新しい素材なんて到底用意できませんので...」
「そうか...」
「リューガぁはぁそぉんなーにぃおぉどろーいてぇ、いぃるぅんでぇすかぁ?」
「あぁ...とりあえず、雨風を凌げないようじゃ意味がないからな...」
「建て直すか...」
そう言うと、カミール達4人は自分達のテントの有った方に行ってしまった。
「リューガも行くか?」
「いや、俺はもう少しリカの近くにいるよ...」
「そうか...」
カゲユキはそう答える。
「おい!この人達がワインダーを倒したのか?」
「あぁ、そうらしい!見ていた人がいるんだ!」
「本当か?」
住人であろう人たちが俺たちの周りに集まってくる。
「あぁ!あの女の子怪我をしている!」
「誰か!包帯と糸を持ってきてやってくれ!」
「医者は!医者はいないのか?」
「待ってくれ!今連れてくる!」
住人達は俺たちの心配をしてくれている。
「大丈夫ですか?」
「あ、あの...どうして...」
「どうしてって、ワインダーを殺してくれたからですよ!」
「自分達の家も...」
「そんなのいつだって治せます!英雄様達の役に立ちたいんですよ!」
「英雄様?」
「はい!あなた達のことです!」
ワインダーを倒したからだろうか。俺たちは崇められている。
「救ってくれてありがとうございます!」
「医者を連れてきたぞ!」
「包帯も準備はできた!」
「糸、これでいいか?」
リカの周りに医者らしきがやってくる。
「お医者さん...ですか?」
「あぁ...貧都のヤブ医者だけどねぇ...」
医者は自虐的に微笑んだ。
「どれ、任せなさい...英雄様の仲間なら失敗はできない...」
リカは板の上に移動させられ、傷口が縫われていく。他の人達は、リカが休めるようにテントを作ってくれている。
「英雄様は他の世界から来たらしい!」
「そうか、随分強い人たちが来てくれたようですね!」
「いやぁ、よかった!よかった!」
「少しでも安泰になればいいんだが...」
住人達からの声が聞こえる。
「こっちは医者に任せよう...トモキ!カミール達のテントに連れて行ってくれ!」
「わかったよ!英雄様!」
「それ、皮肉?」
「ねぇ、ヒヨコの心情は読み取りにくいんだから!怖い!」
「あはは、ごめんごめん!」
テントの修復も大勢の人が行っていた。
「おぉ、リューガ!リューガ!リューガ!リューガ!リューガ!リューガ!テントはもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐ修復できるぞ!」
「そうか、それはよかったな!」
「あぁ!いいことだ!いいことだ!いいことだ!いいことだ!いいことだ!いいことだ!」
「ねぇ、リカは大丈夫なの?」
マユミは心配そうに話しかける。
「あぁ!今、医者が見てくれている!カゲユキは向こうで待機しているから安心してほしい!」
「そう!なら、心配ないわね!」
ワインダーを倒し、俺たちのところには一時の平和が訪れた。




