桜の木下で真っ赤な誓いを
美しいものは恐ろしいから美しい。
桜は美しいのは、桜の木の下に死体が埋まってるからだとか聞いたことがあるきがする。
「『3月15日の午後2時半に桜ノ宮公園の桜の木の下で待ってます。』かあ~。」
俺は、高校2年生の勝敏信。
春休みになる直前に、幼馴染の由から、手紙をもらった。
それはピンク色の封筒にハートのマークのシールが張ってある、いかにもラブレターって感じの手紙だった。
由のことは昔から好きで、でも気持ちを告げられずにいた。
由はかなり可愛い顔立ちをしていると思う。
まあ、これは個人的な意見だが。
そんな、由から手紙(ラブレターっぽい)をもらったのだ。
しかも中には、場所と時間と待ってますと書いてあったのだ。
もうこれは行くしかないだろう。
そう、思いつつ、ワクテカしていたのは3月15日の午前9時のことだった。
その後3時間後、ご飯を食べて、さらに2時間。
そろそろだ。
うおおおおおお
テンション超あがってきた。
そう、思いながら玄関を出た。
前、雑誌で見たような格好をして、おしゃれも完璧だぜ。
普段しない香水もしてる。
キスもできるように、ブレスケアもした。
もちろんひげとかもそった。
そして、現在にいたる。
現在は、桜ノ宮公園に向かって進行中だ。
もうすぐつく。
ついた。
桜の木下には、由がいた。
「お、おお、いたいた。由~」
緊張がばれないように振舞う。
それでも声が震えた。
軽く駆け足で、由の元に向かう。
桜の木の下に入った。
「久しぶり。由。元気だった?」
手紙のことは、いきなりは聞かない。
「うん。」
由は、コクリとうなずく。
「で、なんで呼び出したりしたの?」
「あのね、敏信。」
「うん。」
どきどきが高まる。
「私、敏信のこと前から大好きだったの。」
うおおおお。きたーーーー。
「でね、悪いんだけど」
え?わるいんだけど?
「うん」
「死んでください。」
そういって、いきなりナイフを突き出してきた。
はあ?
ずば抜けた反射神経でそれをかわす。
伊達に剣道部やってないぜ。
「おい、いきなりなにすんだよ?」
「ちっ。」
舌打ちされた。
えええええ?
予想してた展開と全然違うんだけど。
するともう一度、由はナイフをこっちに突き出してきた。
「うお」
もう一度かわす。
「死ねエエエエ」
由の目がマジだ。
やばい、殺されると思いとっさに逃げた。
桜ノ宮公園をでて、家までの道を走る。
しばらく走ったところで、後ろを振り返ると、そこには誰もいなかった。
家へ帰ると、いきなり、母がすごい形相でこっちへ走ってきた。
「あんた!」
「どうしたんだよ?かーちゃん。」
「由ちゃんが一昨日、事故で死んだんだって。明日お葬式らしいから、行きなさい。」
「え?由ならさっきあってきたけど。」
「そんなわけないでしょ?夢でも見てたんじゃないの?」
由が死んだことはショックだったが、さっきあってきたばかりなのであまり実感がわかなかった。
おかしいな?と思いながら部屋に入ると、携帯がブーブーとメールの着信を教える。
あて先は分からなかった。
メールには、一緒に来てよ。と書いてあり、真っ青な顔をした由の写真が添付されていた。