動画越しの執念 75
「割り切れないって顔をしているね」
黙り込んでしまったわたしを見て、水沢さんは微笑を浮かべながらデスクに頬杖をついた。
「でもね、これが社会だよ。美山さんが親友であったり親族であったりでもするならば、それは仕事とは別に助けないわけにはいかないだろうけど、今回の件はそうじゃない。俺たちの仕事はボランティアでもないわけだし、余計なお節介はしないことが正解だ。ま、この辺は慣れるしかないのかな。難しいことなのかもしれないけどね」
「……お金にならないことには、関わっちゃいけないってことですか?」
「そういう考え方もできるし、あくまで契約に忠実に動くことが仕事とも言える。仮に、ここから先の問題を助けてほしいのなら、それは俺たちじゃなくて別の……何だろう、カウンセリングとか? そういった助けを頼らないと。適材適所ってやつだよ」
これでお話はお終いだという合図か、水沢さんは小さく頷いてわたしから視線を外してしまう。
適材適所。
そう言われてしまえば、返す言葉も浮かばない。
――わたし一人で勝手にどうにかしようと思っても、どうすれば良いのかなんてわからないし。そんなの、水沢さんだって同じだよね。
そう自分を納得させ、わたしは心のわだかまりを誤魔化すように大きく息をつくと、暗くなり始める窓の外へ視線を彷徨わせた。




