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第982話 副リーダーと参謀

 

「───バレちまっちゃ、仕方ない。そうだよ、オレは月光徒のリューガだよ」


 そんな言葉と同時、ユウヤとカゲユキの2人は後方に飛んで距離を取る。

 2人共、月光徒に洗脳されたリューガが敵にいることは13の世界の頃から知っていた。


 その時は不完全だったリューガだが、今はきっと知らないような能力を大量に手に入れて強化されているのだろう。

 様々な憶測が憶測を呼ぶけれども、カゲユキは事実だけを的確に手に入れて、状況をまとめる。


「ユウヤ。相手は俺の知らない能力を持っているかもしれない。気を付けろ」

「もちろん。こっちだって、リューガの知らない能力と持っているだろう?」

「───そうだな」


 ユウヤがそう話すのは、ユウヤの持つ『鳳凰の縫合』のことであった。

 この能力であれば、『破壊』される寸前に腕を切り離したりすることもできるはずだ。


「オレの知らない能力あると口にして威嚇しているつもりか?」

「さぁ、どうだかな」

 月光徒のリューガの言葉を、カゲユキは適当にあしらう。


「残念だが、俺はお前らには負けねぇ」

 そう口にして、リューガはユウヤの方へと無防備に特攻する。まるで、自分の肉体自身が弾丸と言わんばかりに。


「強くなったらしいけど、それは俺も一緒だ」

 その言葉と同時、ユウヤは剣を振るう。


「原流1本刀 其のニ」

「んな攻撃、最初から知ってんだッ!」


 その場で大きく回転し、小さい標的であるリューガに剣が吸い込まれるようにして斜め切りを披露するユウヤであったが、

 その剣は、もう既に月光徒のリューガにも知られてしまっている技。

 その攻撃は、リューガに当たるけれどもダメージが通らない。


「───んなッ!」

 弾くようにして、攻撃が通らなかったユウヤの剣。

 どうして、攻撃が通じなかったのかはわからないが、ユウヤの頭には多くの推測が生まれる。


 ───過去に見たことがある攻撃は通用しないのか。

 そうなると、俺の千手剣だって、攻撃を入れられるのは一度きりだ。

 ならば、ここぞというときに取っておかなければならない。確実に倒せるときに、確実な攻撃として使用しなければならない。


 だけど、そんな機会を作れるのか?

 原流1本刀は3つの型と、それを全て組み合わせたものの合計4つしかない。

 それなら、全部知られている方が自然だ。なんなら、2つ目の「原流1本刀 其のニ」が知られている時点で、全てを組み合わせる技の1/3は使い物にならなくなっている。

 そして、刀が通らないのならその技を連続で使用することはできない。


「『破壊』ッ!」

 ユウヤの思考が目まぐるしく回る中で、リューガは攻撃を放つ。


 ユウヤの考え事は、0.3秒にも満たない一瞬の思考であったため、その思考量からみるとリューガが待っていたように見えるけれど、リューガはすぐさまユウヤに攻撃を放ったのだ。


「───がはっ!」

 攻撃を食らったユウヤは、脇腹が『破壊』されてその場に転げる。ゴロゴロと後方に倒れた後に、前線をカゲユキの立つ位置にまで下げた。


「ユウヤ、大丈夫か。ヒール」

 そう口にして、すぐにユウヤに回復魔法をかけるカゲユキ。


「ありがとう。なんとか」

「───と、リューガは攻撃無効なのか?」

「うん。一瞬で考えたのだと、初見の攻撃以外は当たらない───みたいのかも」

「初見の攻撃以外は当たらない───か。ファイヤー」


「───うおッ!」

 カゲユキは、魔法杖を握って、リューガの方へ向かって炎を放つ。一直線に放たれた炎を、リューガは驚いたような顔をしつつ───体がヒヨコだから、然程変化はないが、驚いたような反応を示して、その炎を避けた。


 その行動を見て、先程のユウヤの考察が全て違うことが明らかになった。

「嘘、だな」

「あはは、ごめん。適当なこと言っちゃって」


 ユウヤの攻撃が効かなかったのは、ユウヤの放った先程の攻撃を、月光徒のリューガが知っていたからではない。

 それが、一般的な炎魔法を放たれたことで解明された。


「───ッチ、バレちまったら仕方ねぇ。オレ達は皆、『魁』って能力を持ってるんだよ」


 魁・・・自分が攻撃するまでは、相手の攻撃を全て無力化する。


 月光徒のリューガには、『魁』という能力があったため、攻撃したユウヤの最初の攻撃が通用しなかったのだ。


「───じゃあ、もう俺の攻撃は通用するってことになるな」

「そういうことだ」


「おいおい、待てよ。攻撃は当たるけれども、当たってやるとは一言も言ってねぇぜ?お前らに俺は攻撃でない」

「さぁな、やってみないとわからねぇだろ」


 そう口にして、ユウヤは動き出す。まずは様子見だ。

 初見の技以外も当てられるとは言え、初見の技が重宝するのは変わりない。


 しかも、目の前の反応を見るに、アザムの『鳳凰の縫合』をユウヤが持っていることは、月光徒のリューガは知らなさそうだった。

 ならば、それを必殺の一撃に使用するべきだろう。

 そのためにも、まずはリューガの攻撃を見極めつつ、格好のチャンスを見極めなければならない。


「───原流1本刀 其の一!」

「食らうものかよ、『ミサイルシェル』ッ!」


 ユウヤは剣を振るい、リューガはユウヤの目に向けて『ミサイルシェル』を吐き出す。

 戦いは、まだまだ続く───。

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