晴臣side:1日目
今回は晴臣sideになります!
ただ、夜翔が寝ている数日間の話なので少し長くなってしまいます…。
その分、今週は夜翔が起きるまでの晴臣sideを一気に投稿するので気長に読んで頂けると嬉しいです(^^)v
夜翔が暴れてるのなんて、本当に久しぶりに見た気がする。
普段からのんびりしてるからこんな状況になっても「へー、そうなんだ〜」くらいに受け流すものだと思ってた。
けど、俺が着いた時に見たのはソルを怒鳴りつけてる夜翔だった。
正直びっくりした。だって、それは“俺が起きた時と同じ状態”だったから。
夜翔は俺が落ち着いてると言ったが、俺の方が先に目が覚めて状況を把握してたんだから当たり前だ。俺だって最初は暴れたのに…。
………
…眩しい。ここはどこだ?
自分の周りを見ると、ふわふわのベットに、白くて見慣れないデカイ部屋。こんな所に来た覚えは無い。
まだ痛む頭を抑えつつ、ここまでの記憶を少しずつ辿る。
…そういや夜翔は?あのバカみたいに眩しい閃光を浴びてから夜翔を見てない。
まさか、俺だけとかってないよな…?
そんなことを考えていると、ガラガラッと扉が開いて見知らぬ女が入ってきた。
「起きられましたか?!体調は大丈夫ですか?」
「?!誰だ、お前!!夜翔はどこにいる?!」
「お、落ち着いて下さい!夜翔様はあなたのお隣でまだ眠っていらっしゃいます!」
その女は俺の横のカーテンをめくった。
そこには、ベットに横たわり寝ている夜翔がいた。
一気に血の気が引いた。夜翔の顔色は今にも死にそうなくらいに青くなっている。俺は急いで夜翔の元まで行き、女を睨んでこう言った。
「何が目的だ!俺たちを…夜翔を殺そうとしてるのか?!」
「違います!私たちはあなた方を殺したりしません!!」
「嘘つけ!顔も知らない奴らにこんなことする訳がないだろう!!
「…っ、それは…こちらにも事情がありまして…。」
「そんなの俺らには関係ない!早く元の場所に戻せ!!」
「話しだけでも聞いて下さい!!」
「煩い!!お前らの事情なんて俺らには関係ないだろ?巻き込まれる前に帰してくれ!」
「すみません、ですがこちらの要求も聞いて頂かなければあなた方を帰すことが出来ないのです…。」
「は?元の場所に帰すだけだぜ?」
「それが出来れば良いのですが…。私があなた方を召喚してしまったのが原因で出来ないのです。」
「?召喚?それって異世界召喚ってやつか?」
「ご存知なのですか?!それなら話しが早いです!」
「でもアレって元の世界に帰れる魔法?があるんだろ?」
「ハイ。でも条件付きで召喚してしまって帰せないのです…。」
「は?どういう事だよ??」
女は少し間を開けてからポツポツと話し始めた。ただ、物凄く申し訳なさそうに話すから、俺は少しずつだが頭がはっきりしてきて、態度も冷静になっていった。
「…私は、あなた方を“戦争を失くす”ことを条件に召喚致しました。いわゆる、“勇者様御一行”として召喚してしまって、戦争がなくならない限り元の世界に戻る事は出来なくて…」
「それは、俺らに向けての“命令”ってことか?」
「そう捉えられても仕方がありません…ですがもう、召喚しか思いつかなかったのです!どんな事でも私は引き受けるので、どうかこの世界を救ってはもらえないでしょうか?!」
「もしそれを断ったりしたらどうなるんだ?」
今後、夜翔の目が絶対に覚める保証なんてない。
俺がこの誘いを断っても夜翔の安全が保証されるのか?
俺1人で夜翔の目が覚めるまで無一文ってのは流石にヤバイ
「断ったとしても、こちら側で街に住める分の生活費を負担するので大丈夫ですよ!ただ、死ぬまで元の世界に帰れないだけですので、そうなるとあなた方が背負うデメリットの方が大きいです。」ニコッ
戦って死ぬか、戦わずに脛齧りながら死ぬしか選択肢はねぇのかよ…。
考えに考えた挙句、俺の中で出た答えが
「夜翔に聞いてくれ、俺は夜翔の考えに賛同する。」
夜翔に責任をなすりつけることだった。