吹奏楽部
練習を初めてから3週間がたった。
日に日に佐原くんの天才的歌唱力に驚くギャラリーたちが増え,最初莉子だけだったのが学年や先生たちを越えて有名になった。
『あ,ねえあんた。相川千花だよね?』
移動教室で廊下を歩いているとあの吹奏楽部の可愛らしい女の子に話しかけられた。
「‥はい?相川ですけど‥」
『あんたとさ,佐原ってバンド組んでる?』
「え,うん」
『桜にいい考えあんだけど!5年連続県大会優勝の最強吹奏楽部とあんたたちで文化祭もりあげない?』
彼女は吹野 桜。
一個上の先輩だった。先輩が言うにはあたしたちと吹奏楽部で組んで,今年の文化祭最優秀団体賞を狙おうじゃないか。
という事だった。
あたしはもちろん大歓迎だった。ギターだけで寂しい所に5年連続県大会優勝の最強吹奏楽部がという名のオーケストラがついてくれるなんて,先輩の言う通り文化祭は盛り上がるに違いない。
ただ佐原くんがなんて言ってくれるかだ。
『‥‥いんじゃね?あっちが組みたがってんだろ?』
やっぱりやっぱり,あんな歌声してるからには性格も裏切らない!
あたしの未来予想図は膨れすぎて溢れだしそうだった。
しかし‥
『は?ポルノ?何それ-趣味悪ッ!やっぱEXの方が盛り上がんじゃない?ねえ,みんな!』
『あ?EX?キモ‥歌う気失せるし文化祭も盛り下がるわあ』
『は!?EX侮辱したヤツは宇宙1の恥知らずだね!』
『てめえだって,人の事言える根性か!?』
吹奏楽部は言い換えればEXのファンクラブ。
ポルノ大好きヤンキーは一歩も下がる気はない。
相性がわるかった。
「‥っじゃ,間を取ってtomorro'sは!?」
しらけた。空気には
ないだろ〜。
と書いてあるぽかった。
「‥‥だよねえ」
『‥いんじゃん?』
佐原くんだった。
先輩も,まあいっか。
という風に,口を尖らせてうなずいた。