出会い
『千花?どうしたの?大丈夫?』
お母さんが部屋に突っ込んできた。
「‥え,何??」
『あれ‥今叫んでなかった‥?』
「別になんも‥」
『そう‥最近ここら辺で露出狂がでるって話を聞いたから出たかと思ったわあ』
そう言ってお母さんは部屋を出てった。あたしは首をかしげてからまた歌い出す。
『千花!本当に大丈夫なの!?』
あたしは音痴だった。SM@Pのあの人なんてもんじゃない。
『何?今頃?どんだけだよォ-(笑)』
親友の莉子は笑った。はっきり言って莉子には笑われたくなかった。
「莉子はパティシェどおなったんだよお?」
『え-‥あたしは‥順調だっつ-の』
莉子にはパティシェになる夢があった。だけど,デザインセンスが無いうえに,味音痴という絶望的な性格があった。
『あたしたち,下手の横好きじゃんね-』
「マジかあ-‥好きだからしょうがないもんなあ‥」
好きなのに,下手。
こうしてあたしのアーティストへの希望は弱冠かすれた。
『千花,授業行かないの?』
「‥ん,やる気なくしたあ‥いいや」
ああ‥夢までは遠いなあ‥
あたしは裏庭から校内の最上階の階段へとサボる場所を移した。
「‥あれ」
窓がないのに風が来てる。屋上の扉が開いていた。すごい‥鍵の所がめちゃめちゃになってる‥。誰かが屋上に上がるために鍵壊しちゃったんだ‥。
あたしの好奇心がちょっと笑った。
「‥すごーッ」
初めて屋上に上がった。強い風が吹きまくって気分がいい。
屋上の端っこに行って下を見渡してみた。
「‥田舎だなあ」
田んぼと山ばっかり‥。でも,それが逆に気持ちいい!
もう,あくびが止まらない‥