人は復讐することを諦められない悲しい生き物である。そして復讐とは悪なのである。故に人間は悪い
人は慣れる生き物である。何事にも続けていればできてくるのだ。継続は力なり、まぁ才能ないやつは何やってもだめだけどね! さてなぜこんな話をしたかと言うと、今の俺は完璧最強超人だということだ。もう馬鹿にされていた俺はいない、ここまで完璧すぎるというのも考えものではないだろうか? やはり人間というのは、欠点があってしかるべきなのではないだろうか? 属性や、ギャップというものが萌えや可愛さというものに直結するのである。ということは今の俺は完璧な人間のため、可愛さも何もない人間ということに、というより完璧な時点で神様みたいなものだ。いや、もう神様って言っても過言ではない。というか俺が神様だ。
「はははーお前ら、散々馬鹿にしやがって、もう船酔いというものを克服した俺の前には復讐という言葉しかない」
「おい、やめろ! お前が復讐とか碌なことにならん!」
「カイエ、お前は俺のことを糸で吊るして揺らしやがったな、往復三十二回揺らされ、上下に四十五回揺らされたなぁ?」
「おい、なんでそこまで覚えてんだよ!?」
こいつらは人がグロッキーになっているのを良いことに、散々人にいたずらをしてきやがった。俺は人
にするのはいいが、やられるのは許さないのだ。きっちりやり返さないと気がすまないのだ。
「あー私は何もしてないわ! 私は無害で可憐で、完璧な美少女なだけよ」
「うるせーお前が一番キツいんじゃ! 散々揺らすわ飛ばすわ落とすわで、死にかけたわ! というか、
何度か本当に死んだんじゃないかと思ったわ!」
船から落とすわ、俺のことは無理やり揺らすし、挙句の果ては海の水平線上に吹っ飛ばすわで、冗談でも許されないレベルのいたずらだ。というか、イタズラではない。ほぼ殺人だ。許されることと許されないことがある、これは許さざる事案だ。俺が仏でも多分にぶち落とすだろう。仏様が三度しか許さないのに、俺は相当数の罪を我慢した。ということは、仏よりも優秀ということだ。ならば今切れても神様は許してくれるはずだ。というより、もう輪廻転生なんてすっ飛ばさしてもいいのかもしれない。
「ころころろコッコロr子r子っロロkロロr子r子r子r殺す」
「わぁー、理性の外れた化物ね、これじゃあ弁明は不可能ね。さぁやりなさい、私の細くか弱い全てをあなたの理性の外れた暴力でむちゃくちゃにすればいいじゃない! さぁ私の全てをあなたにぶほぅりゃくれろらろ!」
まるでヒロインとは思えない声で吹っ飛んでいくアオ。さっすが優しい俺である。かなり加減をして、海の上を水切りの石のように人間が跳ねていくだけに済ましているのには、流石に優しすぎて泣きそうだわ。もう慈母のようだ、もう聖母レベルだね。仏で聖母で神様とか、もうありがたすぎてなんだか良くわからない存在だ。
「ふぅ、危なかった。私じゃなきゃ死んでたわよ?」
そしてなに食わぬ顔で一瞬で戻ってきているアオさん、うん、もうなんでもありだね!
「さて、カイエ、何か言い残すことはあるか? お前はアオとちがってギャグ世界の人間ではないからな、それ相応のキズが残ることになると思うが、致し方ないよな?」
「なんだよギャグ世界って! というか、傷ってなんだよ!? 死ぬの? 俺、死ぬの?」
「良くて死だな、悪くてどうなるか俺にも分からん」
「げへへ、このお方に逆らおうとするかこうなるんじゃ」
「ねぇ、アオ、おかしくない? なんでお前がそっち側に居るの? おかしいよね?」
「何を言ってるかワカランでげす」
「この二人はダメだ! 最悪の二人組だ、もうおしまいか……」
そのとき、不意に俺の肩を叩かれる。
「なんだ!? 今いいところなんだよ!」
あとはカイエを煮て焼くだけだというのに、誰が邪魔をするのだ? 場合によっては俺の怒りがそちらに向かう可能性があるのだ。それほど俺の怒りが有頂天なのだ。
「ねぇアルト? 私は何をしていいの?」
そこには俺にとっての死神が立っていた。その姿はまるで鬼、おおよそ人間とは思えない形相の少女が立っていた。
「うーん、エリナさんや、何を言っているのか俺にはわからないなぁ、そうきっとこれは天狗の仕業なんだ! ガイアが俺に輝けって、俺は悪くないんだ!」
「へぇ、じゃあ誰が悪いのかなぁ?」
「強いて言えば、世界かな?」
「よし、じゃあ世界を壊そうか?」
「いや、すいません俺が悪いです」
本当に壊しそうな気がしたので、流石に罪を認めよう。罪は認めることで罪になるのだ。さぁ、俺はその罪人という咎を負おう。
「じゃあ、歯を食いしばろうか?」
わぁ、覚悟の時間を与えてくれるなんてすごく優しいなー感動だなー、泣きそうだよ。因果応報という言葉があるが、まさにこれか。因果は巡り巡って自分にやってくる。ああ、世の中はすごくうまくできているんだね。
「殺せ、お前の手でやられるなら本望……」
そのとき、俺の頭を高速の何かが貫いていった。
「は?」
「え?」
「うん?」
「よっしゃ脳天一発ビンゴじゃーい」
ヤバイ、あ、これ死んだわ。なんか頭を貫かれてる。頭を潰したことがあるからこそ分かる。これは死ぬパターンだ。経験者は語る、頭を貫かれたら死ぬ。って誰でも死ぬか。
死ぬ前にこの一言だけは言わなくては。この状況下、絶対に言わなきゃいけないことが……ッ!
「突然の死!」
そして俺はいきなり死にましたとさ。めでたしめでたし。




