3話
3
日が昇ると同時に目を覚ます。昨日の残りを食べて山を降りる支度をする。
「持っていくものがほとんどねぇな。取り敢えず剣と獣の毛皮、金くらいか。後は何とかなるだろ。」
蒼は気負いもせずにすたすたと山を降りていく。
「この辺りに村か町があるのか?あるなら久し振りにちゃんとした料理が食いてぇな。」
山を降りると町が見えてきた。意外に規模が大きくて驚く。少なくとも500人くらいは住んでいそうだ。近づくと何人かが門に向かって並んでいるのが見えたので一応並んでみる。
「ちょっといいか。俺は小さな村から出てきたんだがお前はどこから来たんだ?」
「うぉっ、なんでい。兄ちゃん、おいらに話しかけてんのか?おいらは王都からこの町に物を売りにきたのさ。最近じゃこの国もいよいよきな臭くなってきて田舎に帰るついでに商売をしようと色々持って帰ったっていうわけよ。兄ちゃんも気をつけろよー」
「あぁ、ありがとう。」
どうやら俺が今ここにいる国は近々戦争を始めるらしい。何処の世界も変わらないものだ。
「はい、次の人。身分証を出して。」
「俺は小さな村から初めて出てきて身分証を持っていないんだが…。」
「あぁー、それなら通行料で銀貨3枚払えばいい。それから町の冒険者ギルドで登録すれば身分証を貰える。他のギルドもあるが1番多いのは冒険者だな。大通りにあるからすぐわかるさ。」
「あぁ、ありがとう。行ってみるよ。」
銀貨3枚を渡し町の中に入る。以前死体の遺留品の中から金を取っておいて助かった。そいつには悪いが、まぁこれも生きるためだ。