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狂人転生記  作者: aki
対決準備編
33/55

日常って言葉が似合わないね

 世の中には良い冗談と悪い冗談がある。人を幸せにする冗談もあるし、人を不快にする冗談もある。同じ冗談なのに不思議だね。でもあるからしょうがない。きっとこれの違いが人間をいじめる側といじめられる側に分けるのだと思う。ということは冗談は悪いものなのではないだろうか? 人を分けるような存在は悪だ。偉い人は言った、人は平等なのだと、だから平等を壊そうとする冗談は悪い存在だ。良し世の中から冗談をなくそう。そうすれば、きっと世界は素晴らしいモノになるね。うん、そんな世界クソだね!

 

 

「やっぱり大きな町は良いね!」


 王国の中心街には活気というものが溢れていた。俺の町もそこそこ栄えているけどここと比べると目くそ鼻くそだね。あれ? なんか違うような、でも目くそより鼻くその方が汚い感じがするから良いか!


「はしゃぐな、遊びに来ているんわけじゃないんだぞ」

「エリナさんは厳しいなぁ、楽しいのは楽しいんだから良いじゃない。楽しさって我慢出来ないものさ」

「お前はいつも我慢しないじゃないか」

「何を我慢だらけの人生じゃないかい」


 いつも我慢しかしてない謙虚な人間だというのに、こんな風に言われるのは心外だ。もう我慢しすぎて

逆に自由なぐらいなんだから。あれ? 結局我慢してるのか?


「まぁどうでも良いか、でもここで何をするんだっけ?」


 なんでここに来たんだっけ? 全然分からん。まぁガイアがきっと俺にここに来いと行ったに違いない。


「分からん」


 なので、俺は正直にそういったのだった。でも正直に生きるって大事なことだよね。


「しね」


 でも正直者に世界は厳しいみたいなです。こんなんだから俺は歪んじゃうんだよ。やっぱ俺が変なのって世界のせいじゃない?


「まぁまぁ、楽しそうだから良いじゃない? 楽しければ全て良しなのだ」

「お前の生き方まで私に押し付けるな。爺どうした?」

「ふぉふぉふぉおふぉふぉ」


 珍しく一緒に同行したがったので連れてきたのだが、何を言っているか全く分からない。こいつは何がしたかったんだ? まぁどうでも良いか!


「糞がっ、だからこの三人で出かけたくなかったんだ! だからといってこいつらを自由にするわけにもいかないし! あああ」

「エリナさん、こんなところで迷惑だよ?」

「殺すぞっ!」

「ひえ」


 なんでこんなにイライラしてるのだろう? ちょっと俺には良く分からないや。人って難しいね。


「ん?」


 すれ違った人間に少し違和感を感じる。こんな街中でフードをかぶった二人組だ。フード自体はそこまで珍しくない。むしろ渋谷でギャルに会うぐらいのレベルで会う感じだ。あれ? そんなでもない? 引きこもりには分かんねぇや。俺が不思議に思ったのは明らかにその二人は小さかったのだ。なのにフードは汚れ、まるで旅をしてここまで来たかのようだ。

 俺と同じ様な人間がいるんだなぁ。世の中世知辛いなぁと思いましたまる。


「どうした?」

「ううん、何でもないよー」


 しかし、人が多いな。人ごみが嫌いな人間代表である俺は、こんなに人がいると殺したくなるね! やっぱ人は多すぎるんだよ。部屋に収まるぐらいがちょうど良いと思いませんか? 人類みな引きこもりになれば、俺は珍しくなくなるじゃない? 俺がダメならみんなダメにすればよいのだ。


「で、どうすんだよ。こちとら忙しい身なんだよ。何もないなら帰るぞ」

「えー帰っちゃうの? もう少し遊ぼうよぉ」

「キモいんだよ。魔王の復活が近いんだから一時でも惜しいんだよ」

「急がば回れって言うじゃん?」

「言わねーよ」


 言わないのか。俺も急がば回れって可笑しいと思ってんだよ。急いでるのに回るってなんだよ。回ってどうなんだよマスクの移動方法かよ。まぁ冗談だけど。


「言わないの? えー、取り敢えず回ってみればなんとかなるような気がする」


 取り敢えず街の中心で回ってみる。なんだか世界が回っていく。ぐるぐる回ると世界の中心が俺になったみたいだ。世界の中心で愛を叫んでみようか。まぁ俺の場合哀になりそうだけどね。というか俺には愛を叫ぶのは不可能だね。こんなことを考えているから気持ち悪くなってきた。決して回っているからではない。


