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救うべき想い 14

 地元だから、この斎場の存在は当然知っている。


 だけど、足を踏み入れるのはこれが初めてだった。


 まさか、成人にもならないうちに、親友のお通夜のために訪れることになるなんて。


 本当に、人生とは何があるかわからないという言葉は正しかったんだなと、脳の奥底で冷静であろうとする部分が考えているのを客観的に自覚しながら、入口へと歩きだす。


 家を出る前、お母さんが用意してくれた香典を――今はあまりお金が無いので、給料を貰えてから返す予定だ――渡し、案内に従い奥へと進む。


 テレビで観たことがあるような、立派な祭壇が目に飛び込んできた。


 真正面に飾られた、無邪気に微笑む裕子の遺影。それを囲むように、たくさん飾られた白い菊の花。


 そして、その前に置かれた、長方形の箱。


 葬儀の経験がなくとも、それが何かはさすがにわかる。


 目の前に広がるそれらの光景に怯み、そのまま萎縮し足を止めてしまったわたしを追い抜き、後から来た弔問客が次々と奥へ進んでいく。


 わたしが想像していたよりも、多くの人が集まっていた。


 きっと、親戚や両親の知り合いが大半なのだろう。


 その証拠に、ほとんどが大人の人ばかり。


 ゆっくりと斎場内を見回せば、わたしと同年代と思しき人は数人しか見つけられず、そのいずれもが従兄弟などの親戚関係だと想像できた。


 私以外にはまだ、クラスメイトは誰も来ていない。それとも、既に来た後なのだろうか。


 見知った人物が一人でもいてくれたら、少しは気持ちが紛れるかもと考えていたけれど、どうやらそれは叶わない願いのようだった。


 いつまでも立ち尽くしているわけにもいかないと、わたしは意を決して他の人たちに倣うようにして先へと進み、焼香台の前へと移動する。


 横を見ると、裕子の両親が立ちこちらへ頭を下げてきたのを確認し、わたしもすぐに頭を下げ返した。


 焼香を済ませ、改めて裕子の遺影を見上げる。


 間近でよく見ると、いつも接していた裕子よりほんの少しだけ幼さを感じる。


 きっと、中学生時代の写真を選んだのかもしれない。


 そう言えば、裕子と初めて会話をしたのは中学一年の文化祭だったなと、生前の思い出が浮かびかけたわたしの耳に、突然


「陽菜乃ちゃん」


 と、女の人の声が届いた。

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