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第987話 オイゲン

 

『チーム一鶴』唯一のリューガ───要するに俺の目の前にいるのは、月光徒のリューガが1匹と、『趣味嗜光』のオイゲンだ。


 お『チーム一鶴』唯一のリューガ───要するに俺の目の前にいるのは、月光徒のリューガが1匹と、『趣味嗜光』のオイゲンだ。


 どちらも、月光徒の対『チーム一鶴』である組織『付加価値(アディショナルメンツ)』に属しており、リューガはそこの特別枠だし、オイゲンは『古』と、幹部であるチューバについだ二番手だ。


 オイゲンとは前にも戦ったことがあったのだが、その時は能力である『森羅反証』も相まってコテンパンにされている。

 今回はバトラズもいるが、それでもバトラズには月光徒のリューガ───もう一人のオレとの戦いを依頼した方がいいだろう。


「バトラズ。お願いがある」

「なんだ?」

「もう一人のオレを相手してくれ」

「リューガがそう言うのならば、何か策があるんだろう。了解」


 バトラズは、素直に俺の言葉に従ってくれる。

 もう一人のオレがわかれたのは、12の世界での出来事だから、多分この能力は持っていないはずだ。


「『雷霆万鈞』!」

 そう口にして、俺は体に雷を纏う。


「俺は、こうやって雷を纏ったままにする。だから、纏ってない方を攻撃してくれ」

「応」


「なぁなぁなぁ!リューガ、お前はあの技できねぇのかよ!おい!」

「うっせぇな、あれはオレが『チーム一鶴』のリューガと分かれた後に手に入れた能力だからねぇよ!」


 なんだか、オイゲンはかなりキャラ変したような気がする。

 前は、煌びやかではあるが醜悪な相反するオーラを持っていたようだが、今は違う。

 煌びやかなオーラは全て無くなっていたし、醜悪なオーラも格段に弱くなっていた。


「どうしてだろう...」

 俺がそう口にする間に動き出すのは、『チーム一鶴』最強の男───バトラズ。


「勝負だ、リューガ!」

「───バトラズ、お前が相手か!俺が全部ぶっ壊してやる!」

 そう口にして、バトラズと月光徒のリューガとの戦いが開始する。


「ああああぁぁ!戦いに行くなよ、僕を置いていくなよ、リューガぁぁ!」

 そんな情けない声を出しながら、オイゲンは戦いに行く2人の方を追おうとするも、転んでしまう。


 前を知っている俺からは考えられない姿であった。


「───再戦しよう、オイゲン」

「無理無理無理無理!今の僕じゃ何もできないんだってぇぇ!」

 弱気な声を口にするオイゲン。俺は、そのオイゲンの方へ動き出す。


「───『破壊』ッ!」


 "バキバキッ"


「───うわぁぁ!」

「───あれ?」

 前回、破壊を使用しようとしても、『森羅反証』で無に返されてしまっていたのだが、今回は違う。

 オイゲンはみじめに逃げるだけで、俺の『破壊』を無に返そうとはしない。


「何が...」

「何すんだよぉぉぉ!俺はもう『森羅反証』を使えないんだってぇぇ!」

 そう口にして、オイゲンは俺のことを糾弾する。だが、問題はその発言だ。


「お前、『森羅反証』が使えないのか?」

「そうだよ、そう言ってんだろぉ!急に使えなくなったんだよぉぉ!」

 そう口にして、乱れた髪をグシャグシャにかき乱しながら苛立ちを口にする。


「『森羅反証』が使えなくなったってことは...」

「僕がずっと使ってたのに、老化も摩擦もダメージも全てゼロにしてたのに、無くなったんだよ!怖い怖い怖い怖い怖いぃぃぃ!」


 そう口にして、涙を流しながら必死に訴えるオイゲン。

 ハッキリ言ってしまうと、ここまで弱くなったオイゲンは、俺にとっての敵ではない。


「お前に何があったのかは知らないが...『破壊』」

 その言葉と同時、回避しようとするオイゲンを狙って『破壊』を使用し、そのまま心臓を穿つ。


「あぁ...がは」

 前までは、事象を無に返して実質的に不死になっていたオイゲンだったが、『森羅反証』を失ったことにより、何もできずに死んでいった。


「何しに来たんだ、こいつは...」

 俺がそう疑問に思い、バトラズの方を見ると───


「討伐完了だ」

 そう口にして、もう一人のオレを物理的に無に返したバトラズは、刀を鞘に戻して俺の方に戻ってくる。


「───もう終わったのか?」

「あぁ、終わった。随分と楽だったな」

 何の手ごたえもなく、戦闘が終わったことであまり勝利の実感が湧かない。


 ───こうして、月光徒のリューガの捨て駒による襲撃は終了したのだった。


 ***


「───これは既に終わった話ですが、オイゲンが死にましたね」

 月光徒の最後のアジト。そこで優雅に言葉を連ねるのは『付加価値(アディショナルメンツ)』の『×』カールであった。


「可哀想に。これはイフストーリーですが、私が『森羅反証』を奪っていなければ簡単に『チーム一鶴』を滅ぼすことができたというのに」

 かつて行われたのは、捕らえていた『チーム一鶴』のメンバーを逃がしたカールに対して怒りを持ったオイゲンと、カールの殺し合い。


 どちらも命を奪えるようなことはなかったけれども、カールはその能力でオイゲンの『森羅反証』を無に返していたのだ。


「あ、詳しいお話は『第894話 叱責』から『第897話 喧嘩の終わり』を読んでくださいね。復習も重要ですし」

 そう口にして、カールは笑みを浮かべる。


「物語を進めますか。急展開は皆、好きでしょう?」

 カールの手で皆が躍る。彼は一体何者なのか。

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