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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 63

『美山さん? 大丈夫ですか?』


「……はい、大丈夫です。ちょっと驚いてしまって。あの、今おっしゃられたことって、本当に間違いないのでしょうか?」


 何か様子がおかしいと感じ取ったのか、むっつりしていた風音の顔に、怪訝そうな感情が混ざり始める。


『ええ。残念ながら、ほぼ間違いないと思われます。先ほど送っていただいた写真を見て、断言しても良いだろうと判断を致しましたので、電話をかけさせてもらった次第です』


 写真。水沢さんに頼まれて送ったのは、数年前に家族旅行へ行った際に親に撮影してもらった写真だった。


 あの頃はまだ、風音とは仲が良かったから、笑いながら二人並んで写っている。


『ええと……美山さん、申し訳ないのですが、もし差し支えがなければスマホをハンズフリーにしていただけないでしょうか? 可能であれば、このまま私が直接妹さんとお話しをさせていただこうかと思うのですが』


「え? 水沢さんが?」


『はい。その方が、話が早いかなと。それに、直接話をさせていただければ、妹さんが犯人かどうかの最終的な確認もできますので』


「はぁ……そういうことでしたら。ちょっと、待ってくださいね」


『すみません』


 話をして犯人かどうかを確かめられるとは、どういうことなのだろう。


 そんな疑問を頭の中で転がしながら、あたしはスマホを操作してハンズフリーへと切り替える。


「……ちょっと、何やってんの? 電話なら部屋に戻ってすれば良いでしょ」


 いつまでも部屋の前に立っているあたしを鬱陶しそうに睨みつけてくる風音へ、差し出すかたちでそっとスマホを近づけた。


「これで、話ができるはずです」


「……何?」


 こちらの意図が汲み取れず、眉根を寄せる風音へ、


『ええと、どうも初めまして。美山風音さん、ですよね? 私の声、聞こえていますでしょうか?』


 水沢さんが、相手の警戒を緩めさせるような、友好的な声音をスマホ越しに放った。


「……?」


 突然、どこの誰かもわからぬ声に名前を呼ばれた風音は、若干驚きを表に出しながら、無言であたしへ説明を求める視線を向けてくる。


 しかし、あえてそんな妹の心中を無視して、あたしは水沢さんへ会話の主導権を譲ることを選んだ。


『風音さん? 聞こえていますか? 突然のことで戸惑っていらっしゃるとは思いますが、少しだけお話をさせていただきたいのですが』


「……誰ですか?」


 警戒を露わにした、風音の声。


『私、静寂堂という個人の事務所で、探偵のような仕事をさせていただいております、水沢というものです』


「探偵?」


 正確には、怪異を相手にした探偵というのが、一番しっくりくる表現だよねと、あたしは胸中で呟く。


 ただここでそんな野暮な言葉を挟むほど馬鹿ではないため、あくまで思考するだけに留めておいた。


「探偵の人が、わたしに何か用があるんですか? て言うか、どうしてわたしのことを知ってるんです?」


 面倒事に巻き込んだんじゃないだろうなと、こちらを睨む風音の瞳が訴えてくる。


 その瞳を真正面から見つめ返したまま、あたしはただ黙って水沢さんの言葉を待った。

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