「うげぇ」


 これは地球への感謝の証だ、こうやってたまに地球に還元しないと人間が食物連鎖にいることを忘れてしまうね! だからこれは地球への感謝の思いであり、決してゲロではないのだ。

 俺がそんな風に地面にうっつぷしていると、頭の上を何かが通過していった。

 それは鉄製の大きな爪で、それは大通りの地面へと綺麗に突き刺さっていた。


「これバルログだ!」


 完全にそれだった。明らかに使えそうにもない武器が俺の目の前に突き刺さっていた。というかあれ本当に使えんの? どう考えてもあれ使うぐらいなら枯れ草を持ってくるでっかいフォークみたいのの方が使い勝手良さそうだけど。


「アルト!」


 これ暗殺じゃね? と気づき始めたときにはあたりは大パニックになっていた。


「まぁこうなるよね」


 ある程度予想が出来ていたことだ。ここに来ればこうなるとういことは。


「こうなる? どういうことだ?」

「ふぉふぉふぉふぉ?」


 漫画みたいに暗殺者がここに出てきて経緯とか説明してくれねぇかな。いちいち説明入れるのめんどくさいんだよなぁ。


「なぁ、カイエ?」


 そこには影からこちらを見守っていたカイエの姿があった。


「そうだな、でも俺だけのせいじゃないと思うぜ?」

「いや、お前のせいだ。お前が全て悪い」

「いや、そう言われると俺も負い目があるから何も言えなくなっちまうんだが」

「だから言ってるのだが?」

「厄介な奴なんだが?」


 人のことを厄介とか迷惑なんだが? このゴミ虫、本当のゴミにしてやろうか。


「どういうこと?」

「いや、こっちの話やね。なぁカイエ」

「まぁお前がそう言うならそれで良いよ」

「じゃあ、帰るか」


 結局何をしたかったのか良く分からないけどまぁ帰ろうか。あれ? なんか物語の都合で殺されかけた気がする。まぁ良いか。



          ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 

 

 真夜中、真っ暗な世界が広がる。昔のように夜に光が溢れることもない。漆黒な世界だけが広がっている。


「暗闇って嫌じゃない? 真っ暗だと嫌でも自分に向き合わないといけないもんね」

「そうね、向き会うのってとっても大変だから」


 そこには未だこの借りてる屋敷から一歩も出ていないフェリスの姿があった。


「だから俺は一生自分とは向き合わないけどね」


 向き合うのが辛いことなら向き合わなくて良いんじゃない? 停滞は悪じゃない、変わらないことを悪と断言する社会が悪なんだよ。


「まぁそれも一種の生き方かも知れないですわね」

「でもお前はそれを良しとできないんだよね」


 彼女は心から正しい人間だ。だからこそ普遍的正義から逃れることが出来ない。


「そうなんですわ。ダーリンみたいに歪んでいることを良しと出来ないのよ」


 ナチュラルに人のことを歪んでいるとか、人の気持ちも知らないで言いやがって、まぁ俺自身も自分の気持ちを知らないから気なんか分からんけどね!


「じゃあ向き合うしかないんじゃない? ここの人間は誰も君を正してはくれないよ?」


 悪夢の人間は誰もが自分のことすら面倒が見れない人間なので、人を見ている余裕などないのです。


「そうね、自分でやらなくちゃいけないわよね」

「そう,人に迷惑をかけるのはいけないことなのです」


 本当に俺を見習って欲しいね、こんなに聖人君子な人間はいないと思うよ? うん。


「まぁ私なりに頑張ってみますわ。頑張った暁には、私と色々してね」

「僕子供だから良く分からない」


 子供って便利だよね。もう子供の定義が最近よくわからなくなってるけど、子供であることは利点だと思う。だから大きい子供でも俺は良いと思うんだ。まぁ社会は許さないけど。


「え? 教えてあげましょうか?」

「遠慮します。人から教わるのって嫌いなの」

「知ってるわ」


 そう言うと楽しそうにベランダから屋敷に戻っていった。はぁ、みんながみんなトラウマを抱えてるから厄介だね。まぁ俺もなんだけどね。 

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