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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 3

 そのやり取りを間近で見て、何となく二人の力関係が把握できたなぁなどと考えていたわたしへ、水沢さんは改めて視線を戻しピシャリと断言する口調で言葉を(ほう)ってきた。


「とにかくだ、うちできみを雇う意思はない。誠に残念だが、諦めて学業に専念するか、もっと普通のアルバイトでも探してそこで働くといい」


「そんなぁ……。だってわたし、普通の人よりも霊感があるんですよね? それなら、ここでのお仕事に少なからず適性があるってことにならないんですか? ここでだからこそ、お役に立てることがあると思うんですけど、それでも駄目ですか?」


 一週間前、あの謎の空間に迷い込んでいたわたしを、水沢さんは助けてくれた。


 助けてくれたと言うのは、あの場所から出してくれたという意味だけではなく、わたしが迷い込んでいた原因そのものを解決してくれたという意味で、あの日以降わたしは時が静止したあの空間へ入り込むことはなくなった。


 そうして、無事に元の空間へ戻りわたしがお礼を告げた際、水沢さんは言ったのだ。



『きみには、一般人よりも強い霊感があるみたいだな。それも、遺伝とかじゃない。きみ個人によって引き出されている力……いや、元々眠っていた力をさっきの、よしふみくんと言ったか? “彼”が引き出してしまったと言うのが正しいか』



 正直、意味がわからなかった。


 霊感という単語は知っている。漫画やホラー作品なんかで、何度も見聞きしたことがある。


 だけど、そんなものは迷信というか、あくまでも作り話の中にしかない力だと思っていた。


 そんな力が、わたしに備わっている?


 言われた直後は、到底信じられなかった。


 信じられなかったから、そのときは適当に話を合わせておいたのだけれど……わたしは、すぐに自らの認識を改めなくてはいけない事態へと陥った。


 何がどうなってこんなことになったのか、最初は訳がわからなすぎて困惑したけれど、水沢さんと出会った日を境にして、わたしは日常的に幽霊を視るようになってしまったのだ。


 学校の屋上に佇み続ける男子生徒や、車の行き交う道路で車体をすり抜けながら楽しそうに走っていく少女など、割とすぐ身近に幽霊は存在していたのだと、カルチャーショックに似た気分を味わったりさせられたものの、周りの人たちが口にするような怖さみたいな感覚は一切なく、


 ――ああ、これが幽霊って存在なのか。


 と、妙に納得した気分になった。


「瓜時陽奈乃くん。確かにきみは、人並み以上の霊感は備わっている。それは事実だ。だけどね、霊感があるってだけで、幽霊を相手にする仕事ができるかってなると、それはまた別の話なんだよ。俺は、霊や霊に関わる生きた人間を助けることを仕事にしている。これにはそれなりの経験や知識、技術なんかも必要だし、ただ視えるってだけで勤まるものじゃない。わかるだろう?」

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