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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 79

「いや、偶然ではないだろう」


 だけど、そんなわたしの言葉に待ったをかけてきたのは、アカリさんと同様にわたしの話に耳を傾けていた水沢さんだった。


「え? 偶然ではないって、どういう意味です? だってわたし、本当に自分で何か操作をして風音さんのアカウントを見つけたり、動画を止めたりとかはしていないんですよ? 偶然以外の何があるって言うんですか。まさか、これもわたしの霊感とかが関わっているとかじゃないですよね?」


「いやぁ……霊感と言うよりも、瓜時くんの守護霊をしているよしふみくんの功績、かな」


「へ? よしふみ? よしふみが、何かしたんですか?」


 突然出てきた守護霊となった古い友人の名に、わたしはどう話が繋がるのかと首を傾げる。


「今、自分で説明してくれたじゃないか。風音さんのアカウントにパソコン画面が切り替わる直前、足に何かが触れるような感触を覚えたんだろう?」


「え、ええ。何かがこう……優しく触れるような擦るような、そんな感触でしたけど」


「それ、よしふみくんの仕業だよ。自分に気がついてほしいのと、瓜時くんの手助けがしたかったんだろうね。パソコン画面を風音さんのアカウントへ移動させたのも、アカリさんの動画が偶然にも生霊の顔を映し出すシーンんで停止していたのも、よしふみくんのフォローのおかげだったってことだ。今聞かせてもらった説明で、全て理解した」


「えぇ……?」


 合点がいったというようにうんうんと頷く水沢さんから、わたしは自分の胸元へと顔を俯かせる。


 自分の中にいるよしふみが、あの夜に助けてくれていた。


「……ごめん、よしふみ。わたし全然気がつけなかったよ」


 と言うか、まさか守護霊がパソコンを弄るなんて、普通は気がつけないだろう。


 そもそも、動画に映り込んでいた風音さんの顔。


 あれだって、もっと早く違和感に気がつけても良かったはずなのだ。


 見たことがある気がするけど、記憶にない顔。水沢さんに言われた、会ったことがないのに見覚えがあっても不思議じゃないみたいなヒント。


 答えは、単純だったのだ。


 わたしは、あの初対面であるはずの風音さんの顔に、姉であるアカリさんの面影を重ねてしまっていただけのことだった。


 わたしはそれらのことに何一つ気がつくことができずにいただけで、真相に至る大きなヒントはあまりにも明確に示してもらっていたというわけだ。


「まぁ、瓜時くんがよしふみくんの功績に気がつけなくても、よしふみくん本人は役に立てて喜んでいるみたいだし、結果オーライってところだろう。お互いにまだ馴染みきれていなくても、うまく共生はできてきているようで何よりだ」


 複雑な気分で自分の身体を見下ろし続けるわたしへそうフォローするように告げて、水沢さんはアカリさんへと静かに顔の向きを調整する。


「しかし、姉妹での配信活動というのも、なかなか面白そうで良いじゃありませんか。実際に実現した際には、私も拝見させていただきます」


「はい! その際には是非、ファン登録の方もよろしくお願いしますね」


 冗談口調で返されたアカネさんの言葉に、わたしたちは皆で笑い合う。


 こんなに重い悩みを背負っていても、それでもちゃんと先を考え歩みを止めようとしないアカリさんを、改めて凄い人だなと尊敬し直しながら、わたしは他愛のない雑談へとスライドしていく三人の会話に、暫し耳を傾け続けた。

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