10.MemorYー消せないオトコー
随分ご無沙汰です(^3^)/十一話をどうぞ☆
◆◆◆16
「え…?」
美智子も香織も綾乃の言っていることが理解できないようだ。二人ともお互いの顔を交互に見比べ、きょとんとしている。
「……っ……」
当の本人は何やら悔しそうに唇を噛むと、俯いてしまった。教室に不透明な時間が流れる。
◆◆◆17
今から四年前、綾乃が中学三年生だったころ一つの事件が彼女の周りで起きた。
悪質ないやがらせ………
ある1人の人間を対象にいやがらせは実行された。
その1人の人間は彼女の友人だった。
------止めて!!------
彼女の脳裏には友人を傷つけた加害者の顔がしっかりと刻み込まれている。
痛めつけ、苦しめ、そして死に追いやろうとした犯人。それでも笑顔を絶やさなかった犯人。
それが…
ーーミハ…アキヒロ…ーー
綾乃の目の前には純血した瞳の美葉が立っていた。真っ赤な血に染まったナイフを持って。
その顔は奇妙に歪み、悦楽を弄んでいるようだった。
『あやちゃんを返してよ…』
喜界な笑みを浮かべ、じりじりと綾乃に近寄ってくる。
『ねぇ。あやちゃんを返してよ』
真っ赤なナイフを片手に添えて不釣り合いな喜びの笑みを浮かべて。
『君が悪いんだろう?』
美葉は綾乃を見ていない。
綾乃が抱き抱えている少年を突き刺さるような眼差しで見つめている。
『答えろよ…君が変な探偵ゲームを始めたからあやちゃんが部活に来れなくなったんだろう?
なぁ?そうだろう?』
真っ暗な裏庭で美葉の声がこだまする。
ナイフがギラつく。ナイフは月明かりに照らされて、美しい光を奏でる。
綾乃はただただ恐くて、抱き抱えた少年を離さないように一歩ずつ後ずさりした。
『答えろよ…それでもまだ俺の言うことが聞けないのか?』
少年からは滴るほどの血液を流れ、微かな吐息が聞こえるだけだった。
『答えろよ』
美葉はまた歩幅を進めて、綾乃に近づく。
『答えろよ』
また近寄って、距離が縮まる。
『答えろよ』
そしてまた一歩。
『答えろよ』
また一歩。
『答えろよ』
またいっ…
「止めて…止めて止めて…」
近寄ってくる美葉が恐くて抱き抱えている少年の体温が下がっていくのが恐くて綾乃は悲鳴を上げた。真っ青な頬には涙が伝っていた。
「せんぱい…止めて…」
少年の呼吸が弱くなる。体温もどんどん下がっていく。
さっきまで繋いでたはずの手が今はもう力なく垂れ下がっている。
「お願いせんぱい…」
『答えろよ答えろよ答えろよ…』
綾乃の言葉に容赦なく美葉は近寄ってくる。瞳に殺意が映っている。
「せんぱい…おねがい…」
『答えろよ答えろよ答えろよ答えろよ答えろよ答えろよ・・・』
「瑞ノ江を殺さないで」
あと一歩…
「私のすきな人を…殺さないで…」
『……っ……』
その瞬間、美葉はがっくりと膝をつき倒れ込んだ。手元にあったナイフは離れ鈍い光を放つ。
『…あや…ちゃん…』
闇に怯える子供のように体を小刻みに揺らして、焦点の合わない瞳を綾乃に向ける。
『ぼくは…君がだいすきだよ…』
そして音もなく泣き出した。
いやぁ…途中でワケわかんなくなってしまったら、ごめんなさい!感想&評価お待ちしてます(*^^*)