第110話 9の世界
「ここが...9の世界...」
目の前には、大きな壁が見える。壁の向こうでは、小型飛行機のような物が飛んでいる。
「なっ...なんだ!あれは?空を飛んでいるぞ!」
「わからない...空を飛べるなんて魔法以外で有り得るのか?」
「魔法以外で飛ぶなら...莫大なエネルギーがかかる...魔法で飛ぶのさえ難しいのに...どういうことだ?」
俺以外のみんなは空飛ぶ物体に驚いている。こういうものなのだろうか。
「空を飛ぶの...そんなに珍しいのか?」
「あぁ、空なんて普通、飛ぶのは羽を持っているやつだけだ。人間は地面を這いずり回るだけなんだから...」
「なんか...カゲユキ、嫌な答え方するなぁ...」
「でも、事実だから、しょうがないだろう...」
俺たちは移動する。近くにボロい集落を見つけた。
「今回は、探訪者の施設とかは...無さそうだな...」
「あぁ、そうだな...壁の中に入って見るか?」
「でも、どうやって?」
「飛行機があるなら、どこかに着陸地点があるはずだろう?」
「飛行機か...空飛ぶ機械だから...良い名だな!」
「いや、元から飛行機って物が地球にはあってだな...」
「マジ?地球では空飛べるの?」
「あぁ、そうだぞ?」
「すげぇ!行ってみたい!」
「あぁ、行けるといいな!ってか、飛行機の乗り場所を探してるんだから、すぐに乗れるだろ?」
「きぃみたぁちぃ?なぁにぃをぉ、探ーし回ってぇいるのぉかい?」
俺たちに話しかけてきたのは、2mはあるだろう、巨人だった。肌は少し青みがかっていた。
「お...お前は?」
「わたぁしぃのぉ、なまーえぇはぁ、ホリーネスとぉ、いいまぁすぅ!」
「ホリーネスか?」
「えぇぇぇ!そうでーすぅ!ホリーネスでぇすぅ!」
「見た感じ...大きいな人間じゃないのか?」
「はぁいぃ!わたぁしぃの父親ぁはぁ、吸血鬼らしぃでぇす」
「吸血鬼...だと?」
「えぇ!でぇもぉ、わたぁしぃの母親ぁはぁ、人間なーのでぇ、にんげぇんと吸血鬼ぃのハァーフでぇーすねぇ!」
ホリーネスは短剣を取り出す。
「なっ...こいつ!」
ホリーネスはその短剣を舐め始めた。
「うぅん...美味しいぃ!美味しいぃでぇす!」
「なっ...こいつ何してるんだ?」
「そぉれぇで?きぃみたぁちぃ?なぁにぃをぉ、探ーし回ってぇいるのぉかい?」
「俺たちは...ひ、飛行場だ!」
「ざんねぇんだぁねぇー。この貧都ぉに、飛行場ぅなぁんて、なぁいよぉ?」
「なっ...どういうことだ?」
「おいおいおいおいおいおい!ホリーネス、ホリーネス、ホリーネス、ホリーネス君!君は君は君は君は君は!ここでここでここでここでここで!何をしてるんだぁ!」
「おやぁ、ノノームさん、どうしたぁんでぇすかぁ?」
「君が君が君が君が君が!知らない人に人に人に人に人に!話しかけているからいるからいるから!何か何か何か何か何か何か!あったのかと思ったんだ!」
「うるさい...」
「あぁ...そうだな...」
ノノームと呼ばれた男はもちろんホリーネスよりかは小さい。身長は180cm位だろうか。
「おい!貴様ら!このシンドークを置き去りにして何をしている!」
「あらぁ?シンドークもぉ、来たぁんですかぁ?」
「シンドーク、シンドーク、シンドーク、シンドーク、シンドーク君!今な、このホリーネス、ホリーネス、ホリーネス、ホリーネス君が、知らない人に人に人に人に!声をかけていたんだ!」
「そうか!ホリーネスこの若僧達がどうしたというんだ?このシンドークが話をきいてやろう!」
「そうだぁね、今、この人達ぃはぁー」
「あの、僕の仲間がすいません!」
「あ、君は?」
「僕の名前はカミールです!一応、この3人のまとめ役な感じで...すいませんね、あまりまとめられてなくて...うるさいですよね...」
「いや、いいんだ!それで、俺たちは探訪者なんだ、少し9の世界について話を聞かせて貰えないか?」
ユウヤが対応してくれる。
「はい!いいですよ!あの...僕たちの寝床に来てもらえれば...話はします!」
「あぁ、わかった!」
「どうした、弟カミールよ!この若僧共に何か用はあったのか!」
「ほら、みんな家に戻るよ!大事な、客人で探訪者なんだから!」
「何?君たち、君たち、君たち、君たち、君たち!探訪者なのか?なのか?なのか?なのか?なのか?」
「やっぱり、うるさいねぇ...」
俺たちはカミール達の家に向かう。一軒だけ、少しだけマシなテントがあった。
「10人ですか...全員入るかな...」
「ここに住んでるの?」
「はい!そうです...って、今、誰が喋りました?」
「あぁ、俺だよ!俺!」
「ひ...ヒヨコが喋ったァァ?」
「あはは...ごめんな!驚かせちゃって!一応、この6人のリーダーなんだ!」
「そうですか...」
「あぁ!で、ここの話を聞かせてくれないか?」
「はい!わかりました!」
9の世界 インヴェンション。
カミールはここの世界の地図を書いてくれた。
「こんな感じ...ですね...」
「へぇ、春都とか夏都とか...あるんだ...」
「そうです、春都や夏都は大きな砦で、ここ4つにあるレバーを全てをONにしないと、王都へは行けません」
「そうか...」
「アイキーも王都にあります。王様が管理しているらしく...」
「そうなのか、なら、王都に行くしかないか...」
「そこで、諦めないんですか?」
「諦めるって、なんで?」
「フフ...面白い人ですね。普通、王の所までアイキーを取りに行く人はいませんよ!」
「そうか?」
「はい、そうですよ!」
「なぁんでぇ?」 など、文字と文字の間に小さい母音が入るのがホリーネス。吸血鬼。
「しかししかししかし、しかーし!」 など、同じことを繰り返すのがノノーム。
シンドークは、一人称がシンドーク。
まともなのがカミール。
主要キャラクターだよ。覚えておこう。




