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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 54

「ふぅん? アカリさんへ呪いを振り撒く存在に、見覚えがある……ね」


「芸能人とか、アカリさんと同じブイフェイをしてる人ってことは考えられないかしら? それなら、特に興味がない人のことでも、無意識に記憶してるってこともあるでしょう?」


 沙彩さんが、腕組みをしながら疑問の解答案を提供してくれる。


 それにあたしは首を傾げ、数秒間だけ過去の記憶を検索してから、力なく傾げた首を横へと振った。


「いえ、それはないかもしれません。ブイフェイの人たちって基本的に素顔を公にすることは避けていますし、テレビに出る人でこの顔を見かけた記憶も、ないですね。エキストラなんかをしてる人で、ドラマや映画に一瞬だけ映ってたとかなら、否定はしきれませんけど。でも、いくら無意識でもそんな人の顔を覚えておける自信がないですよ」


「そっかぁ。じゃあ、学校の生徒とか近所の人は?」


「えー? やめてくださいよぉ。もしそうだったら、犯人はわたしのすぐ近くにいるってことになっちゃうじゃないですか」


 身近に生霊を飛ばしてまで人を恨むような人物が潜んでいるなんて、冗談でもあってほしくない。


「ごめんごめん。恐がらせようとしたわけじゃないんだけどさ、ほら、ドラマや漫画だとよくあるパターンじゃない? 主人公の身近な人が真犯人でしたみたいな展開」


 本気で嫌がるわたしに慌ててフォローを入れつつ、沙彩さんは両手を合わせて謝ってくる。


 だけど――。


「いや、あながち園部の言うことも間違いではないかもしれないぞ」


 ずっとスマホを凝視していた水沢さんが、淡々とした声音で沙彩さんが口にした仮説を肯定する言葉をこぼしてきた。


「え?」


 どういう意味かと、目元を強張らせながら水沢さんへ視線をスライドさせると、同じくわたしへ眼球だけをスライドさせてきた水沢さんと視線がぶつかった。


 刹那だけ見つめ合うかたちになってから、すぐに視線をスマホへ戻した水沢さんは、画面を指差し


「このアップで映り込んでいる顔、結論から言うとね、瓜時くんとは直接の面識はないはずだよ。でも、見覚えがある気がするというその感覚もあながち外れとは言い切れない。ある意味仕方のない勘違いだし、割と誰にでもある錯覚だから」


 そんな謎かけみたいな発言を続けてきた。

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