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05.CluEー進まないソウサー

久々の更新です(^^ゞそのためとても長いです…誤字脱字も多いかも…甘めに見てやってください。


◆◆◆5



「あ゛ぁー…ワケわかんねぇー」


一人の少年がぐったりと体を倒し、悪態をついていた。


「まぁ、しょうがないよ…女子って変に口固いとこあるから」


その横には苦笑いを浮かべた少女が座っている。


「なぁーにが『男子禁制』だっつぅーのッ。おまえらのせいでこっちはつまんねぇーこと調べてんのによぉ…」


ここは豊穣学園高等部カフェテラス。

そこで瑞之江と綾乃が何やら疲れた顔をして、腰掛けていた。


2人の前には入れたての

コーヒーとクッキーがひっそりと置かれている。


「瑞之江がいるから…ってみんなに断られちゃったもんね…」



この2人先ほどまで、

諸活動をしている女生徒を回って、話を聞こうとしていた。

それはナコさんについて

少しでも情報を集めるためであり、今回の柳川の依頼を調べるためであった。


ところが、

女生徒は誰1人として、ナコさんについて語らなかった。皆決まって瑞之江を見て口を閉じるのだ。




『瑞之江クンも聞くの?』




『あやちゃんだけじゃダメ?』




『生徒会室で話す?!ゴメン…話せないや…』




理由は一つ。



---『ナコさんは男子禁制だから…』---



女生徒は顔を曇らせて呟くのだった。何か暗い影を抱えて。




『あのね、

ナコさんのこと男子に話して学校に来れなくなっちゃった子がいるんだって…』




『その女子引きこもっちゃってマジヤバイらしーの…』




『…だからナコさんは男子に教えちゃダメだって…』



そう。



いつの間にか海南子のことが、噂になっていたのだ。

それも海南子の話を元にして、ナコさんのルールがまた1つ作られていた。



「タチ悪りぃよなー…」



「うん」



「誰か止めろよな」



「うん…」



「楽しいのかねぇー?ナコさんに束縛されて」




「………」


「理不尽だとか、可笑しいとか思わねぇーのか?」




「…………」



「人を…友達を傷つけるとか、考えねぇーのかよ…」




























「…………きっと…」



瑞之江から顔をそらし、

湯気の立つコーヒーを見ながら、綾乃は言った。


「怖いんだよ……回りの視線が……。話したことがバレてハブられるのが…」


拳を握りしめて、悔しそうに話した。


「怖いの。女子は深いから。ハブられたら、もう終わりだから……だから…みんな話せない。やってる人間を知ってても、潰すことができない。……弱…い…から」


それから少し黙った。

瞳はコーヒーに注がれたままだった。









「…だけど……だけどさぁー…」




少しして綾乃がまた口を開いた。瑞之江はじっと耳を澄ませている。


「?」


湯気の白い壁の向こうから弱々しく、だが凛とした、強い声が聞こえた。




「ダメって言わなきゃいけないよね、歯止めかけなきゃダメだよね…」




(せき)を切ったように、一気に話して、瑞之江の瞳を真っ直ぐに見つめた。


「…変?」



そんな綾乃を一瞥(いちべつ)して、瑞之江はフッとため息をついた。




「弱い…か…。」




真っ黒なコーヒーにミルクを垂らしながら、




「強いヤツもいるみたいだけどな」




と言って微笑んだ。



◆◆◆6


「…というわけです。」



瑞之江と綾乃が一休みしている間に、生徒会室では長篠と里奈が学園で起きたイタズラについて、岡崎率いる3人に説明をしていた。


「つまり…うちに来た写真はイタズラの一部ってことか…?」


腕を組み、眉間に皺を寄せた岡崎が何やら納得のつかない顔をして、長篠に問いかけた。



「えぇ。こちらではそのように考えています。」


長篠は率直に答えた。



「だけど…なんでうちに…?」


葛西も納得がいっていないようだ。岡崎と顔を見合わせている。



「それが……分からないんです。」



今までずっと黙っていた

生徒会補佐の日下部(くさかべ)陽二がポツリと呟いた。



「僕は今まで先輩方に依頼されて、何度も写真を見てきました。もちろん受け取られた方のデータも。

だけど、何も分からないんです。

受け取られた方は特定された人間でもなく、法則があるわけでもない。真っ白なんです。」



日下部は天然パーマの髪をふわふわさせながら、困ったように視線を泳がせた。

小柄でどこかあどけない顔をした少年だった。



「あ……すいません!言い訳がましいことを言って…」



そう言って肩を落とし、

ガックリと腰を下ろした。どうやら今回の件でかなりのダメージを受けているらしい。


「よーちゃん、大丈夫だよ。」



すかさず里奈がフォローした。


「よーちゃんは一生懸命やってたから。」


理奈は微笑を浮かべていた。

日下部はそれを見て、安心したのか、こくんと軽く頷いた。


日下部は生徒会役員で最年少だ。だから、どこか危なっかしく、傷つきやすい。


ちなみに豊穣学園の生徒会役員は生徒会補佐、小等部を除き、どの部も2年生で構成されている。

つまり日下部以外の3人は高等部2年。日下部は1年代表として選ばれた大物だったりするのだ。



「彼の言っていることは、間違っていません。」



理奈と日下部を引き継いで長篠が話しを続けた。



「僕たち2年も日下部と一緒に何度か写真を見ました。ですが、何一つ見つけられませんでした。それどころか、途中で投げ出してしまったぐらいです。」



「…マジかよっ…」



ますます深く眉間に皺を寄せて、岡崎がぼやいた。

葛西も横で唸っている。



「特徴とかは?何か写真に必ず映っているものとか、渡された時刻の統一性とか…」



ついさっきまで混乱して、喚き(わめき)散らしていた柳川が、今度は一番冷静に話を進めた。今までの話を聞いても、全く驚かず、むしろ納得したように頷いた。



「特徴…ですか?」



日下部が席を立ち、近くに置いてあった細長い棚から、クリアファイルを取り出した。


「えっと…あったんですよ…先輩の言う通り特徴が何個か…なんだっけ…」


クリアファイルをパラパラと捲り、素早く文字に瞳を走らせる。


「えーっと……」


クリアファイルにはたくさんの細かな文字がところ狭しと羅列されており、読むのにも必死だ。


「……うーん……」



次のページをまた捲る。



「………違うなぁ……」



そしてまた次のページ。



「絶対、あったんだけどなぁ…」



ファイルの量は半分ぐらいになっていた。



「……んー………………」


長篠たちは静かに日下部を見守る。ただ葛西はじれったそうに舌打ちをした。



「ここかなぁ…」



不安げな顔をしてまたページを捲る。







「……………ん……?」






10分ぐらい経っただろうか…

日下部がふと手を止めて、必死にそのページを読み始めた。



「………あっ…!先輩!ありましたっ!これですっ!写真の特徴ですっ!」




それを聞いた一同ははホッとしたように息を吐いた。長篠は疲れたような笑みを浮かべて、クリアファイルを受け取った。

いやぁ…書いててこんがらがるぐらいキャラを多くし過ぎました(苦笑)頑張ります(^^)d評価&感想などありましたら、よろしくお願いします。

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