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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 53

 ちょっとだけさばを読み、わたしは露骨に視線を壁へと逸らしながら小声で告げる。


「三時って、初日からそんなやる気出してたら、身体がいくつあってももたないって。美山さんとだって、急いで片付けなくちゃいけない約束をしたわけでもないんだし」


 呆れた様子でわたしを見つめる水沢さんは、仕方がないと言いたげなため息をこぼし、


「それで、そこまで頑張って、何か気になるものを見つけることはできたのかな?」


 特に期待している風でもなく、わたしの夜更かしの成果を確認してきた。


 それを告げられた瞬間、待ってましたとばかりにわたしの脳が覚醒したように反応を示す。


「ありますよ! すごいの見つけたんです。今日はもう、ずっとそれを教えたくてうずうずしてたんですから!」


 いそいそとポケットからスマホを取り出し、わたしは画像フォルダに収められてた最新の一枚をタップする。


「これです、見てください。アカリさんがアップしている動画の一つに映り込んでいたんですけど、どう見ても人の顔ですよね?」


 見やすいようにスマホの画像を二人へ向けると、数秒間だけ焦点を合わせるように表示された写真を凝視していた沙彩さんが、


「本当だ。心霊写真じゃない」


 と驚嘆の声を漏らし、逃げるようにして身を引きスマホから遠ざかった。


「うん、確かに。心霊写真と言うよりは、心霊動画と表現するのが正しそうだが、これは本物だな。間違いなく、合成で作ったフェイクではない。正真正銘の霊体だ」


 逆に身を乗り出し、食い気味に画面を覗き込んできたのは水沢さんだった。


「しかもこいつ、昨日話した生霊だ。瓜時くん、すごいな。働き始めてすぐにこんな成果を出してくれるなんて。夜更かしは駄目だが、仕事の結果としてはかなり上々だ。不明瞭とはいえ、犯人の顔もわかったし。お手柄だ」


「え……あ、ホントですか⁉ ありがとうございます!」


 ポンと頭へ優しく手を置かれ、わたしは妙に嬉しい気持ちになってしまい、破顔しながらお礼を口にする。


 子供の頃に親から頭を撫でられた以外、他の人にされた記憶がない。


 まさか自分が他人に頭を触れられて悪い気がしないタイプの人間だったことに戸惑いつつ、それでも無邪気に笑ってしまいながら、わたしは調子に乗って更にこの顔を見たときに感じた些細な違和感のことも説明しようと、スマホに映しだされたままの顔を指差しつつ話を続けた。


「それとですね、これは個人的な感覚でしかないので、お役に立てる情報かはわからないんですけど、わたしこの顔を見た瞬間――と言うか、今もなんですが、どこかで見たことがある顔だなって思ったんですよね。もちろん、この人とは知り合いでもないですし、どこで見たのかって問われても、答えようがないくらい、漠然とした感覚でしかないんですけど」

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