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act7 彼女と彼の異変




 昼間のあの衝撃が頭から離れないまま自宅に戻り、気が付くと夜になっていた。何をしても頭の中では同じ光景が繰り返していた。彼の腕の中に包まれている彼女の姿、そんな彼女を優しく抱き締める彼の姿。



 翌日になっても気が重いままで彼女に会うのも何だか嫌だと思っていたが、朝どころか大学でいつも昼食をとるその場にすら彼女の姿は無かった。そして俺の向かいにはいつもと変わらない様子の宇佐美が座っている。

 「琉依、夏海はどうした?」

 「休み。月のモノで動けないんだと」

 一ノ瀬の問いに宇佐美がそう答えると、東條が殴る。一見普通のやり取りのように見えるが、何となく違和感を覚えた。三人にではなく、宇佐美の言動に……

 倉田と萩原が笑っている中、俺だけが不思議そうな表情をしているのを宇佐美が見ていた。


 それから何日か過ぎても、彼女は大学にもナオトさんのバーにも姿を現さなかった。それどころか今度は宇佐美もまた、度々休むようになっていた。

 「夏海はともかく琉依まで休むなんて、病気? いや、まさかね」

 「ヤり過ぎで疲れているだけだよ」

 「ちょっと! 梓の前で下品な事を言わないで頂戴!」

 一ノ瀬を殴ると、東條は倉田の方へ駆け寄って抱き締めていた。

 宇佐美が休み始めたのは、彼女の休みと何か関係があるのだろうか? そんな思いが頭の中を行ったり来たり。ただ考えているしか出来ない事に苛立ちを覚え始めたり……。

 自宅に帰ってもそんな訳の分からない悩みと闘っていたそんな時、携帯の着信音が鳴り響いた。

 「はい……」

 『宇佐美で〜す』

 相手の名前を聞いて、思わず耳から携帯を離してしまった。思いもよらないその人物は、ただ返事をしない俺に向けて呼び掛けを続けていた。

 『もしも〜し? 聞いていますか〜』

 「あ、あぁ。一応……」

 一応って、と笑いながら宇佐美は用件を話し始めた。

 『突然で悪いんだけれど明日、兄貴の店に13時に来てくれる?』

 「はっ?」

 『じゃあ、言ったからね。それじゃあ、また明日〜』

 「あ、ちょっと宇佐美……」

 自分の用件を一方的に伝えると、俺の話も聞かないまま電話を切ってしまった。久しぶりに話したと思ったら、なんて強引で身勝手な男。そういう所は、まるで彼女みたいだ。幼馴染みだと聞いてはいたが、一緒に育つとこうも性格も似てしまうのか?

 「また悩みが一つ増えたかも」


 翌日が来る事に、こんなにも気が重くなったのは初めてだ。そして、宇佐美が俺を呼び出してあんな事をするとはこの時の俺は思いも、いや予想すら出来なかった。


 まさか、彼女の元カレに復讐するなんて……


 こんなのただの幼馴染みがする事では無い


 彼女を愛しているから、出来る事なんだ






 この作品を読んで下さり本当にありがとうございます! また、本当に更新が遅れて申し訳ございません。今回の話の続きは“これも恋の始まり? 〜BOY MEETS GIRL1”のact12・13:琉依の復讐に繋がりますので、そちらも読んで頂けると嬉しいです。

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