08.AngeRー閉ざされたカコー
久々です(^-^;今回は短めなので、すぐに読めちゃうと思います♪
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美術室に入った綾乃はきょろきょろと辺りを見回した。
「………」
絵の具、パレット、ビィーナス像…美術に関わるものがところ狭しと置かれている。その周りでは50程の部員が各自の彫刻や絵画を優雅に、そして楽しげに仕上げている。
綾乃は目を凝らし、ゆっくりと部員の顔を伺った。清水美智子の背に隠れ、部員に顔を伺われないようにして、じっくりと1人1人の顔を眺めていく。
それはまるで細かなパズルを組み立てるようだった。
「……いない……んだね…」
部員全員の顔を穴があく程眺めてから、ぼそりと呟いた。
「え…?」
「…美葉先輩……辞めたの?」
どこか怒りの篭った(こもった)声で、ジッと一つのパレットを見つめる。
「あぁー美葉先輩?あや、仲良かったもんね。今は受験対策の補講で部活にはほとんど参加されてないよ」
美智子はパレットの絵の具を洗い流しながら、思い出したように答えた。
美智子の手元からは赤や青…色とりどりの華がゆったりと散って行く。
綾乃はその中に手を浸し、散り行く華をそっと掴んだ。不気味な色に化した華が白い腕を汚す。
「…仲良くなんかないっ。」
そして、美葉のパレットのすぐ側に飾られていた少年の肖像画に大きなばつを描いた。
「あやっ!?」
美しい少年の顔を不気味な液体が切り裂いた。肖像画は少しずつ色褪せていく。そして少年の瞳から大粒の涙のように、ポタリ。と絵の具が垂れた。
綾乃についてこれから、いろいろと明らかになります。次回もぜひ読んでください。感想&評価お待ちしてます!