表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/17

03.RumoRー少女のカゲー

四話ですー今回はちょっとオカルトチックだから、なんか書いてて怖いです(笑)



◆◆◆3


「---さて……」




瑞之江が静かになった教室をゆっくりと見回した。

それから残った面々の顔を眺めた。



「これから今、校内で起きている陰湿なイタズラについて、岡崎先輩、葛西先輩、それから柳川先輩にご説明いたします。先輩方にこのイタズラについて理解して頂かない限り、生徒会で指示を出すことは不可能です。ですから、きちんと聞いて頂きたい。」



そこで瑞之江は話を句切り、三人の瞳を鋭い眼差しで睨み付けた。まるで獲物を狙う野獣のように。


「いいですね?」


暗黙の了解…


三人は深く頷いた。


「では、あちらの席についてください。

それと…柳川先輩、先輩はどのような経緯でここに来れたのですか?」


「柳川」と呼ばれた狐顔の少年はビクッと背筋を振るわせると、青い顔をして瑞之江を見つめた。それから絞り出すような声でぽつりと呟いた。

「…かっ…かなこを…海南子を助けてほしい!!」


それからキッと顔をあげ、瑞之江の襟元をぐっと掴んだ。


「お願いだっ!海南子を助けてくれ!」


背の高い柳川に首を掴まれ、さすがの瑞之江も唖然とし、代わりに副会長の

長篠(ながしの) 紘治(こうじ)が柳川を諭し、書記の文無月(ふなづき) 綾乃(あやの)が彼を椅子に座らせた。


「柳川先輩、落ち着いてください。瑞之江を掴んだって私たちはあなたに何もしてあげられませんから」


綾乃がゆっくりと彼を落ち着かせる。


「何があったんですか?ゆっくりでいいので、すべて話してください。話を聞けばお役にたてると思います。」


綾乃はにこっと笑い、柳川の隣に腰かけた。彼女は茶色がかったセミロングの髪を垂らした優しそうな印象の少女だった。


「…たんだ…」


「え?」


唇を血が滲むほど、強く噛みしめ、

震える拳を机に携えながら柳川は圧し殺した声で話し出した。その瞳は怒りで満ち溢れ、何か強い光を宿していた。


「来たんだ…海南子のとこりに……ワッペンが…」


「ワッペン…?」


綾乃の斜め後ろに立っていた会計の近藤 里奈が訝しげに眉をひそめた。ストレートの黒髪のよく似合う大人びた感じの少女だった。

里奈は綾乃と顔を見合せ、記憶を手繰りよせるように瞳を閉じた。二人の顔にはなぜか恐怖が浮かび、凍りついたような顔をした。状況を掴めていない男子陣はきょとんとしていた。

「先輩、それは噂になっている…ナコさん…ですか?」


戸惑いを浮かべた声で、

綾乃が思いきったように柳川に聞いた。柳川は溜め息をつくようにな声で

「あぁ…」と頷いた。




◆◆◆4



「ナコさん。って言うのはね、女子の中で流行ってるおまじないみたいなものなの」


瑞之江に促されて里奈と綾乃が話し出した。

「いつから流行りだしたのかは解らないけれど、たぶん女子の七割は知っているはず。特に高等部、中等部の女子は知らない方が可笑しいと思う。」


里奈は宙に瞳を泳がせ、それから綾乃に軽く目配せをした。綾乃が先を進める。

「ナコさんは、豊穣学園の生徒で学校が大好きな女の子なんだって。でも、体が弱くて保健室によく通っていて、友達やクラスメイト、先生にお世話になってたんだって。。でね、ナコさんはみんなに助けてもらった恩を返すように、選ばれた年に選ばれた生徒の願いを叶えてくれるんだって。」


「つまりコックリさんみたいなものか…?」


瑞之江が腕を組みながら言った。


「それって危なくね?」


瑞之江と長篠が顔を見合せた。『危ねぇーよ』という顔をしている。綾乃は困ったように話を続けた。


「…うーん…どーなんだろう?なんかコックリさんって言うより女子の神様…みたいに言ってたけど。」


「神様?」


「うん。誰に聞いてもそーゆーの。『願いを叶えてくれる、神様なんだよ』って。あと、ナコさんの生死は解らないみたい」


「?」


「話さないの、誰も。ナコさんが生存者なのか、死者なのか。ほら、こーゆー話しには必ず『事故死した』とか、『学校を恨んでいた』とか、死を表す言葉がつくでしょう?

ナコさんにはないのそーゆーお決まりの話が。最初はあたしがたまたま聞いてないだけって思ったんだけど、違うみたい。誰も話さないから。」


里奈も頷いた。


「先輩が『それは禁句だよ?』って言ってた」


瑞之江が頭を捻る。

長篠は考え込み、柳川は苦々しそうに顔を歪め、岡崎と葛西は面白そうに聞いていた。


「つまりナコさんは…生きていて、俺らと同じように学園で生活している…?」驚いた顔で長篠が言った。


「うん。コージの言う通り。誰かが…誰か生徒が何か目的を持ってやっているのかも。」


「生徒以外。って可能性もあるわ」


里奈が呟いた。


「一部ではナコさんは『先生で…』と話されてるらしいから。」


全員が唖然とした。

綾乃も初めて聞くようで、驚いていた。

特定することのできない霧のように儚く、闇のように深い人間がいる…学園で何か工作をしている可能性がある…恐怖を与えるには十分な種だった。


「特定不可能…ってやつか。それはちょっとヤバイかもな」


瑞之江が沈黙を破った。


「ナコさんが何をしてるか知らねぇーが広まるのはヤバイ。集団の中じゃなにが起こるか解らねぇし、悪意を持った人間がやっていることなら、何か危険に巻き込まれる可能性もある。」

「どーするの?」

綾乃が不安げに呟いた。


「調べるさ。学校で起きているイタズラと絡めてな」

どうだったでしょうか? とうとう瑞之江が動き出しましたぁ(^○^) 感想&評価お待ちしてます♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