動画越しの執念 51
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「こんにちはー」
ひたすら睡魔と戦い続けた学校が終わり、梅雨以外の何者でもないぞと言いたげな曇天の下を早足で歩いて、わたしは今日も遅刻することなく静寂堂のドアを潜った。
「あ、陽奈乃ちゃんお疲れ様。今コーヒーを淹れるわね」
「ありがとうございます」
入ってきたわたしを見るなり、軽く片手を上げて挨拶をしてきた沙彩さんは、すぐに席から立ち上がりコーヒーメーカーへと移動していく。
「やぁ。……どうしたんだ、今日は随分と老け込んでいるように見えるけど。瓜時くん、きみ夜更かししてきただろう? 困るなぁ、初日から無理するような真似をされたら。絶対、今日一日は勉強に身が入っていなかっただろ?」
自分のデスクでキーボードを叩いていた水沢さんが、チラリとこちらを見るや否や、露骨に眉根を寄せて窘めるように小言を口にしてきた。
「ああもう……二度あることは三度あるってよく言いますけど、あれって本当なのかな。そんなにわたし老けました? 家族と友人と職場、どこでも開口一番にそれ言われるって、わたしよっぽどですよね」
「老けたと言うか、うん、やつれてる。疲れた顔をしてると言ってあげるべきだったかな。そうか。そうだよな。花も恥じらう現役の女子高生に、老けたはあまりに失礼か。勉強になったよ」
「なんだろ……馬鹿にされてる気がする」
人に対して失礼な物言いをしておきながら、悪びれた気配もない水沢さんを睨んでいると、沙彩さんが
「陽奈乃ちゃん、今日からここ使って」
と、自身が座るデスクの横を指差してきた。
「はい?」
何のことを言っているのかと思いながら示された場所を見てみれば、昨日までは無かった真新しいデスクが一台、設置されている。
「昨日、陽奈乃ちゃんが帰った後に、煌輝が買ってきて置いてくれたのよ。陽奈乃ちゃんにも、作業用のデスクは必要だろうって。店が閉まる前に行ってくるって、急ぎ足で出ていったんだから」
「え?」
驚きながらデスクへ近づきよく見れば、それは確かに一目でわかる新品だった。
「これ、わざわざわたしのために?」
想定外のサプライズに、若干困惑しながら水沢さんへ顔を戻すと、当の本人は「そうだけど?」ととぼけた声で応じ、パソコンを見つめながら




