第11話 古参メンバー
「なぁ、リューガ?どこに向かっているんだ?」
「あぁ...一人の人間のところだ!」
俺たち2人は農園につく。そして、小屋に入る。
「おぉ!いらっしゃい!って...ジャワラ卿!失礼致しました!つい癖で!」
「いや...いいんだ!いいんだ!それより、私の使用人が数日前に来なかったか?」
「あ、えぇ!その際は15kgものルター芋を購入してくださりありがとうございます!これからもご贔屓に!」
「その時に一人の人間がいただろう?」
「あぁ!すいません!うちの奴隷が無礼な行為をしましたか!今すぐに殺してきますのでお待ちを!」
「違う!無礼を働いたんじゃぁない!その逆だ!よい行動をしたんだ!それで、買収させて貰えないか?」
「あぁ...買収ですか?えぇ!500ボンでいいですよ!500ボンで!」
「いや、20万ボンで払わせて貰う!いいな?」
「いえ...500ボンで...」
「いいな?」
俺は農家のおじさんを睨む。
「は、はいぃぃ!今すぐつれて来ます!」
「本当にいいのか?」
「あぁ...威圧した方が人は動く...」
「そういうものなのかな...」
リカが出てくる。
「あ、あの...本当に失礼致しました!なんでもするので命だけは...」
「え、あ、そんなんじゃ...」
リカは土下座をする。リカは泣いていた。
「リカ!早く行け!店の中で泣くな!評判が悪くなる!」
「はい...すいません...」
「リカ!頭を上げてくれ!怒ってないから!大丈夫、大丈夫!」
俺は20万ボンを払いながらリカに話しかける。
「わかりました...」
リカは頭をあげる。
「ありがとうございます!それでは!リカ!早く行け!」
俺とショウガとリカは店を出る。
「そんじゃ、時空の結界に行くか!」
「おう!じゃあ、こっちだ!」
ショウガは俺たちの前を歩く。
「あの...ジャワラ様...どうして私を?」
「あぁ?俺か?俺はリューガだぞ?」
「え...リューガさん...ですか?御冗談を...」
「ホントだぞ?こいつはリューガだ!」
目の前を歩くショウガが俺らの方を見ながら言う。
「本当ですか?」
「あぁ!今はリューガの体には戻れないけどな!」
「そうなんですか...」
「後、敬語はやめていいぞ?」
「でも、私は奴隷で...」
「何いってんだよ!お前は奴隷じゃねぇ!仲間だ!お前は物じゃねぇ!人間だ!」
俺はそう言いながらリカの頭を撫でる。
「私が...仲間?」
「あぁ!これからよろしくな!」
「ありがとう...ございます...」
リカは泣き出してしまう。
「おいおい!泣くなって!あと、敬語はやめろって!」
「すいません!でも、つい!一人の人間として扱われるのが初めてで...」
「大変だったよな...俺は奴隷として扱われたことがないからフォローとかしてあげられないけどよ...」
「心配かけてごめんなさい...」
「何いってんだよ!心配はかけるものだ!かければかけるだけいいんだ!もっと心配かけろ!全部受け止めてやる!」
「ありがとう...ございます...」
「おいおい...なんか随分いい感じじゃねぇか!すげぇ私気まずいんだけど!チーム内の恋愛禁止とかにしちゃうよ?ねぇ?」
「あぁ!ショウガさん!すいません!」
「そんじゃ、チーム名?グループ名?みたいなの決めるか!」
「はい!そうしましょう!」
リカは嬉しそうにしている。もう泣き止んでいた。感情の忙しないやつだ。
「なんかいい案ある?」
「チームひよことかは?」
「弱そう却下!他は?」
俺が出した案は速攻で却下された。悲しい。
「なんで”ひよこ”なんですか?」
「あぁ!言ってなかったか!俺、実はひよこなんだよ!」
俺はひよこの姿になる。
「え?リューガさん?」
「ここだよ!」
リカは足元を見る。そして、俺のことを見つける。
「本当にひよこだ...」
リカは俺のことを手に乗せて再び歩き始めた。こちらの方が楽でいい。
「鶏ですか...じゃあ...鶏群の一鶴の一鶴の方を取ってチーム”一鶴”とかどうです?」
「一鶴!かっこいい!決定!」
「えぇ...そんな簡単に...」
こうして人間だけで構成されているチーム一鶴の名前はできた。
俺はリカにも「地球」の話をした。リカも地球に興味を示した。まぁ、買ったので半強制的についてくることになってしまうが。興味を持つのはいいことだ。
《生物変化が体に適応しました。肉体の死亡後も能力は継続して使用できます。》
俺の頭に唐突に声が響いた。食べられた後に聞こえる「Dead or chicken」と同じ声だった。
「能力が...適応したのか?」
「どうした?」
ショウガが話しかけてくる。
「生物変化が体に適応したらしい...肉体の死亡後...ってなんだ?」
「わからん...けど、リューガの肉体みたいにジャワラの肉体が消えた後でも使えるってことじゃないか?」
「あぁ...そういうことか...」
まだ、この時はわかっていなかった。自分が持っている能力のことが。名称さえもわからない。能力の概要もわからない。他人に乗り移る方法も詳しくはわからない。「食べられれば乗り移れる」ということだけが確かだ。
「よし!ついたぞ!」
時空の結界についた。時空の結界にはアイキーをはめ込む場所があった。
「リューガ!はめ込んでくれ!」
「わかった...」
俺はアイキーをはめ込む。すると、時空の結界は開く。時空の結界の中は光ってなにも見えなかった。
「うおっ!開いた!」
「それじゃ、2の世界に行くぞ!」
「「はい!」」
俺たち3人は時空の結界の中へ入っていく。2の世界ではどんな景色が広がっているのだろう。
1の世界 貴族のいる村
ーfinー




