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第979話 六ケ所同時襲撃作戦


俺とバトラズの目の前に、全部で9体いるもう一人のオレと、オイゲンが現れたのとほぼ同刻。

29の世界の四方八方に散らばっている、『チーム一鶴』のメンバーの元にも月光徒に洗脳されているリューガが襲撃したようだった。


「───んな、リューガ!どうして攻撃を!って、2人!?」

「ママに攻撃する───という点も考えて、2人共偽物だと考えて良さそうでちゅね」


セイジは、月光徒のリューガの行った『破壊』から、マユミを守るために、左腕を犠牲にした。

セイジの左腕は完膚なきまでに『破壊』されたけれども、すぐに回復魔法を使用したことによって、なんとか対処できた。


2人の目の前にいるのは、2体のリューガ。

どっちかが偽物───ではなく、どちらも偽物だ。

いや、月光徒のリューガも、元は『チーム一鶴』のリューガで灰谷勇が元になっているのだけれど、今回の偽物は、「『チーム一鶴』のリューガでない」という意味で使用している。


「偽物がどうしてこんなところにいるんでちゅか?どういうことでちゅか?」

「あぁ、知らないのか、教えてやるよ。オレは昔、お前たち『チーム一鶴』のリューガと分裂したんだ。全く、お前らはわかってないよな。魔女復活は、この世界のために必要なんだよ」

「───お前ら月光徒のくだらない思想に付き合っている思想はないでちゅ。黙れ、ファイヤー」


「うおッ!」

「残念、『冷凍』ッ!」

「───ッ!」


月光徒のリューガも、『チーム一鶴』のリューガと同じ技を使用したので、セイジは驚きが隠せない。


「セイジ、落ち着いて。相手は月光徒とは言えリューガ。私達の知る能力も、知らない能力も持ってるはず。月光徒なら、それだけの人間をリューガに費やすと思う」

「そうでちゅね、冷静に行きまちゅ」


───こうして、マユミとセイジは戦うことを選択した。



「偽物が。リューガを騙るな」

他方、イブとステラの目の前に現れたのも2人の月光徒のリューガ。


ステラは、攻撃してきたリューガの攻撃を咄嗟に避けて回避に成功していた。そして、2人のリューガを見て、すぐに匂いでいつものリューガとは違うと勘付いたのだ。


「お前たちは俺のことを知らないのに、すぐ俺のことを偽物だと気付けたな」

「馬鹿にしないでください!本物のリューガさんは、もっと優しい匂いがします!」

「はん、獣じゃないのに獣みたいな嗅覚しやがって。俺はヒヨコだってのに、ヒヨコ特有の性質なんざ持っちゃいねぇ。浮遊はできてるけどよ」


「おい、ステラの悪口を言うな。リューガの姿で」

その言葉と同時、2匹のリューガを襲うのは大地。だが───


「「『破壊』ッ!」」

2匹のリューガが協力して、『破壊』を行使し逃げ道を作った。

強靭なリューガの『破壊』は、イブの行使する大地すらも『破壊』できるような威力を誇っていた。


「面倒な相手になりそうだ」

「大丈夫ですよ、ステラもついてます!」


───イブ・ステラのカップルも、月光徒のリューガと戦うことを決意した。



「──って、リューガ!どうして1人?」

「いやー、ごめんごめん。ちょっとはぐれちゃってさ」

ユウヤとカゲユキの目の前に現れたのは、1匹のリューガだった。

2人からしてみれば、リューガは疑う対象ではない。味方だ。


「リューガがはぐれるとは、珍しいな...」

「バトラズがどこにいるのかもわからないし、一緒にアイキーでも探す?」

「あぁ、でもまぁバトラズに心配かけるかもしれないから、バトラズのことを探しつつって感じだな」


もちろん、『チーム一鶴』のリューガはバトラズと共に月光徒のリューガとオイゲンと接敵中だから、このリューガは月光徒のリューガだ。

油断させるために、ユウヤとカゲユキの信用を簡単に得るリューガであったが───


「そうだ。この前話していた作戦だが、どのくらいの世界でやめるつもりだ?」

「んぁ?」

「何呑気な声出してんの。昨日話してたやつだよ」

「あーと...そうだな。特に決めてなかった...」

「特に決めてなかったっておいおい」

「オレは日付にすると大体1カ月くらいでいいと思うんだが」

「一カ月ねはいはいはい...」

リューガは、自分の知らない作戦に対して、疑われないように適当な相槌を打つ。


「一カ月ってなると、結構動けるね」

「そうだな。かなりの旅路になりそうだ」

「一カ月でどのくらいの世界まで行ける計算だ?」

「そんなの自分ですればいいだろう?リューガが自分で提案したんだし、そのくらいできるはずだ...」

そう口にして、優しくない答えを出すカゲユキ。どのくらいの世界までか返答しなきゃいけないから、適当な世界を口に出してみるが───


「───そうだな、35の世界くらいまでか?」

「「え?」」


「リューガ、何を言ってんだ?」

「あ?あぁ...ごめん、計算ミスってたな。えっと、40の世界までか?」

「不正解。45の世界だ、リューガ。疲れているんじゃないか?」

「ハハハ、そうかも。これまで連戦連勝だったしな」

「───で、リューガ。どうして俺の肩に乗らないんだ?」

「───え?」

カゲユキによる、唐突なカミングアウトにより、偽物のリューガの思考は停止する。


「いつもリューガは俺の肩に乗っている。疲れているなら尚更俺の肩に乗るはずなのに、どうして乗らない?」

「えっと、それは...」


「そもそも迷子になるのもおかしい。リューガはバトラズの肩に乗るはずなんだ」

「あ、確かに...」

「お前、偽物だな?」


「───バレちまっちゃ、仕方ない。そうだよ、オレは月光徒のリューガだよ」


リューガのそんな言葉により、2人は月光徒のリューガと距離を取る。

その瞬間、勝負が開始した。

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