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第990話 返事

 

「いいんじゃないですか?」

「───本当か?」

「正気か?リューガ」


 俺の、『チーム一鶴』と『ゴエティア』が共同で月光徒を攻める───という作戦にクロエは快諾してくれる。

 バトラズは、俺の提案に驚いていたけれども、俺達に今必要なのは安寧だ。


「えぇ、本当です。私達『ゴエティア』とお前たち『チーム一鶴』の2組が協力して月光徒を崩壊にまで導く───細かい作戦はまだ決めてないですが、作戦のプロットとしては問題ないと思います。全盛期の月光徒であれば断ってましたが、現在月光徒は幹部が2人もいない状況。それに、かなり部下も減っていると聴きます。そうなれば、こちらから動かない───という手はないかと」

 どうやら、『ゴエティア』の方にも月光徒の幹部が減っていることは伝わっているようだった。

 どこにそんな情報源があるのだろうか───とも思ったが、俺達が倒したことは知らなさそうだし、月光徒は悪の組織として名が知れているだろうから、幹部の死亡などはすぐに広まっていくのかもしれない。


「俺達『チーム一鶴』じゃ力不足だ───とかは言わないのか?」

「言いませんよ。私自身が『チーム一鶴』に属していた時に、それなりの敵の相手はできることを学んでいますから」

 その発言には、「まぁ、到底私には敵いませんが」などという嘲笑が含まれているようだけれども、事実だから気にしない。


「それじゃ、協力関係は締結だ。月光徒を倒すためにどう動くかの作戦会議が必要だし、一度仲間を集める。宿の場所を教えるからまた夕方来てくれ」

「わかりました。また皆と会えることを楽しみにしています。誰が生き残っているか、楽しみですね」

 そう口にして、性格悪く笑みを浮かべるクロエは、やはり『ゴエティア』の魔神だ。


 だけど、俺にはわざと性格悪く演じているようにも見えたし、彼なりに頑張っているような気もしたから何も突っ込まなかった。

 永遠を生きるクロエにとって、俺達と過ごした時間はほんの一瞬だ。


「では、私に他の幹部に報告する必要がありますので」

 そう口にして、姿を消すクロエ。


「なぁ、リューガ。本当に『ゴエティア』と手を組むのか?信用できるのか?」

「マルバスとは言ってもクロエだ。バトラズだってクロエのことは知ってるだろ?」

「知ってるけどよ...それが偽りの姿だったんじゃねぇか」

 バトラズはどうやら、まだクロエ達『ゴエティア』のことを信頼しきってないようだった。


 だが、それも仕方ないだろう。『ゴエティア』と『チーム一鶴』はこれまでずっと敵対していたのだ。

 14の世界で『ゴエティア』と出会ってから今日まで、ずっと敵として争ってきたのだ。


「大丈夫だ。『ゴエティア』の通常メンバーは幹部の決定に逆らえないだろうし、さっきのを聴いてもわかるように『ゴエティア』の幹部は俺達が不老不死を脅かす存在じゃないってことはわかってくれれば何も対抗しないはずだ。それに、向こうだって俺達に不老不死のことを伝えてきた以上、知られて困るってものじゃなさそうだしよ」

「───それもそうだな。一応、警戒はするけれども月光徒よりかは安全そうだ」


 クロエ達の持つ「不老不死」は、どうやら月光徒が復活を目論む魔女くらいの強さを持たないと覆せないようなものらしい。そうなれば、今の俺達では到底無理だ。

 物理的に強いバトラズやモンガでさえ、不死は殺せないだろう。


「それじゃ、俺達も仲間を呼びに集めるぞ」

「あぁ、わかった。結局、遭遇前と目的は変わらないんだな」

「まぁ、そうなるな」


 俺達は、クロエと出会う前から仲間を探して駆け回っていた。月光徒のリューガの襲撃を受けたからだ。

「皆に状況把握してもらう必要があるし、超特急で全員を見つけよう」

「了解」


 そう口にしてバトラズは再度走り始める。俺はバトラズの肩に乗って、風を切る感覚をバトラズと一緒に感じたのだった。


 ***


「───って、訳だ。皆、OK?」

「OK?───って言われて、そう簡単に納得できる内容じゃねぇ!」

「そうよ、『ゴエティア』と協力関係になったの?信じられない!」

「まさかクロエと再会できるとはな...」


 月光徒のリューガによる襲撃を、乗り越えた『チーム一鶴』の全員を宿に帰すことに成功した俺達は、状況を説明した。


 全員が全員、それぞれの方法で月光徒のリューガに勝利した───という報告は嬉しいんだけれども、どこか複雑な思いがある。それくらい、皆が強いってことでいいだろう。

 と、それはおいておいて。大事なのは『ゴエティア』と協力関係を結んだ話だ。


「とりあえず俺は協力関係を持ち出したが、皆が反対だと言うのなら夕方に来てもらうクロエと上手く話を付ける。今回は、少し無理に取り付けちまったみたいなところがあるしな」

「できるの?」

「わからん」

「わからんって...」


「まぁ、俺は『ゴエティア』と協力しても裏切ることはない理由もちゃんと説明したはずだ。それを踏まえて、一回落ち着いてからアンケートを取りたい。『ゴエティア』と協力して月光徒を潰すのはありなのかを」


 皆に沈思黙考をしてもらい、『チーム一鶴』の中で『ゴエティア』と協力関係を結ぶのは、利益と安全性がそれなりに確立していたため最終的に全員が賛成になった。

 主にカゲユキが最初から俺に賛成してくれていたところが大きいだろう。


 ───と、『チーム一鶴』の中で意見がまとまったところで、夕方になった。クロエとの、約束の時間だ。

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