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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 43

 未熟以外の何者でもないけれど、できる限りの全力で頑張らなくては。


 気を引き締めながら、装着したイヤホンから流れてくるアカリさんの声に耳を傾けていると、不意にふくらはぎの辺りを何かが触るような感触が走り、わたしは咄嗟に身を引くと机の下にある自分の足回りへ視線を落とした。


「……? 気のせいかな」


 目につく範囲に、動くような存在は確認できない。


 パジャマ越しに感じたものだったから、勘違いかもしれないなと思い直し、わたしはまたパソコン画面へ顔を戻した瞬間――。


「あれ? 何だろ、どうして勝手に……」


 観ていたはずの動画が、全く無関係な別の動画へと切り替わっていた。


 下を向いて顔を戻すまで、ほんの五、六秒。


 その間、キーボードやマウスを触ったり動かしたりした覚えはない。


 それなのに、画面には蒼雷メリルとは完全に別人の、見たことのないブイフェイが投稿した動画が再生されていた。


「誰だろ、この人。名前は……雫森(しずもり)エリム? 聞いたことないなぁ。チャンネル登録者数は、六人。新人さんかな?」


 ブイフェイの活動に憧れる人はたくさんいる。


 人気がでるかどうかは別として、わたしが想像していたよりも多くの新人ブイフェイが日々誕生しているのが現状だ。


 だから、まだわたしの知らないブイフェイと巡り合うこと自体は、特におかしな話ではないのだが……。


「間違っておすすめ動画か何かをクリックしちゃったかなぁ。……ん?」


 雫森さんには申し訳ないけど、今は彼女の動画を観ている暇はない。


 すぐにアカリさんの動画チェックに戻らねばとパソコンを操作しようとしたわたしは、そこでふと個人的に気になる箇所を見つけてしまい、マウスを動かす手を止めた。


「この人、ブイフェイを始めたのは一年前からなんだ。でも、投稿は最初の三ヵ月くらいで止まってる。ライブ配信は、二回だけで普通の動画の投稿は五本。どうしちゃったんだろう」


 デビュー早々に挫折をしてしまったか。まさか亡くなっている……なんてことはないと思いたい。


 五本ある動画のうち、一番再生数が多いのは最後に投稿されたもので、再生数は十八回。


「厳しい世界、なんだろうなぁ」


 一見楽しそうにだけ見えるコンテンツも、たくさんの人が有名になりたいとしのぎを削り合う世界。

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