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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 48

          7


「くぁ……ぁ……」


 金曜日の昼休み。もう少しで一週間という長い苦しみから解放され、連休という名の楽園へと到達できるタイミングということもあり、教室の中は心なしか活気に満ちた雰囲気が漂っていた。


 そんな空間で間抜けな顔で欠伸(あくび)を披露したわたしは、滲んだ涙を指で拭い、気が抜けた目で天井を見上げた。


「ああ……眠い」


 完全に、寝不足だった。


 アカリさんの動画を調べていたら、いつの間にか時計の針は深夜の三時半をさしていた。


 それから慌てて布団へ入ったものの、パソコン画面を見続けていたせいか、なかなか眠りにつくことができず、まともに寝ついたのがたぶん五時くらい。


 そこから一時間後には目覚ましが鳴り、病人みたいな心地で制服に着替えリビングへと向かった。


「どうした、老けたような顔して」


 スマホでニュースをチェックしていたお父さんが、リビングへ入ってきたわたしを見るなり言い放ったこの一言は、地味にイラっとしたので暫くは根に持つことに決めた。


 そんな流れで、わたしは絶賛寝不足の真っ最中。


 午前中の授業は全て微睡(まどろみ)の中で受けていたため、内容は一切頭には入っていない。


 深夜までかけて動画とコメントをチェックし、新しく得られたことは特になし。


 結局、全ての動画を調べ尽くすことは無理だったけれど、ひとまず現状ではっきりさせられたのは、問題が起こり始めてから投稿されている動画には、今のところ全てに何かしらの怪異と嫌がらせが発生しているということ。


 生霊もアンチも、アカリさんへの攻撃は一切妥協しない姿勢を示していることだけは明確になった。


 正直、その意志と行動力をもっと有意義なことに活用した方が人生楽しいし、自分のためにもなるんじゃないかと思ったりもしたけれど、きっとこういうタイプの人はそんな発想をもたなかったり、正にこの嫌がらせが息抜きの遊びになっているのだろうと自己完結させ、考えるだけ意味のない思考を終わらせた。


「どうしたのヒナ、老けたような顔して。玉手箱でも開けちゃったかぁ?」


 ぼんやりとしていたわたしの視界に、突然裕子の顔が入り込んできた。

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