第2話:ソロ支援職の戦い方
付与魔術師は、PTを組むことができないと判断したサラは、まずこの世界の情報を集めようと思い、はじまりの村のNPCに色々聞いてみることにした。
「ようこそ。ここははじまりの村、この階層で最も北にある村だ。」
「この周りは平和でモンスターもいないが少し南に行ったところにコルニアの街があって、そこには危険なモンスターもいるが比較的弱く、誰もが最初に訪れる街だよ。」
「ここには2階層に行くためのダンジョンがあるという言い伝えがある。」
サラは集めてきた情報を整理すると、
[ここから南にあるというコルニアの街、はじまりの村は北にある、はじまりの村には2階層に続くダンジョンがある、1階層は比較的安全]ということだった。
サラは、とりあえず南に移動し、コルニアの街を目指そうと思い、はじまりの村の外に出た。
歩いて10分後ぐらいにコルニアの街が見えてきた。歩いている途中、薬草や木の枝、キノコなど色々なものを採取することができた。全て、インベントリに入っているから何も持っていないけど。とても便利なスキルで《ASO》プレイヤーは全員持っている。
コルニアの街の近くまで来たときに《ASO》で初めてのモンスター「一角ウサギ」を視界にとらえ、サラは戦闘準備に取り掛かった。が、サラは付与魔術師なので、初期装備は杖。元々、付与魔術師は攻撃力は低く設定されており、HPも少なく、杖の攻撃力も皆無。MPはHPよりあるが、詠唱の仕方がわからないのでサラが使える魔法は1つもない状況。絶望的状況だった。
他のプレイヤーは4人PTを組んで確実に安全にモンスターを狩っていた。このゲームは、PTを組むことが当たり前に思われているので、最初のほうの後衛職は、モンスターを倒すことが難しいくらいの強さになっている。というか、魔法が使えない現段階は無理!
戦っても負ける未来しか見えていないサラは、モンスターに見つからないように他のプレイヤーが狩り終わった後について行った。盗賊だったら隠密のスキルがあったのにと思ってしまったが、
「まず盗賊だったらPT組めるな」と、思ってしまい、付与魔術師になったことを少しだけ、少しだけだけど後悔してしまった。まぁ、いいや。ようやくコルニアの街についた。
未だレベル1のままで……。
とりあえず、街に入ってまずは疲れたので宿を探そうと思う。
「いや、戦闘はしてないけど。いつモンスターに襲われるかわからない状態で、こちらの攻撃力は皆無だよ? 戦ったら負けるんだよ? って誰に言ってるのかな……。」
宿屋(石釜亭)についたときゴールド足りるかな? まぁ、足りなかったら素材売るか。って思ったけど初期金額が1000ゴールドあって、一泊200ゴールドで全然大丈夫だったが、付与魔術の初心者用スキルと錬金術の初心者用スキルがほしいので、というか付与魔術使えないと戦えないから進めない!
【残り800ゴールド】
ということで、スキルの書が売っている所に来てみました。
「付与魔術のスキルの書は……っと。これは錬金術か。余裕があれば買おうかな?」
付与魔術のスキルの書は探しましたがありませんでした。店員に聞いてみました。
「付与魔術のスキルの書ってどこにありますか?」
「付与魔術のスキルの書はここには売ってないよ。」
なぜか付与魔術だけ売っていないそうです。
「なんで、付与魔術だけ売っていないんですか? 売り切れたりしてないんですか?」
「付与魔術なんて売ってもほとんど売れないし、あんな無能職いないからだよ。」
サラはこの会話で確信したことがありました。
[この店はプレイヤーが経営していること。付与魔術師は私以外いないこと。プレイヤーが経営しているからスキルの書は買う以外の方法でも獲得できること。]
付与魔術はないのでしかたなく錬金術のスキルを習得しようと思い、錬金術のスキルの書を買うことにしました。スキルの書一冊につき500ゴールドは高いなぁ。と、思いながらも購入。
【残り300ゴールド】
「錬金術も付与魔術もだけど、なんでそんな無能職のスキルがほしいんだい?」
店員は私が付与魔術師で錬金術師なんてことは思いもしなかったからこのような質問をしてきたのだろう。
私は、そのことがわかっていなかったので普通に、
「私はメインは付与魔術師でサブは錬金術師なので。」と、答えて店を出て宿まで戻って泊まった。
そのときの店員は啞然としていたのは、サラは気づかなかった。
現状:付与魔術師:レベル1 錬金術師:レベル1
HP:11 / MP:16 / 攻撃力:3 +1 / 防御力:4 +2 / 魔力:8 / 信仰:4 / 運:0
スキル:錬金術(1)
魔法:無し